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- 日程 9月27日〜28日
- メンバー 相原、常盤(記)
今年の夏は光岳・聖岳に登り、白山は雨でダメでした。また、夏の初めと終わりに富士山に登りました。それぞれ、まずまず満足ではありますが、なんとなく、岩の山が恋しいような気がします。土・日で穂高岳強行というプランを思いつきましたが、費用対効果の小ささ、計画の硬直性などから見送り。南八ヶ岳縦走なら一般的だろうと、メーリングリストなどでご案内した次第です。
この八ヶ岳という山域、天気が良ければ、必ずそれなりの満足を与えてくれます。しかし、いろいろと予測ができてしまい、思わぬ大感動ということはありません(昭和45年、初めての八ヶ岳は感動の連続でした)。もう少しワクワクできる山はないだろうか。
幸いと言うか、八ヶ岳には同行希望の方がいなかったので、登る山をもう一度考え直してみました。電車で行って一泊、思い切り体力を使う山・・・、こうして甲斐駒ケ岳黒戸尾根往復が、浮かんできたというわけです。これまで何回か登っていますが、ひとりでというのは初めてです。
甲斐駒ケ岳黒戸尾根、北杜市白州町の竹宇駒ケ岳神社から登ります。ここへはマイカー利用が便利です。東京から中央高速で韮崎ICまで1時間半、さらに国道20号経由で1時間弱、合計2時間半というところ。また電車なら、特急あずさ小淵沢下車、そこからタクシー利用となります。
昭和47年の夏合宿、黒戸尾根で無残なノックアウトを食らった私ですが、その時は、確かに韮崎からバスで駒ケ岳神社まで行きました。しかし現在、こんな路線バスはありません。小淵沢からタクシーを利用したことはありますが、ひとりでタクシーはちょっと贅沢すぎです。ところがインターネットで、駒ケ岳神社に行くのに、白州町あたりを歩くという記述があるのを、読んだことがあります。もしかすると、バスの利用が可能かもしれません。
竹宇駒ケ岳神社のHP、アクセスを見てみました。マイカー、タクシーはわかっています。「JR中央本線韮崎駅より山梨交通バス下教来石行きで白須下車(約40分)」これです。そうかそうか、山梨交通のHP、下教来石行き(何て読むのでしょう?)バスなんて、どれくらいあるのでしょうか。おお、2時間に一本くらいあるじゃない。8時40分、10時15分・・・。8時40分のバスに乗るため、新宿7時のスーパーあずさ1号、ええと土曜は韮崎8時39分着。ゲゲゲ、ダメじゃん。乗り換え時間1分では、ほぼ間違いなく乗り逃がしです。念のため山梨交通に電話しましたが、JRに接続せずに、定時運行だそうです。さらに、平日、日曜は8時37分到着であり、土曜だけ、曜日指定のイジワルです。
ということで、新宿5時38分発の鈍行高尾行き、乗り換えて鈍行松本行きを利用することに決めました。韮崎8時28分到着ですから、ちょうど良い(決して特急料金をケチったのではありません)。
つぎはタクシーです。駒ケ岳神社のHPにあるとおり、バス停から40分歩けば登山口です。しかし畑の中の登り勾配の車道をテクテク歩く気は起きないです。そこでタクシー利用となります。小淵沢駅前から15キロ、最も近い長坂からでも10キロ以上あります。タクシー料金は1キロ当たり350円くらいですから4000円か5000円くらい。ケチケチ歴60年の私にとっては、我慢ならない高額負担です。そこで地元のタクシー会社を探してみたらあったのです。旭タクシー武川営業所。韮崎からバスに乗って白須まで行き、タクシーはここから駒ケ岳神社まで。徒歩40分ならおよそ3キロ。だいたい1000円くらいかな。
さらに、もう一つおまけがJRの節約です。ここまで来たらなんでも有り。山手線内の駅と、東京から100キロ以上の駅との乗車賃の計算は、乗車駅⇔下車駅でなく、東京駅⇔下車駅であるのをご存知ですよね。今回、池袋から韮崎まで乗車しますが、東京から韮崎までの営業キロで計算をします。池袋からなら141.5キロなのに、東京からだと147キロであるため、ずいぶん高くなってしまうのです。すなわち、池袋⇔韮崎、新宿⇔韮崎、東京⇔韮崎、どれも2520円です(東京⇔池袋の計算)。
