日程:平成21年12月19日(土)
参加者:浜田、常盤 |
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12月18日、片山右京さんが富士山で遭難しました。本人は生還しましたが、残念ながら同行の2名が亡くなられたそうです。女性なら市毛良枝さん、男性なら右京、ある意味登山界の助っ人大スターであり、今後復帰してくれるのか注目されるところです。幸い事故後のインタビューなど、冷静で真剣な応対をされ、胸をなでおろしております。
相棒から「今週はどこ行く?」と聞かれたのが週初、いろいろ考え箱根山という結論にたどり着いたのが水曜くらいでした。もっと雪のある山が相棒の希望でしたが、週末は今年一番の寒さとのことで、雪の降る山は吹雪だろうし、遠望の楽しめる山も、その遠望そのものが雲の中に隠れてしまうだろうとのことで、当初のとおり箱根に決定しました。箱根からは相模湾と東京方面、駿河湾と静岡方面の遠望が堪能できるでしょう。もちろん雪煙の富士山も間近に見られることでしょう。
さて、箱根山です。小田原から登山電車で行きます。ケーブルカーとかロープウェイなどに乗り継ぎます。大涌谷で黒いたまごを買います。芦ノ湖に着いたら、あとは遊覧船です。帰りはバス。どこに「箱根山」があるのかさっぱりわかりません。ガイドブックを開くと、たいてい金時山、明神ヶ岳、明星ヶ岳などの外輪山が紹介されています。ただし芦ノ湖畔からロープウェイで駒ケ岳という山に登ることができるそうです。神奈川方面から箱根を見ると、クレヨン新ちゃんの尻のような二子山が望めますが、登山禁止だそうです。
いちばん高い山は「神山」という山です。標高1437.8メートルもあります。丹沢の塔ノ岳とあまり変わりません。いくつかのコースが考えられるのですが、今回は箱根ケーブルカー終点の早雲山から登ることにしました。早雲山駅の標高が750メートルなので頂上までおよそ700メートルです。大倉尾根で言えば、見晴茶屋の上までケーブルが通じていて、そこから塔ノ岳に登るようなものです。なんでも丹沢に換算する、悪いくせが身体に染み付いていますね。
登山に入る前に、箱根登山鉄道の基本です。小田原が基点、途中に箱根湯本があり、強羅が終点、本邦屈指の登山電車です。小田原から箱根湯本までは狭軌(JRや小田急と同じレール幅)であり、箱根湯本から強羅までが標準軌(新幹線のレール幅)という、分断された路線を走っています。すべての乗客が箱根湯本で乗り換えることになります。
この会社、いまは実質的に小田急の一部門となっていますが、発足時はまったく別の会社でした。もともとは標準軌で小田原〜強羅を走っていたようです(設立当初は国府津〜小田原の馬車鉄道だそうです)。私の記憶にある50年くらい前の子供時代には、すでに小田急が箱根湯本まで乗り入れています。ここは狭軌の小田急、標準軌の箱根登山、レール幅が違うのに乗り入れるという、めずらしい三線軌条の区間だったのです。残念ながら2006年に登山鉄道の電車はすべて箱根湯本始発となり、三線軌条は廃止となってしまいました。ただし、車庫への引込み線の関係で、今でも一部三線軌条は残っており、また枕木に三本目のレールを撤去したあとが見て取れる場所があります。
箱根登山鉄道の最大傾斜は80‰で、大井川鉄道の90‰についで日本で2番の急傾斜だそうです(‰…パーミルと読みます。水平距離1000メートルに対して何メートル上るのかを表します。80‰なら80メートルです。道路の表示なら8%となります)。ただし大井川鉄道はアプト式になっていますので、通常のレールでは我が国最大の傾斜角です。
またもう一つのお楽しみはスイッチバックです。途中3ヶ所でスイッチバックが行われ、そのつど運転手と車掌が入れ替わります。信号所なのでドアは開きません。これに加えてループの部分があれば最高なのですが、そこまでお客に気を使ってはくれません(ループはありません)。
