◆The History of Tobacco    

  Tokkeyさんから喫煙などに関するお話を頂きましたので紹介いたします。

 
 意欲に燃えたコロンブスがアメリカ大陸(本来はインド)を目指してスペインのバロス港を出港したのは、1492年8月3日と言われています。同年10月12日に西インド諸島に到達し、その後キューバ島を発見したそうです。そのころわが国では、足利義政が銀閣を造営し、東山文化が爛熟期を迎えていました。

 タバコはヨーロッパにはなかったため、初めて喫煙したのはコロンブスというのが定説です。しかし、コロンブスはタバコを廃棄してしまい、初めての喫煙は他人との説もあります。本人か否かは別として、だいたいそういう答えが妥当なところなのでしょう。また種子島への鉄砲伝来は1543年だそうですが、これがヨーロッパ人が来日した起源とすると、多分タバコが伝えられたのもこのころか、もう少し後かと思われます。

 時代を数百年下ります。私が初めてライターを買ったのは、昭和45年です。使い捨てライターなるものが売り出されてから、間もなかったと記憶しています。円筒型だったかと思います。喫煙のためでなく、登山の共同備品として購入しました。

 喫煙の悪癖がついたのは、大学に入学してまもなくです。コンパの席上で、友人からもらいタバコをしたのが始まりです。あの時の一本が40年たっても尾を引くとは思いませんでした。しかし大学生になったら、お酒とタバコとマージャンと彼女は必須でしたから(彼女は努力不足でダメでしたが)、当時の喫煙をそれほど悪く言っては自分がかわいそうです。

 この喫煙は肺がんに限らず、呼吸器系の病気に深くかかわっていると指摘され、最近は副流煙による受動喫煙が蛇蝎のように嫌われています。ごめんなさい、麻薬患者みたいなものなので、どうかご勘弁ください。タバコが切れたからと言って、ブリーフいっちょで包丁振り回すことは致しませんので。

 さて、ここで書きたいのは、山とかアウトドアにおける、タバコとゴミについてです。自分の記憶ですから曖昧な部分も多くありますが、一度まとめてみたかった事柄です。


  1. 昭和37年(小学校3年)ころ。父親に連れられて大山(相州)に登りました。これが生涯初登山です。ゴミは谷に向かって投げるのが常識だと父親に教わりました。いずれ土に還るのだから。もちろんそのようにしました。
     
  2. 昭和39年(小学校5年)ころ。電車のトイレは動いているときに使用するのが常識でした。担任の教師から、汚物が霧になって拡散するのできれいなのだと習いました。子供ながら、それは詭弁(こんな言葉は知らない)だと思いました。数年後、黄害という言葉が話題になりだしました。やっぱりあいつの教育は正しくなかったなと思いました。あいつのことは今でも大嫌い!
     
  3. 中学、高校での登山ではタバコは関係ありません。ただ横山厚夫さんの登山入門書で、道に迷ったときの対処法にはなるほどと思わされました。「まず深呼吸をして、こいつはちょっとまずいかなあとつぶやいて、タバコを一服する」こんな内容でした。頭に上った血がスーと引いて、正しい判断ができるというもの。これまで、道迷いで大ピンチはありませんが、小さなピンチの時に何回か使わせてもらっています。
     
  4. 大学1年の時の夏合宿、北岳稜線小屋(現在の北岳山荘)近くの幕営地。朝、出発前に残飯を捨てに行ったスポットの記憶。大きな穴にゴミが捨てられ、異臭を放っていました。これがまあ普通の光景でした。
     
  5. 帰りのバス。奈良田温泉から身延まで、当時2時間くらいかかりました。車内で普通にタバコを吸って、吸殻は床に捨てていた記憶があります。
     
  6. やはりそのころ。成人映画はタバコを吸いながら見るものでした。特に大蔵映画、白黒からカラーになるところ。
     
  7. その夏合宿の後、友人と初めて行った北アルプス。このころはタバコはポイポイ捨てていました。友人から、フィルターは土に還らないから、これだけは折って持ち帰ったほうが良いと教わりました。なるほどと思い、その後は必ずそのようにしました。
     
  8. 神宮球場で。応援団の指導で、みんなでいっせいにタバコを吸う。相手を煙に巻くという趣旨ですよね。今ではちょっと考えられないです。たしか、喫煙所以外は禁煙になってるはずです。もしかしたら全面禁煙かも。
     
  9. バブルがはじけて、ゴルフ好きだった会社の仲間を登山に誘ったころ。丹沢の塔ノ岳登山口にゴミ箱がありませんでした。ゴミは全部持ち帰りだなんて、ずいぶん生意気な登山口だと悪態をついたものです。
     
  10. しばらくは、ポケット灰皿を持ち歩く習慣でしたが、スーパーでもらうポリ袋が便利であることに気づきました。吸殻をもみ消して袋にポイ。帰りに駅のゴミ箱に捨ててしまえばすべて完了です。オウム事件のあと、駅からゴミ箱がいっせいに姿を消したときはちょっと困りました。家で捨てればなんてことなかったけれど。
     
  11. 昨年、屋久島で。10のようにしていたら、地元のガイドから猛烈な抗議を受けました。燃えた灰がいけないのですと。紙くずを捨てているわけでもないし、そんなに目くじら立てることないでしょ、と思いました。でも地下鉄のポスターに「街は灰皿ではない」とかいう一文があり、たしかにそのとおりだなあと思っています。
     
  12. 高尾山で。近くて安価なのでしばしば足を運びます。お昼ころになると、頂上に数百人もの人がいます。でもタバコを吸っている人はほとんどいません。喫煙のために石垣を乗り越えて、人から10〜20メートルくらいは離れるようにしています。風下に人がいたら喫煙を控えざるをえません。
     
  13. 葉隠例会で。あんな狭い部屋でバカバカ吸います。皆様、大変申し訳ございません。でもまあ、大先輩が喫煙者だから良いでしょう。換気のために窓を開けたら、風が吹き込んできてかえって迷惑だったこともありました。

 まったく肩身の狭い思いをしています。現在、ほとんど人のいない田舎は別として、街中で喫煙することそのものが罪悪というのが常識でしょう。今のところ、タバコ屋とかコンビニの店先に、灰皿の設置してある場合があり、ここでは喫煙可能ですが、今後はそれすらも撤去されるかもしれません。それなのにです!混雑している歩道でタバコを吸っているやつがいる。吸殻を捨てるやつがいる。子供に危険だから、街が汚れるから、それもそうだけれど、こんなことをしていると、非喫煙者からの全面的な禁止要請が出そうです。何とか最低線は自分たちで守りたいものです。本当は「実はタバコは健康に一番だった」こんな学説が出て、非喫煙者を駆逐してくれることを、心から待ち望んでいるのですが。