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グィングィン歩き続ける山行から、しばらく遠ざかっています。下山したときに筋肉痛を覚えられるような、少々ハードな山登りも楽しいものです。今回は、オーソドックスに、丹沢表尾根と致しました。メンバーを募ったところ、平石・三木両先輩、石井兄、それに田中後輩が手を挙げてくれました。
大倉、ヤビツ峠、どちらから登っても良いのですが、今回はヤビツ峠からの西行を選択しました。大倉からだと、塔ノ岳に登って目的を達成してしまい、何となくそのまま下山してしまいたくなるものです。目的完遂に向かって邁進するイメージを具現(プッ、なんとも大げさ)致しました。
秦野発ヤビツ峠行きバス、始発は7時35分、次が8時18分です。この始発のバスになんとしても乗車しなくてはなりません。秦野着の小田急下りは6時40分、54分、7時09分、18分、27分にそれぞれ到着します。7時27分到着の電車でピッタリと思いきや、大きな間違いです。この時刻には数百人もの登山者が列を作っており、バスの増発も台数が決まっているため、乗りこぼれ必定です。
半年ほど前、普通の土曜日、7時18分着の電車を利用しましたが、そのときは2台目のバス、しかもギリギリ最後に乗車でした。今回はゴールデンウィークですから、念のために7時09分着の電車を利用してもらうよう、参加の皆様にお願いしました。
私も7時09分の電車のつもりでしたが、愛用している駅トイレと腹の調子がかみ合い、ひとつ前の電車に間に合ってしまいました。6時55分ころ秦野駅北口、バス停に向かって階段を下っていると、なんと前方に田中後輩がいるではありませんか。6時40分に着いたの?
「今回のメンバーは何人ですか?」「えっ?5人だけど」「それじゃあ、ダメですね。タクシーはみんな4人乗車(プラス運転手)みたいだから」、というやり取り。今回は、皆様に、丹沢・大山フリーパスを利用していただくようアナウンスしてあります。行きかえりの電車賃、丹沢エリアのバス、すべて込みで、新宿から1480円です。今回のコースでの通常の電車賃が往復1300円ですから、180円で地域のバスに乗り放題という計算になります。この切符を使わない手はありません。ですからタクシー利用は、はなから考えていませんでした。
「タクシーだと、出発が1時間早くなるんですけどね」と田中後輩。そうか1時間かあ。ヤビツ峠にバスが到着するのが8時20分ころ。身支度を整えて、富士見橋まで20分の下り。登り始めは8時50分です。さらに長蛇の列となり、渋滞につかまってしまった場合、二ノ塔まで2時間などという大変な事態も考えられます。
「運転手さん、5人なんですが、何とかならないでしょうか」ワタクシが交渉致します。つまり4人定員のタクシーに、無理やり5人乗せてちょうだいという訳。そうしたところ、意外な答えでした。「お客さん、そりゃあ2台だよ(当たり前)。でもこの界隈に5人乗せられるタクシーが2〜3台あるよ。今、いないみたいだけど、来るかなあ」この交渉が7時05分ころです。
いったんバスの列に戻り、タクシーがやってくるのを見つめます。要するに、前の座席が長いタクシーであるか否か。3台目くらいのタクシー、やった5人乗車のタクシーだ。さきほど交渉した、別のタクシーの運転手からも声がかかります。「お客さん、来たよ、来たよ」うれしいじゃありませんか。7時08分くらいです。「今の電車で、あと3人が降りてきます。ちょっとだけ待っててください」と、ワタクシ。7時10分、予定通り3先輩が姿を現し、めでたくヤビツ峠へGO!となったのでありました(正確には峠の先の富士見橋まで)。
4月末なのに冬型の気圧配置、ただし寒気流入でにわか雨も、こんな天候です。この時間、空気は澄んでおり、眺望はまずまずです。蓑毛からクネクネした車道はずいぶんと整備され、快適な山岳道路。箱根や相模湾、東京湾方面が見渡せます。