12月19日、いつもの通り板橋を4時56分発の電車で出発、池袋、新宿で乗り換えて、小田原に7時に到着します。冬至直前ですから、途中は真っ暗です。酒匂川の平野に出たあたりでようやく日がさしてきました。鎌倉からの相棒は5時半出発と、今回はゆっくりです。小田原から箱根登山鉄道(小田急の古い車両)に乗り、箱根湯本までは10分ほどです。ここで箱根登山鉄道の車輌に乗り換えて、いよいよ山岳路線の始まりです。
さて、小田原で多数のかわいい小学生が電車を待っています。顔つきからしてセレブ小学生です。こういうことに疎い相棒が、「いったいどこの学校だ」と聞いてきました。待ってました!「函嶺白百合さ」。強羅にあるお嬢様学校なのです。あの白百合の箱根支店、近隣の旅館、ホテルの社長令嬢などが通う学校です。箱根湯本から電車は3両編成なのですが、そのうち1両は白百合の小学生専用です。なんと貸しきり通学列車。強羅で改札を通る時、駅員が「ごきげんよう」と挨拶をしていました。トイレはご不浄でしょうか。
早雲山の駅前に登山口があります。急坂だけれど路面のやさしい道です。ぐいぐい登れます。50分で450メートルもの標高をかせぐことができました。そのあとお中道という山腹をからむ道をたどり、再び急坂を登れば笹原の駒ケ岳頂上です。気温はほぼ0℃、風速10〜20メートルくらい。ひぃぃ寒い、手はかじかみ、氷をほうばった時のように頭痛がします。
ところがです。目と鼻の先にはロープウェイの頂上駅があります。ここにいるのは登山客ばかりではありません。大半が観光客です。装備がどうとか分別くさいことを言いたいのではないのですが、なんとも寒そうです。さすがにハイヒールの人はいませんでしたが、いましたいました、スカートの女性。膝小僧の上は生足ですよ。
お楽しみの遠望。東側は、相模湾、横浜、東京、遠くにぼおっと筑波山。西側は富士山、愛鷹山、駿河湾。南に目を転ずれば、伊豆半島の左に、大島、新島、利島、式根島、神津島。寒気と強風で、予想通り南アルプスなどは雪雲に姿を隠していました。
駒ケ岳をあとに神山に向かいます。10分ほど下り、泥が流出して溝になった悪路を登ります。はぁはぁと50分ほどで箱根最高地点の神山頂上です。適当な広さがあり、好ましい頂上でしたが、潅木にさえぎられて景色はたいしたことありません。
さあ、そろそろ反省会が気になります。下りだしてしばらくで、早雲山駅方面と大涌谷に向かう道とが分かれます。今回は大涌谷へと下りました。蒸気がもうもうとわいており、硫黄のにおいがします。例の黒いたまご、1個100円くらいだったら買おうと相談していました。結果は5個500円という価格設定で、熟慮のうえ購入見送りです。
さて、この大涌谷(ロープウェイの駅)に下りてしまうと、大涌谷(谷の名前)が深く切れ込んでいて、徒歩で早雲山方面には大回りとなってしまいます。しかたなくロープウェイ利用となりました。あとはケーブルカー、箱根登山鉄道を乗り継いで小田原へ。
小田原駅前には好ましいお店がたくさんあります。今回は変哲もない居酒屋で十分反省し、美濃屋という土産屋に入りました。酔った勢いで超高価な蒲鉾を購入。おばさんといろいろ話したのですが、昭和21年生まれのおばさんは、なんと函嶺白百合出身だそうで、さらにフェリス女子大だそうで、そう言えばとても上品な方でした。あとで調べてわかったのですが、ここ美濃屋は鈴廣に勝るとも劣らない名店でした。
小田原からの帰り、いつもなら急行で帰るところですが、今回は酔った勢いでロマンスカー利用。乗車したのは、たまたま小田原→新宿ノンストップのスーパーはこね号でした。なんとも快適、うとうとして気づけば新宿駅直前でした。
箱根山、良かったですよ。登山口から頂上までの標高差がおよそ700メートル、コースタイムが2時間ほど。つぎの頂上までが1時間、下山も1時間くらい。ちょうどよいハイキングです。登山道の路面が柔らかいのが良い。石ころの道は歩きにくいですものね。また、名だたる観光地であるため、トイレその他の施設も清潔だし、それほど俗っぽくないし、印象度はほぼ満点です。ロープウェイを利用すればほとんど登らずに頂上に立つことも可能です。こんどは先輩、後輩の方々や子供連れでも良いなあと感じました。
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