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先の総選挙で、マエダがオオシマ(自民党の大島理森元幹事長ではありません)を破って、第一位に返り咲きました。お気に入りのイタノは前回第4位から第8位に転落してしまいました。選挙結果についてはさまざまな分析がされていますが、ワタクシとしてはカアチャン淫行のタカミナ以下というのが我慢なりません。まあタカミナが嫌いというわけでなく、がんばってねという思いが、正直なところでありますが。シノダもコジマもがんばれ!しかし、人気急上昇、天気予報のカシワギはあんまり好みではありません。
東京周辺の山で最も人気の高いのは、ミシュランから星をもらった高尾山であることは、論を俟たないところであります。続くのは丹沢の塔ノ岳、奥多摩の大岳山、箱根の金時山、筑波山あたりでしょうか。しかしワタクシにとっては、無名で控えめではありますが、滝子山がイタノ同様に大のお気に入りなのであります。いえいえ、イタノは某スーパーのポスターに採用されるほど有名だし、何度も整形を受けたと評判の美顔は、十分にハデハデでありますが。
深田久弥先生のなにかの文章で、鎌倉から東京に行く時、六郷川(川崎)の鉄橋から白峰三山を遠望するという場面がありました。左に本社ヶ丸、右に滝子山、その間、窓のように笹子峠がたわんでおり、その向こうに白く輝く南アルプスが見える。ワタクシも何度かそのご尊顔を拝する機会がありました(現在はビルが建ってしまって見えません)。そして、本社ヶ丸と滝子山はずっと気になる山となっていました。
その滝子山です。これまでに3回登っています。初回は今回と同様の厳冬期。林道に雪が積もっていて、意外なラッセルに大汗でした。次が盛夏。大量の蝉が目の高さにウヨウヨいて、ミンミンミンミンうるさくて気持ち悪かったです。3度目は晩秋。葉っぱが膝までの深さで、道がわかりにくかったです。
今回、相原さんのご都合に合わせて、2月18日(土)に滝子山登山を実施することになりました。ところがこの日、急遽夕方からリハーサルが入り、4時か5時には帰宅しなくてはならないというスケジュール。同行は、4月からもうひとつ責任の重いポストになってしまうらしい石井先生と、業容拡大で忙しい日を送る村上さん、それに業務中もインターネットを駆使して山行計画を練らねばならないワタクシ、忙しい4名です。野歩の会オリジナルメンバーは、相原・石井の強力メンバーとワタクシの企画ということが災いしてか、参加希望はありませんでした。
上板橋4時56分発の東上線始発、池袋で2分の待ち合わせで山手線に乗車、新宿で30秒の待ち合わせで総武・中央線に乗車、さらに高尾で1分の待ち合わせで中央本線松本行きに接続しています。石井さんは高田馬場、相原さんは荻窪、京王線沿線にお住まいの村上さんは高尾で合流です。
高尾から相模湖あたりまで来ると、景色は真っ白です。前日はこの冬最大の寒波到来で、関東地方も千葉県などを中心に雪となりました。ただし、三宅島と大島の間を低気圧が通過して、という関東大雪のパターンではありません。電車が神奈川県から山梨県に入り、笹子の峠に近づくにつれて降雪は逆に少なくなってきました。
笹子駅到着が7時すぎ。昨晩、雪はほとんど降らなかったらしく、路面はほぼドライの状況です。ただし気温は−5℃と厳しい冷え込みでした。国道20号をしばらく歩き、左折して吉久保の集落に入ります。中央高速を跨ぐ橋を過ぎて林道を上っていきます。駅から1時間少々で道証(みちあかし)地蔵、ここから山道に入ります。
まず大鹿川を渡り、雪のしまった歩きよい道で高度を上げていきます。ところどころ凍った場所もあり、若干滑りますが、アイゼンは不要。ところが地蔵から40分ほど、標高1050メートルのあたりで、村上さんから「アイゼンを履いてみたい」との要望があり、それではそうしましょうとなりました。小広くなった場所で、余裕で装着です。そして難所はそのすぐ目の前にありました。
登山道はいったん下り、ズミ沢に沿ってトラバースするようにつけられています。雪道のトラバースはほんとに怖い。ツルリと滑れば止まりません。沢まで10メートルくらいですから、万一の場合でも大ケガはなさそうですが、びしょ濡れになって敗退は決定的です。一ヶ所だけですが、踏みあとがなくなり、凍っていて、微妙なバランスが要求されるところもありました。
