◆自主ワン 鳥海山   

  常盤(豊)さんから自主ワンの御報告を頂きましたので掲載いたします。

 

日程:平成26年5月31日・6月1日




 深田百名山、いくつ登っているの?と聞かれると、その数を答えるのに、ちょっと困ることがあります。たとえば飯豊山、飯豊本山という正真正銘の盟主に登ってはいますが、飯豊山塊の最高峰大日岳には登りそこなっています。那須連峰はその逆で、最高峰の三本槍岳には登りましたが、最もポピュラーな茶臼岳には登っていません。目くじら立てて勘定するものではありませんが、一応どちらも登ったことにしています。

 それに比べて鳥海山です。2009年、今から5年前の7月に登りましたが(その時の写真はこちら→)、頂上直前、あと20分の大物忌神社で時間切れ。エベレストの南峰からヒラリーステップを下ったところで撤退と同じです。グレーではない、明らかなブラック、鳥海山は未踏としていました。

 仙台在住、小学校以来の友人である終(end)君。昨年数十年ぶりの再会を果たし、1月に泉ヶ岳という仙台近郊の山に登り、5月初旬には船形山という奥羽山脈の中級山岳に同行する予定でした。しかし当日、思わぬ「強い冬型」の天候となり、中止。「それじゃあまた誘ってね」と頼んでおいたら、律儀な終君、すぐに誘ってくれました。5月31日〜6月1日、前回断念したエベレストならぬ鳥海山です。

 前回のエベレストならぬ鳥海山は、もっとも人気の高い、ネパール側ならぬ象潟口からでした。今回、終君の立案ですが、チベット側ならぬ、北面の矢島口からです。日本海に面した、羽後本庄(由利本庄市)から内陸に向かって、由利高原鉄道というローカル線が伸びていますが、その終点矢島(やしま)が、このコースの入口です。かつては長い山麓歩きを強いられたそうですが、現在は五合目にあたる祓川まで車道が通じており、頂上までの距離4.4キロ、標高差1000メートル(sin1000÷4400…0.22、平均斜度はおよそ13度)という、比較的登りやすいコースです。

 東京から、東北新幹線2時間で仙台に到着、午後3時です。駅前で終君と待ち合わせ、彼の車で由利本荘市方面へと向かいます。古川まで東北自動車道、そこから鳴子温泉、鬼首リゾートを経由して秋田県に入り、由利本庄市猿倉温泉の鳥海荘には18時すぎに到着しました。公営の施設ですが、濃厚な温泉が湧出し、あきたこまち使用のご飯食べ放題、ひとり一組の布団、部屋にはエアコンまで完備、こんな豪華設備なのに、6500円となんともリーズナブルな料金設定です。トイレが和式便所選択可能だったのも、うれしい、特記すべき事項です。

 終君は生ビール(小)1杯とご飯1杯、こちらは生ビール3杯でご飯は箸を付けただけ。こういう小さな違いが、その後の人生を大きく変えるんだよなあ。還暦を過ぎた今、人生今一度やり直したいと願う私。うう、腹いっぱいで苦しくてたまらん、風呂は明日でいいや。終君入浴の間に、私は眠りの淵に引きずり込まれていました。なお、部屋の窓から見る、美しい鳥海山のお姿、かなり惚れましたです。

 朝食は4時半と終君の予約。逆算して4時に起きて入浴の予定でしたが、いつものとおり眠りの浅い私は3時からゴソゴソ。4時に入浴し(朝風呂だけは欠かせません)、予定通り4時半朝食、5時過ぎに出発です。鳥海荘から祓川まで、広くはないけれど整備された車道です。ただね、ブラインドコーナーを高速で突っ込む彼、ちょっと怖いです。祓川からは、鳥海荘で見た鳥海山がそのままズームで近づいたかのようでした。シャンがグイと近づいてきた感じです。豊満な胸間を押し付けられそう。

