◆「中央線沿線・矢平山から秋山温泉」報告   

  和田(則)さんからGW前半の山行のご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
日 程:平成25年4月29日(月・祝)快晴

コース:JR四方津駅 − 新大地峠− 矢平山 − 新大地峠 − デン笠 − 金ピラ山 − 富岡集落
     − 秋山ネスパ温泉 = タクシー = JR上野原駅

同行者:阿部、佐藤、北島、和田(記)




  • 中央線の四方津(しおつ)周辺は若葉が緑濃く、登るに従い、新緑から芽吹きへと季節を戻った。得した気分となる。両手に花の山歩きだったが、山の花の種類は思いのほか少なかった。私の記憶に基づき楽々コースとしたものの記憶違いがあり、想定よりもハードな山歩きであった。

  • 四方津駅は古い木造瓦葺きの駅舎。軒下にはツバメの巣が3つ、幼鳥が飛び立ちの準備中だった。登山者は2、3のグループがバス停からバスで扇山に向かい、2、3のパーティは新大地(しんおおち)峠へ歩いて行った。
    里は若葉、山々の中腹にはたくさんの藤の花が満開。藤の里というべきか。駅横から山上の戸建ニュータウンを結ぶ屋外エレベータは森に飲み込まれそうだ。

  • 大月市内のハイキングコースには、しっかりとした道標が設置されている。各所に「熊出没注意」の立札。昔からの峠道なので歩きやすい。路傍には終わりかけのキケマンやムラサキケマンソウ。黄色の大きな花が目立つハナノオウ。咲き始めのホウチャクソウ、チゴユリが目についた。

  • 北方向にはなだらかな奥多摩の笹尾根が広がっていた。山は落葉広葉樹林なので、山道は瑞々しい若葉の薄緑色に染められ、心地よい風が吹き抜ける。若葉の黄緑をバックにヤマツツジの赤が目についた。足元にはイカリソウやフデリンドウ(今までハルリンドウと呼んでいたのは誤り)、大きくなったヤブレガサが春本番を告げていた。

  • この山行で気になる動物の痕跡が2つあった。ひとつは山道の真ん中に残された大型獣の糞。熊かイノシシか。もう一つは木の根っこに掘られた直径15cm程度の穴。4、5m離れた場所にもあった。タヌキか、キツネか、アライグマか。

  • 尾根上部は緑の光と5月の風が気持ちよい。登山者とも遭わないのが更に好ましい。と思っていたら、中学生3人がエネルギッシュに走り抜けて行った。あとを大汗をかいた中年男が、「中学生が通りませんでしたか」と追いかけた。

  • 新大地峠に近づくころ、突然、林道建設現場に突き当たった。以前から工事は行われていたが、更に延長工事のようだ。完全舗装林道なので林業用ではない。
    国土地理院の地図も登山地図も林道を反映しておらず、進むべき方向に戸惑いを覚える。かつてのタチツボスミレの大群落はなくなっていた。

  • 林道沿いの山の縁から、道標に従い林道に下りると、「お休み処」が設置されていた。よい発想だ。ここで一休み。テーブルとイスがあったが、セットものとしてトイレもほしい。
    大地峠とは別に、林道建設により新大地峠ができたようだ。「新」は大丸という山頂にあった。大丸では高柄山(たかつかやま)の奥に、高尾・城山と小仏峠を遠望。

  • 大丸には我々の下山路「金山峠」方面を示す道標があったが、山道はロープで閉鎖。まずは、反対方向にある矢平山方向に向かう。登り道は新緑と芽吹き。落葉樹下のかつてのキンランはなかった。

  • 矢平山の山頂を通り過ごし、誤りに気づいた場所でコーヒー等を沸かし昼食とした。間違いは、山頂に数人先客がいたため記憶よりも山頂が狭く感じたことと、「ここはヤダイラヤマですか」と尋ねると「ここはヒラヤマです」と返事があり、ヒラヤマは矢平山手前の小ピークと判断したことによる。「ヒラヤマ」は「ヤヒラヤマ」の聞き洩らしのようだ。山名の立札はなく、正式名はヤダイラヤマだと思うが自信もない。

  • 昼食後、矢平山を経て大丸へ戻り、立ち入り禁止のロープをくぐり、先の林道を横切り植林帯に入った。道はしっかりとしている。Kさんの古い登山地図には金山峠、金ピラ山へのルートは実線表示も破線表示もない。私の最近買った地図には実線表示がある、そんな山道だった。

  • 緩やかに植林から新緑の道を下ると、金山峠に着いた。大月市の道標がある。峠の4方向のうち、進むべき方向には行き先表示はない。踏み跡も薄かった。新緑と若葉の道を同じように緩やかに下る。足元には花が少なく期待外れであった。デン笠(山)から金ピラ山にかけては、ヤマツツジが多く、かつ満開。

  • デン笠と金ピラ山の下りが唯一、急な下り。標高差30mの下りは記憶違いで、実際は60、70mもある下り、木の幹や枝を頼りに注意深く下りた。

  • 桜井峠周辺で道は尾根を外れ、里に下る。里入口には道祖神ではなく、人間界と動物界を隔てる2m高のフェンスが立ち塞がっていた。知恵のある我々は扉を開けて人間界へ戻った。集落と畑すべてがフェンスで囲まれる人間界。

  • 小鳥のハクセキレイ、蝶のウスバアゲハ、畑には名前不詳の白い野菜花。民家近くには藤棚と鯉のぼり。GW時期の山間集落の風物詩である。

  • 秋山温泉はGWにもかかわらず、閑散としていた。入浴に順番待ちも覚悟していたので拍子抜け。広いレストランは我々貸切。GW前半の最終日夕方という事情によるらしい。上野原駅との連絡バスは、日曜日、祝日は運休とのこと。これも原因の一つではないかと思いつつ、予想外のタクシーを手配し、駅へ出た。このようにして山の春の1日が静かに終わった。


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