◆自主ワン シャワークライミング   

 Tokkeyさんからちょっと変わった山の楽しみ方のお話を頂きましたので紹介いたします。

 
 いつものように週末近く、今週はどうしようかと思いをめぐらせます。梅雨前線の影響で、天候は思わしくありません。どうしようかしら。そこで頭にひらめいたのが、シャワークライミングでした。
 頭にはヘルメット、ウェットスーツ着用、もちろん渓流シューズ、念のためクライミングロープその他の登攀具。フィールドは利根川水系にするか、近場で相模川か多摩川か、荒川か。天候によっては増水も気になります、ってか。



 6月19日、またしても3時ころに目が覚めてしまいました。仕方がないのでお弁当を作りましょう。ご飯を炊いてお握りです。相棒の分も作ります。外は土砂降り、しめしめです。ところが、家を出たころには、雨があがってしまっていました。
 今日はシャワークライミング。雨の中、びしょびしょに濡れながら歩く山登りです。気温が20℃くらいはなければ寒くていけません。ですから梅雨から盛夏にかけてしか楽しむことができません。傘は良いけれど、雨具禁止という自主ルール。
 ここのところ、日帰りハイキングというと、いつでも高尾山です。かつては必ず丹沢だったのですが、明らかに宗旨替えです。丹沢の登山道には、石が埋め込まれて不快だし、名物になってしまった山ビルが怖いんです。
 新宿から京王線で高尾山口下車。370円って本当にうれしい料金だと思います。駅前で一服していざ出発。今回は秘密のコースをたどります。
 ケーブルカー、清滝駅の左の車道を歩きます。すぐに稲荷山コース、数分で琵琶滝コースです。両方とも無視して直進します。車道の傾斜が強まると病院です。その先の広場から登山道となります。
 登山道入り口のところに水場があります。数分後に琵琶滝からの道が合流します。急ではあるけれど、滑りにくく、歩きやすい道です。森林の美しさが目に染み込みます。何回かジグザグを切って、蒸し暑さで大汗をかけば十一丁目茶屋の前に到着します。ケーブルカーの上の駅(高尾山駅)のすぐ脇です。
 ここで一休みして、こんどは薬王院へと進みます。入ったことのないさる園、広末涼子のコマーシャルで有名な蛸杉を過ぎ、男坂の急階段を登ります。10分ほどで薬王院、日光東照宮の廉価版という感じ。あっちが世界遺産なら、こっちはミシュラン。
 階段が終われば、もう頂上までわずかです。最後のいやらしい坂を登れば599.2メートル、高尾山の絶頂です。いつもなら人人人であふれています。すわる場所もなく、ふちからがけに転落しそうです。酒と弁当のにおいが不快です。ところが今日の高尾山、時間が早いせいか、雨の予報のせいか、2〜3人がいるだけでした。
 さて沿い言えば、シャワークライミングの報告でした。身体中びしょ濡れで、汗も洗い流されるはずでした。ところがこの日は、微妙なところで天気が踏みとどまってしまったのです。ポツポツときたりはするのですが、逆に日がさしてきたり。
 当初は陣馬山まで縦走し、藤野側へと下山し、陣馬の湯に入る予定でした。しかし肝心の雨が降らずに、湿った陽気の静かなハイキングとなってしまいました。面倒だから景信山で行動中止、タターと下って、小仏バス停から高尾へと向かいました。



 シャワークライミングでのお約束です。出発前に必ずシャワーを浴びておくこと。頭も洗っておくこと。もちろん衣服はその朝着ること。雨に濡れると、前の晩の汗がにおいます。
 せっかくですから雨具はやめましょう。ただし、自宅から駅まで、帰りも駅から自宅まで、傘は必携です。濡れて寒くてつらそうな時期にシャワークライミングはできません。ですから梅雨の季節こそ最適なのです。
 帰りの入浴も欠かせません。登って頂上に達するのと同じくらい重要です。反省会でのビール乾杯と並びます(多分それ以上)。計画は下山後の入浴から逆算してコースを決めましょう。
 今回は、私も相棒も雨を恐れてカメラを持参しませんでした。したがって写真なしです。とても残念です。できれば防水機能のついたカメラが欲しいところです。
 どうかこの時期にしか味わえない新ジャンル、シャワークライミングに挑戦してください。梅雨から盛夏まで、くれぐれも気温には注意してくださいね。


 Written by Tokkey