山手線の外の駅から乗ると、このような特殊なルールは適用されず、営業キロそのままで計算します。今回は、大久保から乗車します。大久保⇔韮崎135.3キロ、2210円です。池袋から新大久保まで乗車(150円)し、ここから4分、大久保通りを歩けば大久保駅に到着です。2520円−(2210円+150円)=160円、これは大儲けですよね。
池袋→新大久保(150円)、新大久保→大久保(0円)、大久保→韮崎(2210円)、韮崎→白須(830円)、白須→駒ケ岳神社(1000円くらい)、合計4190円くらい。あずさで小淵沢に行き、タクシーで駒ケ岳神社まで行けば、JR5040円+タクシー代5000円くらいですから、だいたい10000円です。へへへ、半値以下。用意は整いました。いよいよ甲斐駒に向かってGO!であります。
9月27日(金)の午後、相原さんからメール。「八ヶ岳に行きたかったが、日曜の夜仕事があるので行けません。気をつけて行ってください」。ああ良かった、八ヶ岳に行くつもりで、連絡なしに茅野駅に来ても、私はいません。「連絡ありがとう、実はひとりなので、甲斐駒ケ岳に行く先を変更したのですよ」。相原さんより再度返信「それって、日曜の夕方、4時までに荻窪に帰れますか?」。何じゃとう?ってことは、4時までに帰れるなら同行してくれるの?4時までに帰るなんて当たり前。そんなやり取りをして、急遽ふたりで行くことになりました。「荻窪5時51分発の高尾行きに乗ってね」。
予定通り4時56分上板橋始発に乗り、予定通り池袋で御不浄をお借りし、5時26分の山手線乗車、新大久保から大久保までブラブラ歩いて大久保から高尾行きに乗車。相原さんと落ち合い、八王子で松本行鈍行に乗り換えます。韮崎に8時28分、予定通り到着し、8時40分発のバスに乗ります。8時39分着のあずさは若干遅れたらしく、誰もこのバスには乗れなかった模様です。ってか、そもそも乗ろうと思っていた人がいないのか?
タクシー会社に「北杜市役所9時20分お願いします」と予約しましたが、これが間違い。バスを降りた場所はヤフーの地図で「北杜市役所支所」となっており、しかもその支所も閉鎖、解体中でした。タクシー会社と何回かやり取りし、およそ30分のロス。まあ、たいしたことありません。竹宇駒ケ岳神社に9時50分すぎに到着し、10時にいよいよ出発です。
神社の境内を過ぎ、尾白川をわたり、急坂を登ります。登山道は、しばらくで一旦水平になり、再び急傾斜になります。およそ1時間、標高差350〜400メートル登ったあたりを目安に休憩します。3回目の休憩のあと、急に花崗岩の岩ゴロに変わり、すぐに刃渡り。40年前、ここで転落したんだよね、良く助かったもんだ、なんて話をします。
次は刀利天狗(とりてんぐ)の急坂、毎回苦しい思いをします。黒戸山の上部を巻き、5分も下れば五合目小屋跡です。壊れかけていた小屋はきれいに撤去されています。ほんの少し下って、いよいよ最後の壁です。長いはしごに息が切れ、蓄積した疲労で足が上がりません。ただ、何回も登った道なので、つぎに何が出てくるか予測済みで、その分、楽ではありますが。15時40分、だいたい予定通り七丈小屋に到着です。
いつもの小屋の風景であり、特段報告すべきこともないのですが、ひとつだけ。今回は、頼めば夕食を出してもらうことが可能でした。夕食付きにするためには、遅くとも4時までに着くこと。ただし、いつも必ず用意できるわけではないそうです。これまで何回か泊まっていますが、夕食が出されたのを見たことありません。それが今回は出たのです。覗いてみましたが、確かにご馳走です。でも我々、すでにビールでお腹いっぱい。多分、ほとんど残しちゃったろうなあ。結局おにぎりひとつ食べて、7時前に眠りに落ちました。
翌朝、3時11分起床、外は満天の星。4時過ぎには出発です。フリーズドライ味噌汁と、おにぎりで朝食を済ませ、4時20分に出発です。出発時は真っ暗でしたが、30分ほどで薄明かりとなり、5時ころにはヘッドランプをしまいました。八合目御来迎場で一休みし、2本の剣が刺さっているピークの手前で日の出となりました。久しぶりの完璧なご来光でした。なおも苦しい登りを続け、頂上に立ったのが6時10分。月並みな言い方ですが、360°の大パノラマ。頂上に30分も居続けました。
