◆残雪の安達太良山・日帰り   

  常盤(豊)さんから4月の山行の御報告を頂きましたので掲載いたします。

 

日程:平成26年4月20日(日) 

メンバー:石井、相原、常盤



 4月中旬になれば、山の雪もだいたい消えてきます。しかし。樹林帯や北斜面には残っていることが多く、天候に恵まれれば楽しい雪山ハイクが楽しめます。今回、そんな山を求めて、蓼科山登山を計画しました。中央線・茅野からレンタカーで女乃神茶屋まで入り、登り3時間、下り2時間の往復登山。えきねっと「トクだ値」、新宿7時発スーパーあずさ1号の指定券(35%引き)の用意も済ませました。

 しかし、西から低気圧が接近し、予定の20日は雨との予報。これでは中止も致しかたない、との状況に陥りました。ここで、第2プラン。蓼科山の計画はそのままに、福島県の安達太良山も良いかな、です。低気圧が西から来るのなら、東に転進すれば良い。後ろから前からどうぞ、です。さてどうするか、決定せずに週末を迎えました。

 「トクだ値」切符は、PCまたはモバイルで申し込みます。JR東日本のHP「えきねっと」から、誰でも無料で登録できます。列車、区間が定められていますが、自分の予定と合致するなら、これを使わない手はありません。列車によって(設定のないものもある)、15%引き、25%引き、35%引きなどと定められています。申し込んだ乗車券は、乗車する前に発券します。発券前のキャンセル料は320円、発券後は、その割引分がキャンセル料と定められています。少しでもキャンセルの可能性があるなら、発券は直前まで待つのが得策です。

 今回蓼科山の場合、新宿駅であずさ乗車直前に発券することとし、中止もしくは安達太良山と決定したら、すみやかにキャンセルすることにしていました。そして週末、低気圧の速度が遅く、関東以西は曇り時々雨、仙台あたりは晴れ時々曇りと予想が変わりました。当然、目的地は安達太良山へと変更です。そして、あずさ「トクだ値」指定券はキャンセル。

 東北方面へは、東京6時04分発のやまびこ41号が便利です。仙台までなら、はやぶさ1号より早く着きます。特急料金は、はやぶさよりやまびこのほうが、少し安い。今回は郡山までなので、当然やまびこ。東京からの乗車より上野から、さらに大宮からのほうが少し安い。自由席ならさらに安い。

 東北新幹線は、山手線西側の人、北側の人にとって、大宮からの乗車が便利です。そのため、東京駅・上野駅からなら自由席でもまず問題なく座れますが、大宮からだと座れないリスクが高まります。今回は日曜であり(土曜よりすいている)、私と相原さんは、安さにつられて大宮からの自由席乗車としました。石井さんは大人ですから東京駅から。ちなみに特急料金は、大宮から自由席だと2590円、一般的な東京から指定席だと4200円、その差1610円、回転寿司なら15皿分、すき家牛丼6杯食べられます。

 ちゃんと座れました。3人掛けシート、真ん中を荷物置き場にして2人です。途中の停車駅は宇都宮のみで、郡山に定刻の7時24分着。ここで石井さんと合流し、東北本線福島行に乗り換えます。モーターの音が、いやにうるさい電車でしたが、なぜなのでしょうか。黒磯から先は交流区間になりますが、そのせいでしょうか。

 二本松に予定通り7時59分に到着し、駅前からタクシー30分で奥岳温泉です。かつて野歩の会・秋の山行で、奥岳温泉の富士急ホテルに泊まりました。そのホテルの前でタクシーを下ります。タクシー料金は5250円でした。石井さんは、学生時代に競技スキーをされており、このあだたら高原スキー場で合宿したことがある、とのことでした。リフトが1本しかなかったそうで、ずいぶん昔の話、45年くらい前だそうです。一方私は、安達太良山登山はこれが4回目です。第1回目は大学3年の初夏です。なんと私も、40年前の話でありました。

 8時半過ぎ、身支度をして出発です。ジャケットなどを着たまま歩き出します。登山道は富士急ホテル前、スキー場のすぐ右わきにつけられています。出発から200メートルくらいの地点から雪が出てきました。数分後、五葉松平方面への道を分けたあたりから、完全な雪道です。アイゼンを使用するほどではありませんが、雪の硬いところでは少し滑ります。チェーンタイプの簡易アイゼンが、最も有効であったかと思います。

 顕著な尾根とか谷を歩くのではなく、複雑に入り組んだ台地状の地形が続きます。なんとなく不完全燃焼気味の登山道が続き、思いのほか疲れました。峰の辻から右斜め方向へ、稜線に向かって登ります。このあたりで急に冷たい風が吹いてきました。牛の背と呼ばれる稜線上では、気温は5℃くらいでした。磐梯山、吾妻連峰、遠くに飯豊連峰の白い姿も確認できました。

 牛の背からは、富士山頂上のお鉢めぐりのような道です。強風で寒いけれど、高低差の少ない楽しい道。稜線上は、雪は飛ばされています。安達太良山は、乳首山とも呼ばれているそうですが、なるほどとうなずける姿です。乳首の直前、乳暈部分から、クサリに頼ってぐいと登ります。山はアァーンとは言わないけれど、きわどい道で自分の気持ちがウゥッとします。そして、乳首の先っちょが、安達太良山山頂です。なかなか好印象の頂上です。到着は11時50分ころ、日が差していました。

 さあ、あとは下るだけ。あだたらエクスプレス(ゴンドラリフト)山頂駅の建物が見えています。そこまで行ったらタクシー予約を入れることにしましょう。頂上出発が12時15分、ゴンドラ頂上駅まで1時間弱でしょうか。雪の広い尾根の下りですから、どんどんはかどります。ほぼ予定通りに13時到着。タクシーの予約は、奥岳温泉14時とします。

 ここから五葉松平まで、雪と氷、尖った岩のミックスで、とても歩きにくい道でした。滑ってころんだところが岩だったら、大けがしてしまいそうです。それでもいつまでも歩きにくい道が続くわけでなく、およそ30分でスキー場上部に出ました。スキー場の、20度くらいの中級コース斜面を下ります。雪が残っているし、凸凹がないので、とても楽な下りです。ところが、雪が消えて泥の道へと下りる瞬間、つまずいて大転倒。シャツの右ひじ部分、ズボンの右腿あたり、それにリュックサックが泥まみれになりました。徒然草「高名の木登り」、うんうんそうだよなあ。

 下から登ってきたタクシー、下山してきた私たち、共に15分前に約束場所に到着しました。二本松発の東北本線は14時42分、15時27分があります(1時間に1本か2本)。14時20分ころ駅前に着きました。1軒だけ開いていたレストランで軽く反省し、15時27分の電車で郡山に向かいました。郡山16時05分発のやまびこは、E5系(鼻の長い、緑色の最速の新幹線)だったので期待したのですが、満席で座れず、残念でした。

 なお今回、日焼け止めがザックの下のほうにしまってあり、歩き出しは曇っていたのでまあ大丈夫だろうと油断してしまいました。翌日、まるでゆでダコのような自分の顔、情けないやら、あきれるやら、恥ずかしいやら、であります。



写真はこちらです。
1.相原さん撮影
2.常盤さん撮影
3.石井さん撮影

  以 上