◆富士下山転じて箱根湯坂道
  
日程:10月22日(土曜日)
  メンバー:生田・鎌田・松久・常盤
 
 

 常盤さんから自主ワンのご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
 すべては西日本から東進しつつあった邪悪な低気圧のせいなのです。週間天気予報で、一週間前から土曜・日曜は天候が悪化しそうとのご託宣。一日か二日ずれれば秋晴れという可能性ありと考えたのですが、さすがはスーパーコンピューター擁する大組織、こちらの我田引水勘ピューターの希望を見事に裏切ってくれました。前日の天気予報では、各地大雨、土砂崩れや鉄砲水にご注意くださいですって。



 21日の朝、ご一緒予定の三木先輩から会社に電話が。「常盤よう、ひでえ雨みたいじゃねえかよう。まあよう、平石とも相談したんだがよう、今回は中止にしたほうが良いんじゃねえか?」。うむむ、そりゃそうだわい、「わかりました、先輩のおっしゃるとおりでございます」。電話を切って中止を発信する文章を練ります。沈思黙考・熟慮の末、「悪天候のため中止、ただしオレは勝手に行きますので、もしもその気があったらどうぞ」としました。
 

10月22日気象図
 

 しばらくすると生田ちゃんから、「三木さん中止なのですか、ああん寂しい」というエロいメールが。そうかそうか、よしよしそれならオレと二人で箱根温泉旅行と洒落ようじゃないか。でもちょっと待てよ、「それでは肉食系に食べられてしまいそうでかわいそう、と気を使ってくれる人はどうぞご一緒願います」再度参加予定者あてに発信。鎌田君、松久君のご賛同を得て、今回は4人のメンバーとなりました。

 当初は、富士山の富士宮口五合目から宝永火山をかすめて御殿場ルートの大砂走りを爆走する富士下山の計画でしたが、悪天候だったら箱根登山鉄道乗り鉄・強羅から箱根旧道湯坂道を下る・早川漁港で大酒のみ、という複案も持っていました。この悪天候ですから富士山は来年までお預けでしかたありませんね。
 
 
20000系RSEロマンスカー「あさぎり号」(新宿駅)
 

 前にも書いたことがあるかと思いますが、箱根登山鉄道は80パーミルという急傾斜、R30という最小半径、3回のスイッチバックというスリリングな電車です。しかも小田原〜箱根湯本間は1067ミリの狭軌、箱根湯本から強羅までは1435ミリの標準軌、さらには入生田〜箱根湯本ではめずらしい三線軌条(レールが3本)を見ることができます。

 
 

 小田原に集まった4人は、小田急ホームの先に停車している箱根登山鉄道のほうへ移動します。ただし箱根湯本までは小田急の車両が乗り入れている関係で、待っているのはただの小田急の電車です。ほんの10分ほどで箱根湯本、これからが本番です。標準軌(新幹線のレール幅)の電車に乗り換えて箱根の山に挑みます。箱根駅伝5区のランナーと同じ気分、緊張します。しかし、しまったです。三線軌条は箱根湯本の手前にあったのですが、気づかずに見損なってしまいました。その代わりに、撤去されたレールが固定されていた枕木を見て、興奮していました。
 
箱根湯本駅
 

 箱根湯本の駅を出発すると、いきなり80パーミルの急坂です。おお、ぐんぐん登っていきます。まわりの家を見ていると、ほんの数秒で玄関から屋根を見下ろすあたりまで登ってしまいます。運転席後ろの「かぶりつき」は黒ぶちメガネ、小型リュックの本物の鉄っちゃんに占領されており、私みたいな初心者は遠慮せざるを得ません。それなりに男二人にあらん限りの説明をしましたが、生田ちゃんはとんと関心がないようで、紅葉がどうとかアジサイがどうとか言っています。紅葉はまだだし、アジサイは梅雨のころでしょ。
 
登山鉄道で


後ろの窓、土砂降り 



R30のカーブで車両の連結部分
 

 早川にかかる出山の鉄橋、3回のスイッチバックを経て、登山電車は無事に強羅に到着です。興奮して喉がカラカラなので、お茶でも飲もうかと近所のお店を物色しましたが、一軒も営業していません。そうだよね、ここは次のケーブルカーに乗るための単なる中継駅だもの。雨はじゃあじゃあ降っているし、いやになっちゃいます。このまま大酒のみにGO!?いえいえ、松久君が雨具を着て、ニコニコと準備しているではありませんか。しかたない、少しは歩くとするか。
 