雪山の場合、@ストック、Aストックと簡易アイゼン、Bストックと本格的アイゼン、Cピッケルと本格的アイゼン、Dさらにロープ、このような順で装備がアップしていきますが、ここではCが必要であり、さらに念のためDのロープが欲しいという場所でした。ちなみに私たちの装備はAでした。難所は合計50メートルくらい、核心は5メートルくらいであり、前方には穏やかな道が見えていました。が、とにかく冷や汗をかきました。このような場所、塩っぱいという表現を使うということです。
このあとアイゼン装着のまましばらく登りましたが、やはりアイゼン歩行は脚に負担がかかります。鉄の下駄を履いて訓練するが如くであるし、ツァッケを雪面から抜くときにも負荷がかかります。相原さんから、ふくらはぎが痛くなってきたとのご指摘があり、きわどい場所も終わったので、いったんアイゼンをはずします。
ズミ沢を離れ、なだらかな道が続きます。石井先生が先頭に立つと、スコスコと先に行ってしまいます。ここらで村上さんの額には汗が浮かんできます。普段の心がけの違いでしょうか、年齢差15歳なのに置いていかれます。標高1400メートルあたりからは、広いスキー場のような道となり、大谷ヶ丸への道を分けて、滝子山頂上直下に到着です。最後の急坂をあえいで登ると、そこが滝子山1620メートルの絶巓でした。富士山、南アルプスはもちろん、うまくすれば穂高岳が望めるビューポイントなのですが、この日は寒波・強風で富士山と近場の山のみの景色でした。
頂上で15分、写真を撮って、食べ物を少々口にしたら下山です。下山開始は12時前ですから、14時の電車に間に合うはずです。最初の岩混じりの急坂を下り、ほんの少し登り返すとそこに三角点、1590メートルです。ここが本来の滝子山であり、1620メートルの頂上は無名峰というのが正しいのだそうですが、それはへ理屈と言うものです。三角点は三角点で、頂上は頂上です。さあ、ここから初狩まで標高差1100メートル、ほとんど登りはありません。
こちらの道は南向きの尾根道で、雪はほとんど消えています。尖った岩があったりして、多少注意を要しますが、1分で20メートルくらいずつ下れます。頂上から駅まで1時間か、かかっても1時間半くらい。14時の電車なら楽勝だな。ところが不摂生の村上さん、大ブレーキ。足が動かん。さらに標高1000メートルあたりから、日陰のツルンツルンに凍った道となり、急激なスピードダウン。さきほどの1分で20メートルが、1分でやっと3メートルくらい。全員へっぴり腰で歩幅20センチ、ときどきツルリと転倒。20分くらい我慢して様子を見ましたが、こりゃあ我慢なりません。再度アイゼン装着です。
足痛の村上さんでも1分10メートルくらいのペースを取り戻しました。時計を見ると、ありゃ13時20分、電車に間に合うかどうか微妙な時間。もう危ない場所や道迷いの心配もないし、リハーサルの時間ギリギリの相原さんと石井さんに先に行ってもらいます。こちらは村上さんとゆっくり歩行。二人が電車に間に合いますように。
初狩駅近くでメール受信。甲府の近くで人身事故だそうで、中央線は不通になっていました。相原さんと石井さんは、なんとか時間通りに駅に着いたのですが、しかたなく様子見だそうです。私たちは、先行より30分ほど遅れて町中に到着。相原さんから「国道20号でタクシーを拾って大月までどうでしょうか」と尋ねられましたが、こんな田舎を流しているタクシーなんてあるわけないですよね。初狩駅で大月のタクシー会社に電話して、迎えを頼みます。15分ほどでタクシー到着。大月では、ちょうど東京方面への電車が発車しそうな様子。お二人を見送って村上さんと二人での反省会となりました。
高尾、新宿、池袋と乗り換えて、東上線は予定通り、となりの駅まで寝過ごしました。オカンは、映画かなにかで帰りが遅いよと聞いていました。誰も居ない家でシャワーを浴びて寝ましたが、それが何時だったのか、誰にもわかりません。気がつくと、酒くさい自分とネコがいっしょに寝ていたのでした。
写真はこちらです。
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常盤 |
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