◆新年山行・仏果山(不注意から、脱水症状に)   

  常盤(豊)さんから新年登山の御報告を頂きましたので掲載いたします。

 

メンバー:佐藤、阿部、水堀、平石、三木、石井、沼田、松田、和田、田中、北島、西山、西山(ミオ)、常盤、常盤(佳)


 体力の配分 理想をいえば、山では自分の体力を三つに分けておくとよいのです。三分の一を登りに、つぎの三分の一を下山に、そして残りの三分の一を万一のおりに役立てるのです(横山厚夫・登山読本)。

 当日、朝8時半に本厚木駅前集合。宮ヶ瀬湖畔の仏果山登山口バス停から仏果山に登り、半原方面に下る。登り1時間半ほど、下り1時間少々、こんな計画です。冬将軍が東に去り、南高北低の気圧配置。下り坂だが、東京の最高気温が16℃くらいまで上がると、予想されていました。

 問題点は2つ。山中にろくなトイレがありません。本厚木駅のトイレが混雑していても、数時間耐えることができるよう備えること。気温上昇で登山道がグチャグチャになることが予想されるので、転ばないよう気をつけること。

 行きのバスは予想通りの混雑で、メンバーの半分くらいが座れませんでした。ほとんどが登山者です。厚木の郊外から清川村へと進み、約50分の乗車で登山口に到着しました。出発準備を整えて、9時40分ころから登りはじめます。

 いきなりの急登に息がきれます。しかし、路面に露岩や石ころは少なく、乾いていたので、快適に登れます。眼下に宮ヶ瀬湖、背後に丹沢の山々がせり上がってきます。けっこう良い調子。

 丹沢の山々が切れたはるか遠方に、雪をかぶった高い山が見えてきます。まるでアルプスの稜線みたい。いったい何なのでしょうか。方向からすると、石老山じゃあないか、和田先輩のご意見。ええ?石老山なんて、もっとチョロイ山じゃないかなあ。何の気なしにつぶやくと、阿部先輩からさっそくクレーム。「私たちの石老山に、何てこと言うのよ!」。先輩は、昨年石老山に登り、えらい蝶々(ミヤマシラネエ蝶だったかしら)に出会って感動したのでした。

 もう少し標高が上がり、周辺の山々が見渡せることができるようになり、その遠方アルプスの正体がわかりました。和田先輩より、「そうそう、小金沢連嶺だね」と訂正。そうだそうだ、それにしてもりっぱな連なりです。こんな方角から笹子方面を見るのは初めてであり、たいそううれしい気分になりました。

 30分で1回、さらに30分の宮ヶ瀬越えで、もう1回の休憩。最後に小さな登り下りを経て、10数メートルの展望台のある仏果山の山頂に到着しました。先客が10名以上いて、なかなかの賑わいです。

 さっそく展望台に上がります。丹沢の山々を北東方面から眺めます。丹沢がおわると笹子峠、その向こうに南アルプスがちょこっと見えるらしいのですが、今回は霞んでいてダメ。大菩薩嶺と小金沢連嶺、金峰山、雲取山、大岳山などの奥秩父・奥多摩方面、高尾山などなど。新宿のビル群のうしろには、かすかにスカイツリー、横浜ランドマークタワー、おまけに江ノ島、まずまずでありました。なお、富士山は蛭ヶ岳のうしろに隠れていて、逆立ちしても見えません。

 さて、登りで体力の三分の一を使いました。良い道でサクサク登れたので、疲労感は少ないです。チャチャっと下っちゃいましょう。こんどは仏果山の北東斜面です。しばらく急坂を下ると、雪が出てきます。北側だからか、登ってきた道より残雪が多いようです。

 頂上から15分ほどのところから、出ました!グッチョングッチョンの嫌な道。「気をつけて!滑っちゃダメよ」先輩の注意が飛びます。お尻に泥べっとりはいやですものね。そして、だんだんと街並みが低くなり、車道に下り立ちます。

 しかし、里に下りてからが意外と難しい。車道(バイパス)、古い道、登山道が複雑に入り組んでいます。こっちの方向に行けば良い、はわかるのですが、小さな分岐をどう取るべきかがわかりにくいのです。道標もあまりありません。登場したのがGPSです。これが本当に役に立ったのは、今回が初めてでした。

 目指すバス停のバス発車時刻が13時22分、そこから徒歩5〜6分のところに、違う路線のバス停があり、その発車時刻が13時50分、現在時刻は13時過ぎ。残りの道のりは、GPSで500メートルくらいと推測できるので、13時22分のバスに間に合いそうです。しかし、たまたま先頭を歩いていたワタクシ、セカセカしていたため後ろに注意が回らず、気がつけば佐藤先輩、阿部先輩、水堀先輩の4人になっていました。先頭を引っ張るものとしては、これはあってはならないことです。「道迷い遭難」は、このようにして発生するものなのでしょうね。

 幸い、後ろのほうを歩いていた田中後輩は、この地域を熟知しています。なにしろ、朝3時に大田区の家を出て、丹沢方面の山にちょいと登り、ササッと帰宅して出勤するという猛者です。13時22分発のバスに間に合うよう、「走れ!」という指示を出してくれたそうです。さすがは私の後輩です。13時18分ころ、全員がバス停に集合し、めでたくバスに間に合わせることができました。フウ、これで体力の三分の一を使いました。

 本厚木駅近く、居酒屋十和田です。三木先輩顔馴染みの良店。14時の予約です。しかし、厚木市内の渋滞で、バスはなかなか進みません。駅前に14時20分ころやっと到着しました。少々の遅刻です。ここで体力の最後の三分の一を使い切る予定です。ジャンジャン頼みます。

 推測ですが、全員でビール大瓶20本くらい、日本酒2升くらい、焼酎10杯くらい、その他。頼んだ料理は、刺し盛り3皿、そのほかに10種類くらいみんな3皿ずつ。西山後輩のお嬢さん(小学2年)、よくも今回も耐えてくれました。16時半ころ、いよいよお開きです。

 ワタクシ、多分ビール3本くらいいただいたのに、あまりトイレに行きません。口の中がなんとなくネチャネチャします。視野が狭まってきたように感じます。まっすぐ歩くのにちょっと苦労します。何となく気分も悪い。いかん、脱水症状だ。山中で飲まなかったお茶を飲みます。

 本厚木駅16時50分到着。16時54分のロマンスカーがあります。とにかく急いでホームに上がります。ウウッとなります。電車が入線してきます。指定券の販売機をすばやく操作し、危ういところで乗車できました。なにしろ、立ったまま1時間はつらすぎます。座ったとたん爆睡、直後に新宿に到着していました。下山後のバス停近くと同様、後ろの方々の動向はわかりません。すみませんでした。

 今年の冬は散々です。バス停の寒さで低体温症、タバコを吸っていて凍傷まがい、里に下りての道迷い、ビールの飲みすぎで脱水症状。小さな事故が続くと、それが大事故につながるそうです。そうだ、もうすぐ花粉症の季節です。アレルギー症状によるショック死だけは避けなければならないと、自戒しています。


写真はこちらです。
その1・和田さん撮影
その2・常盤さん夫妻撮影

  以 上