 強羅駅、これから出発

 強羅から小涌谷まで車道を戻り、そこから小道へ、数分で山道です。千条(ちすじ)の滝という白糸の滝・縮刷版のような滝から、ローム層であれた急坂となります。根っことか、尖った石とか、雨で掘れてしまった道とか、ミミズとか、ガマガエルとか、あんまり良い道ではない。それにしてもかまちょふ君、結構調子いいじゃん、ちょっとゼイゼイしているけれど。
 

今回の行程
  

 およそ1時間で浅間(せんげん)山。箱根湯本まで90分、大平台まで50分だそうです。雨はほとんど上がり、プラプラ下るだけなのですが、何となく飽きてしまったので、大平台へのショートコースを選びます。ペースはゆっくり。熟達者の生田ちゃんはここぞとばかり慎重に歩きます。尻をぐっと落とし、転倒しないよう、見事な歩きっぷり。ちょっと生田、もう少しなんとかしろよ、こっちが疲れちゃうぜ。 
 

 雨は小降り、ノッポさんみたいな松久君です


 

大平台に下山

 まあいいです。大平台に無事到着。さあ温泉です。小さな温泉宿がたくさんあります。でも何となく敷居が高いです。お馴染みさんしか泊まらないみたい。いちげんさんお断りっぽい。日帰り入浴料金も1000円くらいでちょっとお高い。高いのを覚悟で目の前の旅館に入ったら、日帰りは月・火・水だけですって。ほかにも数軒あるので別に良いけど。っと松久君が500円の宿を見つけました。よし、よくやった松久!旅館「ともぎく」、アルカリ性の柔らかなお湯でした。

「ともぎく」ホームページより
 

 早川漁港で大酒飲み、という次の目標があるので、温泉で1時間も2時間もまったりするわけにはいきません。現在2時10分、玄関前2時45分集合というお約束で、男湯と女湯に分かれます。まあまあ、それほど忙しくないですよね。2時25分ころ、そろそろ上がろうかと身体を拭いていたら、女湯に人が入っていく気配が。おいおい時間大丈夫だろうな。

 2時43分、顔がつるんつるんになった生田ちゃん、ちゃんと間に合いました。さすが後輩。「あれ?おまえ、鼻に何突っ込んでんの?」時間が足りなくなって慌てた彼女、顔を洗うときに誤って指を鼻に突き刺し、粘膜ベロリ、鼻血タラーリだそうでした。白いティッシュがまぶしい、ううむ。


お風呂でさっぱりした4人 

 
大平台温泉の街並み




 ぶらりぶらりと大平台温泉から大平台駅へ。帰りも登山電車です。いちばん前は混んでいます。素人は困ったものです。よし、急いでいちばん後ろに移動です。だって次のスイッチバックで箱根湯本までこっちがいちばん前になるんだもの。80パーミルは下りのほうが迫力あります。線路が滝口から流れ落ちる水のように見えます。前につんのめりそうになるのは、傾斜のせいなのか、ブレーキのせいなのか。

 箱根湯本で乗り換え、行きに見損なった本当の三線軌条を確認し、小田原のひとつ手前の箱根板橋で下車です。ここから早川漁港まで1キロくらい。ここは先輩にまかせなさい。オレがタクシー代全部出してやるぞ。距離からして最低料金710円で済むことは計算済み。早川漁港の「海の幸を腹いっぱい食べる」はたいしたことありませんでした。中ジョッキ3杯。
 

早川漁港「小田原さかなセンター」ホームページより 



早川漁港 

 小田原から新宿まで帰ります。3分後にロマンスカーが発車です。券売機では時間切れで指定券を買うことができません。こんな時はホームに行っちゃえば良いのだそうです(駅員に教えてもらいました)。あと2分というところでホームの販売機で指定券ゲット。17時05分のロマンスカーに乗ることができました。ひとり松久君のみは普通の急行で帰ります。そうだ、君たち若いもんは無駄遣いしちゃダメだよ。年金もらえるかどうかわからないんだし。

 ロマンスカーは3人離れた席だったので、ここから先は他の方々ので動きはわかりません。私は新宿までの1時間少々で、中ジョッキ3杯の後遺症、ご不浄を3回もお借りしてしまいました。18時19分に新宿到着です。普通の急行で3回も途中下車していたら、(後で調べたところ)新宿到着は19時27分だったようです。特急料金870円で1時間08分の短縮は高くなかったです。



 こうして、晩秋の一日は無事に暮れていったのでした。富士山に行けなかったのは残念でしたが、まずまずでした。いちばん良い天候では湯坂道では物足りなかったでしょう。小雨の箱根をトコトコ歩く、なかなか趣がありました。  

 

常盤(S51)