6時40分下山開始です。当初の予定では10時半までに駒ケ岳神社まで下り、さらに40分歩いて白須バス停から11時17分発の韮崎行きバスに乗る、でした。駒ケ岳神社まで4時間で2200メートル、1時間平均550メートル下る計算。五合目の登り返しなども考えると、休みなしに1分で15メートル下降です。ちょっと難しそうです。まあ良いけれど。
黒戸尾根上部の、はしごやクサリ場でのすれ違いに時間を取られたり、七丈小屋でお腹が減った相原さんにメシを食べさせたり(頂上への出発前に、尾西のアルファ米・炊き込みおこわにお湯を入れてスタンバイしておきました。下ってきて、相原さんが、ここでラーメン食って良いですか?というので、そのアルファ米を食べてもらいました)、思いのほか時間がかかります。
五合目に下り、黒戸山に登り返し、刀利天狗、刃渡りを過ぎたところで休憩。残りの標高差は1200メートルです。一気に下りましょう。標高1600メートルくらいのところ、残りの標高差800、時刻は10時。帰りの白須バス停の時刻は11時17分ですから、バスにふつうに乗ることは不可能です。どうしても、タクシー利用をからめねばなりません。ここで、竹宇駒ケ岳神社10時50分を予約しました。行き先は、ええい面倒だからJR長坂駅まで。
道(路面)は柔らかいし、デコボコは少ない。こんな道は思い切り飛ばせます。1分で20メートルの計算。平らな場所もあるし、尾白川からの登り返しもあるし、とにかく余力を振り絞ります。それにしても、なんでこんなきつい約束をするのか、我ながら疑問。
頑張りましたが、ダメでした。尾白川の橋を渡ったのが10時49分、駒ケ岳神社の境内10時50分。駐車場まで結構遠くて、タクシー予約に4分遅刻です。顔だけブルンと洗って、タクシーに乗り込みます。長坂駅11時20分着。駅前の、ほうとう・寿司のお店で、こんにちは、ビールお願いします。ああうまかった。相原さんは夕方からリハがあるのですが、お互い中瓶2本ずつ。あんまり時間がありません。12時13分の電車に乗ります。
Suica、PASMOは韮崎までしか使えません。長坂駅で切符の購入です。疲れているし、酔いも回っているし、池袋まで切符を買います、2940円。ムムしまった。頭上の料金掲示を見上げます。大久保までなら2520円ではないですか。これは大失敗です。ここで相原さんのアドバイス、「変更一回なら無料ですよ」。恥ずかしながら、大久保までに変更してもらいました。新しい切符と差額の420円をいただいて、ご満悦。
電車はガラガラだし、天気が良くて景色も美しい。ウトウトしたり外を眺めたり。大月で、あずさを通すための10分停車があったので、ビールを補充したり。高尾で快速に乗り換え、国分寺で特別快速に乗り換え、三鷹で乗り換える相原さんを見送りました。中野で下車し、改札の外に出て、すぐさま入場して、直後の快速で新宿経由で池袋へ。中野から池袋までは160円、大久保で下りて新大久保まで徒歩だと150円です。たった10円のために、酔っぱらいが大久保コリアンタウンを歩くのは、リスクが大きすぎるような気がしました。
さて、実際にお財布から出て行ったお金はいくらくらいでしょうか(事前の買い物は除く)。池袋→新大久保150円、大久保→韮崎2210円、韮崎→白須(バス)830円、白須→竹宇駒ケ岳神社(タクシーですが、迎車料金が600円くらい上乗せされていました)1900円、七丈小屋(寝具付き・素泊まり)4500円、ビール(500cc2本)1400円、追加ビール(500ccと350cc)相原支払い、帰りのタクシー4000円くらい、反省会相原支払い、長坂→中野2520円、大月でビールとつまみ補充500円くらい、中野→池袋160円・・・合計18170円くらい、でありました。
写真はこちらです。
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以 上 |
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