タクシーはヤビツ峠を越えて、7時40分ころ富士見橋に到着しました。料金は4700円、ひとり1000円くらいですので、高いわけではありません。先行するのはマイカーとタクシー利用者のみなので、渋滞の心配はありません。7時56分、いよいよ練成登山のスタートです。先頭はいつものとおり平石先輩。「ご自分のペースで、無理のない範囲で、そこそこのスピードで歩いてくださいね」
富士見橋の標高650メートル、二ノ塔1150メートル、標高差500メートルです。1時間で登れれば上出来でしたが、到着は8時52分、なんと56分です。平石先輩、ちょっと頑張りすぎでした。「うう、苦しくて、タバコも吸えねえ」だそうでした。
つぎの休憩は三ノ塔。南アルプス様もその神々しいお姿を現します。烏尾山をパスし、行者岳の岩場を通過します。10メートルほどの垂直に近い岩場を、クサリを頼って下ります。高校生だったワタクシが、槍や穂高を夢想した場所ですが、あれから40数年もの時間が経過してしまいました。なお、ここは最大の渋滞ポイントです。通常30秒ほどで下れますが、5分も6分もかかってしまう人がいて、大渋滞となります。この日の2時間後もきっとそんな感じであったことでしょう。タクシー万歳であります。
そのまま、書策小屋跡まで進みます。ここで、3度目の休憩。小屋は完全に撤去され、跡地は広場のようになっています。丹沢名物書策じいさんは、4年前に亡くなられたそうです。晩年はここでコーヒーを轢いて商いをしており、その姿を見かけたことがありましたが、立ち寄ることはありませんでした。残念なことをしました。
いよいよ最後の登りです。新大日の小屋(営業しているのを見たことはない)を過ぎ、木の又大日を過ぎ、頭の上に塔ノ岳、尊仏山荘が、もう指呼の間です。ここで平石先輩、足が攣ってしまいます。大腿四頭筋(腿の前の方の筋肉)のようです。でも、急げば5分、どんなにゆっくりでも15分くらいで頂上です。「ひとりでゆっくり行くから、先に行ってくれ」、それでは頂上で待っていることにしましょう。頂上で、田中後輩がコーヒーを沸かしてお待ちすることにしました。もちろん問題なく、5〜6分遅れで到着です。
さて、塔ノ岳から南アルプスが一望できます。蛭ヶ岳の左に甲斐駒ケ岳、そこから鳳凰三山、白峰三山、塩見岳、荒川三山、赤石岳、聖岳までずらりです。しかし、ひとつ見えないジャイアントがあります。光岳です。世界遺産、でっかい円錐状の山に隠れてしまっています。しかし尾根を北にたどれば、山すそから出てくることを事前に調べておきました。丹沢山方面に40分、竜ヶ馬場からは見えるはずです(カシミール使用)。今回の最終目的地は、この竜ヶ馬場の予定でしたが、南アルプスは見えることは見えるが、頂上部分が雲に隠れているという状態で、まあ次回の楽しみということに致しました。
あとは大倉尾根を下るだけ。そこそこ広い道なので、すれ違いもスムースです。「あの40年前、泥の一枚バーンみたいな滑りやすい場所はどこなんだろう」田中後輩とおしゃべりしながら下ります。注意して見回していると、花立山荘直下、今は鹿の食害から守るためのネットが張られているあたりが、どうもそこらしいことがわかりました。
2時45分に大倉着、3時10分のバス乗車です。バスは完全に満杯状態。立錐の余地もありません。神奈中、ボーナス、ずいぶんはずんでくれそうです。三木先輩ごひいきの店が厚木にあるそうです。念のため、電話予約をとってくれました。4時前にお店に入り、6時ころまで反省会。さて、厚木からの帰りです。南町田の先輩が相模大野から中央林間経由はわかるのですが、自由が丘、大田区の雪谷に帰るにもこのルートのほうが便利なのだそうです。さらに、早稲田(大学の近く)ですら、代々木上原から副都心線経由なのだそうで、新宿駅まで乗り続けたのはワタクシひとりぼっちでした。それにしても、西の山に沈む夕日は、なんともきれいでした。そして翌日、予想通りの筋肉痛。たいそう充実した一日でした。
写真はこちらです。
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以 上 |
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