◆お米の話   

   常盤さんからお米に関するお話を頂きましたので紹介いたします。

 
サントリーの販売する、サントリーの天然水・南アルプス(数年前までは南アルプスの天然水という名称でした)、甲斐駒ヶ岳が登場し、花崗岩の白さがまぶしいCMは印象的です。南アルプスという地域のイメージアップに一役かっていることは、誰もが認めるところと思います。

そうです、南アルプスにはサントリーの天然水がある。ブランドとしては北アルプス(剱岳・立山・白馬岳・槍ヶ岳。穂高岳など単体でも他の追随を許さない・・・相手になるのは富士山くらい)のほうが断然上であるはずなのに、どうしてこれが生かされなかったのでしょうか。キリンが「北アルプスの雪渓水」「槍ヶ岳に磨かれたミネラルウォーター」を売り出せば、きっと南アルプスを凌駕できるのに。

北アルプスブランドで知られているのは、「剱、立山、黒部はさーむくー。こーいしいな、母さんの味、あーあ越中、日本海味噌」と、ラベルの美しい日本酒「大雪渓」(あたかも白馬大雪渓をモチーフにしているようの思われがちですが、描かれているのは槍沢の雪渓です)くらいです。

お米の話です。ほんの20年くらい前(バブル真っ盛りのころのことなので1990年前後)、会社で魚沼コシヒカリの話をしたら、まったく意味のわからない人が多かったことを記憶しています。魚沼がブランドになったのは、1990年代の半ば以降という認識です。たった20年じゃないの、おい魚沼、ブイブイえばるなということです。

新潟では、魚沼、岩船、佐渡が3大産地だそうです。福島では猪苗代が有名で、長野は佐久なのだそうです。もちろんここだけであるわけではありませんが、一般的に日照が長く、それほど雨量が多くなく、ある程度の高地が適していると知り合いのお米屋さんから教えられました。単なる魚沼より南魚沼(新潟は南のふちが谷川連峰であるから、南に行くにしたがって標高が上がる)のほうが価値が高い。ただし、田んぼ一枚一枚日照条件が違うわけだし、食味などはその年の気候にもおおいに左右されるため、ブランド米が必ずおいしいとは言い切れません。

野歩の会の親しくお付き合いいただいている先輩で富山出身の方がいます(別に名を隠す必要もないが)。立山から下山するとき、富山地方電鉄沿いに棚田が続きます。斜面に水田が果てしなく展開し、少しずつ低くなってゆく、美しい風景です。先輩、富山の米ってどうしてブランドにならないのでしょうか?だめなんだ、神通川のイタイイタイ病のイメージがあるんだよね。そう、新穂高から神岡へと下る途中にある、三井金属神岡鉱山(現カミオカンデ)から流出したカドミウムのイメージが今でも残っているのだそうです、ううむ、むつかしい。

私が常食している米はミルキークイーンという品種です。コシヒカリから改良された低アミロース品種というなのだそうで、モチモチ感が強く冷えても硬くなりにくい。もちろん炊き立てが最もおいしいのは当たり前ですが、お弁当やお握りにも適しています。百貨店の米穀コーナーでは5キロ4000円くらいと、魚沼コシヒカリの次という高い価格で販売されています。ところがわが町を支配する某大手スーパー(iとか7とかがキーワード)では、茨城県稲敷市の農家と提携し、2800円くらいで販売しています。扱っていないスーパー、米穀店もありますので、見たこともない方もいらっしゃるかも知れませんね。機会があったら、まあだまされてと思って一度ご賞味ください。できれば2割引きセール(iとか7)のときがよろしい。このミルキークイーン、茨城より新潟とか福島産ならもっとおいしいのでしょうが、価格対費用を考慮すると、2800円の2割引きの茨城産で十分です。

ところが7月とか8月になると、ほとんど毎年ミルキークイーンが店頭から消えてしまいます。在庫がなくなってしまうのでしょうか?今年も現在(9月初旬)は入手不能です。このあたりは後輩のカネト君に一度聞いてみたかったところです。そしてこんな時期こそ新しいブランドを試してみるチャンスと心得ています。「但馬のコウノトリ米」とか、「佐渡の朱鷺米」など、ネーミングが魅力的だし味もまあまあ満足できます。

今年5月JA全農長野は、私の常用する大手スーパーに「安曇野コシヒカリ」の売り込みに成功したようです。関東甲信越エリアで販売です。「長野米は品質・食味が良いことから主に業務用に販売してきた」と説明しています。違うでしょ、「食味・品質が良いのに営業努力が不足していたため主に業務用に販売してきた」とすべきで、このあたり、長野県人らしい理屈っぽさがかわいいです。

コウノトリ米も朱鷺米も同様ですが、私たち消費者が新しいブランドを手にするきっかけは、やはり試食かパッケージであろうかと思います。安曇野の美しい水田と、そのうしろの残雪をかぶった常念山脈の大写し。これまで、味噌と日本酒くらいしかブランドを前面に出した商品のなかった北アルプスです。断然北アルプスファンの私にとって、久しぶりに心を揺さぶる商品でした。価格も1980円と高くない。

さっそく炊いてみました。おいしいじゃありませんか。モチモチ感はミルキークイーンほどではなく、多少さっぱり系であるかと思いますが、ひと粒ひと粒がふっくらと主張しています。噛むとムギューとして、食べ応えがあります。JAが言っているように、さめてもパサパサしません。今後、10月になってミルキークイーンの新米が店頭に復活したらどうしようか、ちょっとうれしい悩みができました。それはそうとして、店頭から消えた理由が「福島」であったら大層悲しいことではありますが・・・。



常盤