 いやまあ胸間は良いとして、準備したら出発、6時です。祓川ヒュッテに「ちゃんと」登山届を出します。駐車場(除雪済み)を出れば雪の上です。なお頂上までのあいだ、雪面以外を歩いたのは、下部の100メートルと、頂上直前の200メートル、頂上部分・外輪山の300メートルのみでした。

 今回は終君が先頭で私が後ろ、彼のペースで歩きます。緩斜面(スキー場の初級者コースなみ)と急斜面(中級者コースなみ)が交互に現れます。下部は、どちらも登山靴を雪面にフラットに押し付けて登れましたが、上部の急斜面はキックステップが効果的でした。途中3回休み、頂上直前では露出した夏道に移ります。溶岩がゴチゴチしていて、何ともいやな道。雪が無くなると、ずっとこんな道が続いているのかしら、それは勘弁ですね。

 こうして10時、鳥海山の頂上の一角、七高山(しちこうさん)に到着です。雪面上部でちょっと疲労の色の濃かった終君も、数分遅れて無事到着。さあ、一服したら最高点の新山に向かわなくては。なんたって、ここはまだエベレストの南峰なんだから。しかし、終君は、今回ここまで。新山には以前登っているし、標高は七高山とほとんど同じです。それじゃあ、ひとっ走り行ってくらあ。ピッケルだけ持って、ひとりで出発です。

 岩のゴロゴロした外輪山を2〜3分、ここが大物忌(おおものいみ)神社・ 新山への入口です。今にも崩れそうな、危なっかしい岩の急斜面を下ります。左、200メートル先に神社が見えており、直進すれば雪面の急斜面を登って新山です。そうだよなあ、前回はここで神社に行ったんだよなあ、残念ではありました。さあ、5年越しの鳥海山最高点までひと登りです。ハアハア言いながら、キックステップ数分で新山でした。景色など、特別な変化はありませんが、最高地点を求めるのは、本能的なものかと思います。

 七高山で終君が待っています。5年分の感激もそこそこに戻りましょう。ササッと下って、ちょいと登り、別れた七高山頂上に11時過ぎに戻りました。さあ下山です。上部、柔らかで急な雪面は、かかとを蹴り込んで下ります。下部の硬い雪面は、靴底をフラットに乗せて、スケーティングのように下ります。それより、うしろから追い抜いていくスキーヤー、スノーボーダー、ああうらやましい。終君は、ついにシリセードを始めました。パンツ、ビショビショだぞ。こうして、登りで苦労したコース、下りは1時間少々でした。

 祓川ヒュッテで冷たい水で顔を洗い、のどを潤します。下山の届けを出し、振り向けば、麗しい鳥海山の姿。目に焼き付けたら帰りの準備です。これから仙台まで、またまた3時間以上。私は登山靴で来たので、運転を代わるのはちょっと厳しい。次回は、運転用の靴を用意しなければいけません。午後4時、仙台の泉インターで高速道路を下り、すぐ近くの泉中央地区で下車しました。市内の渋滞を避けるため、私はここから地下鉄に乗車します。ほんの20分ほどで仙台駅に到着しました。

 前日、東京から仙台までの往路でもそうでしたが、帰路でもやはり「駅弁とビール」です。昨日は、崎陽軒のシウマイ弁当・770円でしたが、この日は、こばやしの仙台牛ひとめぼれ弁当・1150円にしました。シウマイ弁当には、シウマイのほか、5種類のおかずと2種類の箸休めが添えられて、たいへん美味しい。価格を考慮すれば、日本一の駅弁と思うのですが、いかがでしょうか。それに比較して(日本一と比較されたらかわいそう)、価格1.5倍の仙台牛弁当は、「まあまあですね」といった感じ。すき家の牛丼(税抜き250円)と比較すれば、明らかにおいしいのでしょうがねえ。駅弁売り場にすき家ができたら、存続が危ぶまれるかも知れません。ちょっと高級な牛丼にしたいなら吉野家(300円)かしら。

 こうして、5年越しの鳥海山リベンジ登山は、無事に幕を下ろしました。次回は、紅葉の時期に同行の予定ですが、今から楽しみです。誰かいっしょに行きませんか?




写真はこちらです。

  以 上