◆自主ワン「御座山」報告  


 ゴザヤマ?いいえ違います。オグラサンと読みます。小海線、小海駅から八ヶ岳の反対方向に20キロほど走ったところにあります。かつて、あの大島亮吉が「山 研究と随想」のなかで、「佐久の幽巒(ゆうらん)」と呼んだそうで、幽巒の意味も良くわかりませんが、それはそれはたいそうもったいない山なのだそうです。

 

 さてわたくし、生まれてこのかた飛行機に乗った回数は両手の指の本数くらい。新幹線にしたって手足の指の数より少ないかもしれません。山登りは基本夜行列車でしたし、最近はマイカー相乗りか小田急・京王と相場が決まっています。

 昨年からの1000円高速のおかげか、最近のJRは各種「とくとく切符」を連発しています。上手に利用すると、ずいぶん快適な山旅を楽しむことができます。会社への行きかえり、最寄り駅のポスターをチェックしていたら、「週末日帰りパス」のポスターが目に飛び込んできました。

 秋から年末までの週末、東京を中心として、熱海・伊東、小淵沢、佐久平・小諸、上毛高原・土合、那須塩原・日光・黒磯、水戸・常陸大子・常陸太田、千葉全部、JR東の日帰り圏なら新幹線も乗り放題という切符。1人では使えないけれど、2人用12000円、3人用18000円という設定です。4人なら2人用2枚、5人なら2人用+3人用と購入します。なお、この切符を使えばレンタカー1日2000円という、驚くほどのサービスが付いています。
 
 

 まず「とくとく切符」ありき。この切符の使用可能範囲を見てから、登るべき山を考えるという、これぞ本末転倒の思考方法で思いをめぐらしました。せっかくだから、なんたって新幹線であります。特に帰り、乗車駅で座れば1時間少々で都内に戻ることができます。日曜の夕方、中央高速の渋滞、勝沼から高井戸まで3時間という絶望的表示に、暗澹たる気持ちにさせられたことが何度かありますが、天地の開きとはまさにこのことです。

 さてさて、前説が長くなりました。新幹線に長〜く乗れる山…、ふうむ、上毛高原か、那須塩原か、佐久平か。こんな経緯で、かの佐久の幽巒にたどり着いたのでした。ガイドブックでこの御座山に登る行程を調べると、初日は登山口の旅館まで、翌日に一日数本のバス利用となっているのですが、新幹線・レンタカーなら10時前に登山口に到着できます。車に戻らなくてはならないので、登山口と下山を同じにしなければならないハンディがありますが、安価な日帰り登山が可能というメリットは、こんなハンディを補って余りあるものがあります。

 鎌倉からやってくる相棒と東京6時52分発のあさま503号に乗車、順調に8時20分に佐久平に到着しました。とりあえず「駅レンタカー」まで走ります。係員は1人しかいないだろうから、だれかに先んじられると10分ほど待たされるのです。ささっと受付を済ませ、8時30分に車をスタートさせました。国道141号線を南下し、小海から東に向かいます。左が北相木村、右が南相木村。どちらにも登山道がありますが、今回は行程の短い南からのコースを選択しました。

 栗生(くりう)という最奥の部落から林道を走り、登山口に着いたのが9時半。身支度を整えて9時40分に出発です。登山口の標高が1450メートル、山頂が2112メートルですから700メートル弱、まあ2時間くらいかな。40分歩いて不動の滝、ここで小憩し、ジグザグの歩きやすい登山道をぐいぐい登ります。あと少しで山頂、標高1900メートルあたりから岩場となります。楽しく汗をかいて、11時20分に見晴らしの良い岩塔の頂上に到着しました。

 

 この日は風が強く、お目当ての北アルプスは姿を見せませんでしたが、目の前の浅間山、上州の山々、八ヶ岳、奥秩父の金峰山・瑞牆山などが印象的でした。相棒は今回キヤノンEOS7Dという高級機持参。バチバチ撮る予定でしたが、少々肩透かしを食わされた格好でした。

 山頂で30分ほどを過ごし、11時50分から来た道を戻ります。相棒はリュックサックを背負い、交換レンズの入ったカメラバックを肩にかけ、それにむき出しのカメラを首にぶら下げるといういでたち。当然のようにバランスを崩して転倒し、腕に擦過傷を負いました。しかし木口小平なみの根性で、カメラは死んでも離しませんでした。

 駐車場に戻った時刻が1時半、ずいぶん時間が余っています。それでは温泉にでも行きましょう。南相木村に戻り、「滝見の湯」という立ち寄り温泉の評判がよろしいようです。何が良いって、料金が350円なのです。どうせ15分のカラスの行水ですから、いろいろ浴槽があって、いくら豪華でも関係ないのです。さっと済ませて、2時半から帰路につきます。小海経由で佐久平に3時すぎに到着。レンタカーを返却して、いよいよ反省会です。

 佐久平は新幹線開通に伴って新設された駅で、駅前にはジャスコくらいしかありません。しかし500メートルほどむこうに小海線の岩村田という駅があり、そこにはりっぱな商店街もあります。佐久に来たなら鯉太郎、橋幸夫です。岩村田まで移動して、鯉料理屋へGOの私たちでした。が、日曜の午後、料理屋・居酒屋はどこもやっていません。くそ、しかたないからラーメン屋でいいや、なんとラーメン屋もない。ええい、そば屋だ、ほとんど営業してない。ところが運良く1軒だけやっていました。「とりあえずビール!」、「うちはそば屋ですから、アルコールは置いていません」だそうです。まじめですよね、長野県。そりゃああんたら教育県かも知らんが、そんなのいかんがにぃぃ!

 寒風吹きすさぶ中、ビール求めて何千歩。結局コンクリートでできた街・佐久平に舞い戻り、夢庵という変哲もないファミレスで乾杯と相成りました。鯉無し、そば無しで1時間。薄暗くなった佐久平、17時13分発のあさま540号に乗車しました。席は9割ほど埋まっていましたが、無事に着席できました。大宮着18時06分、湘南新宿ラインに乗ろうとホームに降りたら、「快速むさしの号・八王子行き」が停まっていました。これってどこを経由するのか不明、池袋に行ってくれるのかしら?疑問を解決できないまま逗子行きに乗車し、帰路についたのでした

 写真はこちらです。
 
                      

常盤(S51年卒)