◆「尾瀬・尾瀬ヶ原」報告   

  和田(則)さんから自主ワンのご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
日 程:平成24年5月3日(木)〜4日(金)雨

コース:3日:上越新幹線上毛高原駅=(バス)=鳩待峠−山の鼻(泊)−尾瀬ヶ原散策
     4日:山の鼻−鳩待峠=(バス)=戸倉温泉=(バス)=上越線沼田駅

同行者:中村、水堀ご夫婦、阿部、佐藤、和田(則)(記)




  • 最初の計画が、残雪期の「尾瀬笠ヶ岳−至仏山−尾瀬ヶ原−尾瀬沼」を縦走するもので、野歩の会の山行にそぐわないため、周辺に声をかけた。その後、「尾瀬ヶ原と至仏山」計画とし実施したところ、雨で「尾瀬ヶ原散策」となったもの。
    3日は朝から交通機関に支障がでるような大荒れの天気。初日は小雨の中、雪の尾瀬に入り、積雪とガスが織りなす墨絵の世界を歩いた。翌日も雨のため、至仏山登山をあきらめ、戸倉温泉に立ち寄り、山行を締めた。GWのにぎわいはどこに行ってしまったのかと思うほど、閑散とした街と山だった。


  • 事前に「大荒れ以外は実施する予定」と同行者にアナウンスしたが、大荒れの中の出発となった。大荒れは南関東で、上越地方は「曇り」か「曇り一時晴れ」と予測し実施。東京駅はGW混雑のほかに悪天候による列車遅延が発生し大混雑。上毛高原駅でのバスへの乗り換え時間は10分、新幹線は11分遅れで出発。ハラハラしたが新幹線は遅れを5分間に短縮し上毛高原駅に到着。すれすれでバスに乗車できた。


  • 尾瀬戸倉行き路線バスには我々以外に客はいなかった。30年前のGW時の混雑は過去の話。車窓から見る沼田の町はシャッター商店街、誰も歩いていない。その先、吹割の滝、片品と戸倉の民宿街も人気がない。雨が原因ではない。GW期間中である。ぞっとする光景だった。
    バスが高度を上げるに従い、景色は新緑から芽吹き、芽吹きからモモの花、モモの花から桜の花、梅の花と季節をさかのぼっていく。最後はフキノトウから残雪に変わった。戸倉では桜が5分咲きから満開、梅の花も咲いていた。川は雪解け水に加え、昨日来の雨で濁流だった。


  • 戸倉でマイクロバスに乗り換えた。運転手に尋ねると、「積雪は例年と同じだが、3、4月の低温で融雪が進まず、鳩待峠の積雪は例年を1m越える3m程度」とのこと。鳩待峠の駐車場にはマイカー。休憩所では20名程が出発の準備をしていた。我々もスパッツと簡易アイゼンをつけ、雨の中出発。
    休憩所によると、山の鼻までの道は谷底ルートだったが、最近谷底で雪が割れ始めたため、ルートを山腹に変更したとのこと。


  • 雪に残された踏み跡を拾いながら、足を進めると、突然踏み跡がなくなることがあった。昨日までのルートが枝沢の雪の底割れで通行できなくなったものだ。自然と上部にあたらしいルートがつけ替えられていた。ルートは概ねゆるい斜面を巻いていたが、2、3箇所急斜面をトラバースしていた。滑ると谷底まで40、50m滑落するので、慎重に渡った。
    30分ほどで開けた河原に出た。このルートには大きな樹木が沢山生えており、感動ものであった。峠から前後して3組が出発し、前後しながら、山の鼻に到着した。


  • 雨のためか、山の鼻も人気がない。テントが2、3張り雨に打たれていた。宿泊先は山の鼻小屋。尾瀬ヶ原に面し、入口に昭和27年に皇太子が宿泊された旨の札が掲げられていた。
    ひと休みののちアイゼンを外し、誰もいない尾瀬ヶ原に散策に出かけた。原は雨とガスで遠方の風景はぼやけ、雪と近景の樹木の織りなす水墨画のようであったし、異次空間のようでもあった。雪はもぐることなくどこでも歩けたが、踏み跡を拾った。ときたま、雪を破り木道の隙間に片足を落とすことがあった。先頭を歩いたNMさんは3回も踏みぬいた。牛首周辺で小屋に引き返した。


  • 山小屋の主人に聞くと、予約客30名が悪天候でキャンセルとなり10名になってしまったという。おかげで乾燥室も部屋も食堂もゆったりと使えた。
    部屋の炬燵に入り、持参のコンロでお湯を沸かし、焼酎のお湯割り。そとは積雪、まるでスキーに来ているようだ。ぬるい湯ではあるが風呂にも入れた。夕食後は部屋で雑談。暖かく眠れた。小屋には尾瀬写真で有名な山岳写真家の花畑氏が逗留していた。尋ねると、「雨だから撮影には行かない」との返事。


  • 翌日も窓の外は乳白色の世界。雨が降っていた。TVの天気予報は、9時頃の曇りを除き、終日雨。気持ちに沿うように至仏山は中止し、鳩待峠に下山することにした。気温は7、8℃で昨日よりも低かった。鳩待峠手前で、薄日が差し、太陽が顔を出した。雪は輝き、梢も光り始めた。自然がくれたささやかなプレゼントに違いない。至仏山がその姿を現した。30分でふたたび曇りとガスの世界に戻ってしまった。


  • 峠からマイクロバスで戸倉に出て、温泉に入ることにした。吊り橋を渡り戸倉の親水公園を散策し、先輩方が昨年夏に利用した日帰り温泉「かもしか村」へ。誰も利用していない、立派な公園に違和感を覚えた。5分咲きの桜を眺め露天風呂に浸かった。風呂からあがり、山菜天ぷらとソバ、ビールに冷酒で乾杯。バスに置き忘れたことも忘れていた私の土産がマイクロバスの運転手から「かもしか村」に届けられた。「日帰り温泉はかもしか村に行こう」という我々の会話を聞きおぼえていたようだ。感謝、感謝。


  • 上毛高原行きにバスに乗り下界に下ると日差しがあり、吹割の滝では観光客が出ており、GWらしい光景となった。急ぐ旅でもないので沼田駅から鈍行で帰京することになった。小野子山、赤城山、榛名山を眺め、高崎からは湘南新宿ラインに乗り換え、都内に入る頃には夜となっていた。

   写真はこちらです。


  (至仏山登山の参考)
   ・4/27〜5/6は、峠からも山の鼻からも登下山できるが、ルートに規制がある。
   ・5/7〜6/30は、至仏山、笠ヶ岳とも、峠からも山の鼻からも入山禁止。
   ・7/1からは、至仏山から山の鼻への下山禁止。登りはOK。


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