◆最新南アルプス南部事情 

   
 南アルプス南部、つまり塩見岳以南の地域についてご案内したく思います。

 南アルプス南部というと、まずアプローチが悪い、小屋の整備が遅れている、そして樹林帯を歩いていると頭上からヒルが襲ってくる、こんなふうにお考えではないですか。少なくとも僕はそのように固く信じていました。昭和47年に野歩の会入会以来30数年、北アルプス、南アルプス北部、八ヶ岳などには何度か足を運びましたが、南アルプス南部は恐ろしくて、ほとんど近寄ることができませんでした。

 そして2003年夏にはじめて椹島から赤石岳・聖岳・茶臼岳と縦走し、先日、海の日の3連休にやはり椹島から赤石岳・荒川三山・千枚岳と縦走して、これまでの固定観念を根底から覆されることになりました。参考になるかどうかわかりませんが、気軽に読んでみてください。 )
  
  


 @ アプローチ

 
 大井川の上流、椹島が登山の基地になります。僕たちが学生のころは、金谷から大井川鉄道に数時間乗って、井川から畑薙ダムまでバスに乗車、そして林道を数時間歩いて椹島に達していたものと思われます。東海道線の夜行列車に乗車して、翌日の夕方にやっと到着といった日程だったのでしょう。

 現在も、早朝東京発、静岡から畑薙ダムまでバスで3時間半、そこから東海フォレストの送迎バスで1時間。夕方にようやく椹島到着、この日はこれで終了とガイドブックに掲載されています(畑薙ダムから椹島まで歩くことはほとんどありません)。

 ところがマイカー利用でアプローチは劇的に改善されます。2003年の初山行のときは、早朝6時に東京を出発し、静岡8時、畑薙ダム11時、椹島に12時半に到着しました。午後から半日歩くことができました。

 そして先日、こんどは夕方出発にしました。沼津の先、富士川ICで車中泊、静岡4時、畑薙ダム6時半到着、7時半の送迎バスに乗車して、8時半には椹島に着いてしまったのです。前日椹島泊まりとほとんど変わらず、一日行程に使えました。

 なお、帰りは午後1時と2時発の送迎バスがあり、畑薙ダムに1時間で到着ですので、静岡に夕方、東名2時間で東京に帰り着くことができます。
 

 A 山小屋

 
 東海フォレストが経営している山小屋は、熊の平小屋、千枚小屋・荒川小屋・赤石小屋・百間洞山の家・赤石岳避難小屋・荒川中岳避難小屋・高山裏避難小屋・小河内岳避難小屋・椹島ロッジ・二軒小屋ロッジなどがあります。椹島・二軒小屋は料金が少し違うようですが、そのほかの小屋はみな同じ料金体系です。素泊まり4500円、夕食2000円、朝食1000円、弁当1000円。避難小屋は料理を出すことができないことになっているので、すべて素泊まり。ただし、レトルト食品が充実しているらしく、カレーや親子丼などがそろっているようです。

 3年前に赤石小屋、今回は荒川小屋に泊まったのですが、今回の夕食は、カツカレーとサラダ、味噌汁(カレーと味噌汁はおかわり自由)でした。同席したほかの登山者の方々も、もちろん僕も、おいしいおいしいの連発でした。3年前の赤石小屋の食事内容は忘れました(中華丼だったかな?)が、ずいぶん豪華だった記憶があります。今回の朝食は弁当にしてもらいましたが、おかずが何種類も入った幕の内駅弁のような具合で、おいしかったです。玄関で食べていたら、味噌汁を出してくれました。

 荒川小屋のトイレは水洗トイレで、非常に快適。ただし寝具は布団ではなく、シュラフが用意されていました。シュラフ持参だと500円安くなります。小屋は改装されてから10年くらいの様子で、清潔で快適。スタッフも北アルプスなみに良く訓練された若者でした。

 これらは、荒川小屋・赤石小屋に限らず熊の平小屋・百間洞山の家・千枚小屋でも同じようなサービスが受けられる模様です(休憩に使いましたが、感じ良かったです)。なお、3年前には非・東海フォレストの県営聖岳小屋にも泊まりましたが、夕食はオンリーカレーで食堂にビール持ち込み不可(現地で購入しても不可)と、昔ながらというか、ずいぶん差があるものだと感じました。
 
赤石小屋の様子


 B 頭上からヒルが襲いかかるか?

   
   2度ともそういうことはありませんでした。北アルプスの山道とあまり変わらない、快適な登山道です。良く整備されており、とても歩きやすかったです。ヒルもヘビも見かけませんでした。ただし(どこにでもいますが)ブヨに刺されて、とてもかゆい思いをしました。救急袋にかゆみ止めを入れておく必要があります。

 なお南アルプスは高低差が大きいので、健脚向きの山であると信じている人が少なくないかと思いますが、岩場が少ない分自分のペースで登れて、気持ちの良い汗をかくことができるかと思います。恐れるほどでもないです。
 

 C 送迎バス

 
      畑薙ダム〜椹島をおよそ1時間で運んでくれます。歩けば5〜6時間もの長時間の林道歩きをカットできます。このバスは増発しますので乗りこぼれることはありません。予約もいりません。乗車時に3000円払いますが、領収書を小屋に提示すると、その分が宿泊費に充てられます。2食付7500円が4500円です。逆に言えば、小屋代7500円で送迎バス無料ということです。送迎ですから帰りも無料です。今年から素泊まりの人も利用できるようになったため、シュラフ持参なら素泊まり料金4000円でバス無料という大サービスです。ただし二軒小屋まで乗車するためには、二軒小屋ロッジ2食付で利用しなければなりません。繁忙期は早くから予約で満杯となっているため、事実上利用不可です。スタート・ゴールともに椹島と決めてしまったほうが無難です。

荒川小屋を見下ろす

以上