11月24日(水)、この日の天気予報は、翌日から翌々日まで天気が崩れるが、週末には回復して晴天になると報道していました。よし、どこかに行こう。久しぶりにヒーヒーさせてくれるコースが良いな。早速相棒に社内メールして、同行を快諾してもらいました(私たちは、たいていこんな感じで決めます)。
山登りを始めたころ、神奈川県の高校に通っていた私が登れる山といえば、まずは丹沢でした。その丹沢の登・下山口で思い浮かぶのは大倉(渋沢)、ヤビツ峠・蓑毛(秦野)、大山ケーブル(伊勢原)、このあたりです。ほかにも宮ヶ瀬(厚木)、西野々(橋本)、西丹沢(松田)などがありますが、いずれからも華やかな印象は受けません。
ところが山中湖へ抜けるコースがあるのでした。西丹沢から秘峰畦ヶ丸に登り、相甲国境の稜線沿いに西に向かい、菰釣山を越えて山中湖へと下ります。当時愛読していたアルパインガイド(山と渓谷社)によれば、コースタイムは9時間、通常は途中の避難小屋に一泊して踏破するようです。また、人があまり入らないため、途中に薮こぎがあったりするいわゆる上級者コースなのだそうです。初心者の私には、とても手の届かない場所でした。
そして、週末の計画(コースはまかされている、ヒーヒー言えれば相棒は満足)を考えているとき、閃光のように40年前の憧れがひらめいたのでした。
山中湖の標高はおよそ1000メートル、西丹沢のそれは540メートル。山中湖からの東行のほうがだんぜん楽です。しかし交通の便が悪く、こちらの登山口である山伏峠に到着できる時刻は、10時すぎになってしまいます。西丹沢なら8時半に到着できます。西丹沢から、コースタイムの8掛けくらいで歩けば日没前に下山できそうです(この時期、稜線なら午後4時半ころまでライトなしで行動可能、谷筋だと4時くらいが限度)。ということで、いつもの板橋4時56分の始発に乗車して(相棒は鎌倉5時45分)、新松田駅前に集合しました。
駅前からバスおよそ1時間で西丹沢に到着。登山者カードを提出して、いよいよ出発です。天候は快晴を期待していたのですが、南からの湿った空気が入っているようで、モクモクとした雲が湧いていました。
最初は岩のゴロゴロした西沢沿いの道です。登山道から5分ほどはずれた所に下棚・本棚という丹沢屈指の名瀑があるのですが、今回は時間の関係でパスします。1時間ほど進んでから尾根に取り付き、さらに1時間少々で畦ヶ丸に到着しました。丹沢の主だった山頂で、ここだけが未登だったので、まずホッとしました。
この先から相甲国境稜線となります。この稜線の北側には道志川が流れており、緊急の場合エスケープが可能です。しかし道志の国道にはバスが走っておらず、下山したら車道を10キロ以上歩くか、高額の料金覚悟でタクシーを呼ぶか、はたまたヒッチハイクするか、要するによほどのことがない限り、歩き通すしか手がありません。
畦ヶ丸への途中から小雨になり、雨具着用。しばらくでやむと脱いだりします。小さなアップダウンが続き、ほとんどが直登、直下降なので体力を使います。でも平坦な部分も少なくなく、そのような場所はこれぞ稜線といった感じ。そこそこ遠望もきくし、路面も柔らかく、なかなか気持ちの良いものでした。
右手の道志側には集落が見えており、日がさしています。しかし頭の上はしだいに雲に覆われるようになり、ガスにまかれるようになってきました。最高地点の菰釣山あたりでは北からの強風となり、雨があられに変わりました。
コース後半になり、山中湖が近づくにしたがって人里に近くなるわけで、この先で携帯電話が通じるようになりました。早速タクシー会社に電話。この時午後3時、山伏峠までおよそ4キロ。4時10分から15分までに必ず下山するからとの予約を入れました(ちなみに山中湖周辺にはタクシーが1台しかないため、事前に予約しないと大変なことになります)。
シャリバテでヨロヨロする相棒を叱咤激励し、せかせかと歩きます。でも小さなピークが続き、得意の下りぶっ飛ばしができません。午後3時55分、山伏峠まで0.5キロの標識あり。ああ良かった、あと10分少々で下山できる。なにしろ相手を待たせることの大嫌いな私です。時間ばかりが気になっていました。
峠の上で、本日初の富士山とのご対面。頂上に見事な笠がかかり、山腹には雪煙が舞っていました。ゆっくり(5分ぐらいですが)写真を撮ったりして、お約束どおり、4時13分にタクシー乗車と相成りました。
タクシー乗車時にメーターは迎車料金710円が表示されていました。山伏峠から平野を経てバス停のある旭丘まで、メーターはどんどん上がり続けます。でも心は逆に浮き浮きします。だって最初はここを歩くつもりだったのですから。結局3590円を支払いました。迎車料金を差し引くと2880円です。タクシー料金は1キロおよそ400円ですから7キロということです。バテバテで、寒風吹きすさぶなか、暗くなった車道を、しかも野郎2人で2時間近く歩くなんて、思うだにゾッとします。
御殿場の居酒屋でいつもの通り反省会を催し、新宿行きの直行バスに乗車(トイレ付きで安心)。車中、8時すぎからはケータイ・ワンセグで真央ちゃんのジャンプに喝采を送ります。あまりに見事な出来栄えに、酔っ払った私は思わず涙ぐんだりするのでした。
今回の駆け足山行の感想です。やはり期待通りヒーヒー言わせてくれる、楽しく満足できるものでした。誰かごいっしょしないかなあ。
(写真はこちらです。)
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メンバー CL常盤豊 SL浜田泰 |
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