◆錬成登山 谷川岳の報告   

  常盤さんから6月の山行の御報告を頂きましたので掲載いたします。

 

日程:平成26年6月28日(土)(日帰り)

メンバー: 常盤 吉川 相原



 夏の山行を控え、そこそこつらい思いをして、「きつい登りなんてこんなもんかい、と言えるようになりましょう」、これが錬成登山のねらいです。かつてのように、30キロ近い荷物を背負うわけでもないし、「ゼイゼイ、きついね、でも心地いいね」、これが理想です。

 西黒尾根のようなきつい道なんて、なんでわざわざ行くの?これが私の若いころの信条でした。何の因果か、初めて登ったのがおととし、58才の夏でした。それから2年弱で、今回4回目です。馬鹿じゃないのと思われるかもしれませんが、つい他人に勧めたくなるほど、楽しい登山道です。

 今回のメンバー3人とも、各自最寄り駅の始発電車に乗りました。新幹線なら快適ですが、1時間の早起きで特急料金(大宮から上毛高原、片道2590円)が節約できます。バスも途中の水上から乗るので480円安くなります。さらに、「休日おでかけパス」を利用することで、普通列車の電車賃、3人とも730円のお得です。土合駅は無人駅ですが、そういった悪事は、もうキッパリ、前回で卒業です。

水上駅でバスを待つ


 定刻通り、8時45分に土合口(ロープウェイ下の駅)に到着、天候は曇り。予報は曇りのち昼過ぎから雨。西から梅雨前線が活発化しているが、寒気の流入はなく、雷の危険は小さい。梅雨の真っ最中ですから、まずまずでしょう。大展望なんて、はなっから期待していません。なお、土合口から一ノ倉沢出合いまで、無料の電気バスが運行されています。お年寄りと子供のみ乗車可、すいていても私たちは乗れないそうです。

出発前、土合口


 まずは、車道歩き。谷川岳登山指導センターで登山届を提出し、そのまましばらく進むと、いよいよ西黒尾根の入口です。最大級の急傾斜の道ですが、階段や木の根っこなどはほとんど無いので、思いのほかはかどります。ハアハアしますが、これをつらいと捉えるか、かえって楽と捉えるかは、人それぞれで違うでしょうね。楽ですよ、ほんとに。

 土合口(760メートル)から、およそ1時間で小ピーク(1140メートル)。吉川君、ペース良いじゃないの、でした。この先から岩場が始まるはずとの記憶でしたが、これは間違いで、さらに30分ほどふつうの登山道が続いていました。樹林帯から岩稜地帯に変わると同時に、霧雨模様です。そろそろ11時だし、予定通りではあります。

 何ヵ所か、垂直に近い岩場が続き、鎖に頼って登る場所もあります。しかしこの時間は、濡れて滑るというほどではありませんでした。ラクダの背で2度目の休憩。1516メートルですから、2本目も400メートル近く稼ぎました。この分なら、あと1時間少々で1963メートルのトマノ耳かな、余裕綽綽でした。ここで雨具着用です。

 だんだんと霧が深くなってきました。岩が濡れて、滑りやすくなってきます。一方的な登りではなく、アップダウンが激しくなってきました。そろそろ疲労もたまってきます。ところどころ、岩に黄色いペンキが塗られていて、コースを示していますが、注意していないと、見落としそうになります。

 ここの岩は蛇紋岩だそうで、とてもいやらしい岩です。磨き上げられると、ツルツルになります。ザンゲ岩直下に、その蛇紋岩の一枚岩があります。岩の塊の右端を慎重に登ります。絶対に転んではいけない場所です。後ろから見て、ちょっとハラハラする場面もありましたが、小休憩で疲れを癒します。

 ようやく、ザンゲ岩が目の下になりました。危険地帯はほぼ終了です。笹原と礫の道になり、小さな雪田を過ぎると、霧の中に肩の小屋が見えてきました。とりあえず、頂上をやっつけてしまいましょう。5〜6分でトマノ耳に到着です。後半、意外に時間がかかり、もう13時を過ぎています。今回は、オキノ耳は省略、写真を一枚撮って、肩の小屋に退散です。

ガスガスの谷川岳


 肩の小屋でコーヒーを一杯頼み、一息入れました。ここから2時間もあれば天神平に下れます。いよいよ下山にかかりますが、風が強くなってきました。風速15メートルくらいでしょうか。最初の雪田は慎重に、そこから先の階段は滑らないように。天神尾根は、中盤から下の方で傾斜がきつくなるように思われます。ところどころで先行者を抜きながら、熊穴沢避難小屋を過ぎ、ひと下りで天神平の建物が見えてきました。

 当初の計画では、ロープウェイを使わずに、田尻尾根を下ることも選択肢に入っていました。しかしすでに15時50分、雨のせいもあって、筋肉の疲労も結構たまっています。当然ながら、選択はひとつでありました。ロープウェイ10分少々で土合口。16時15分発の水上方面行バスにピッタリでした。

帰りのロープウェイ


土合口からバスに乗る


 水上からの高崎線待ち時間が、およそ10分。今日は何から何までピッタリ尽くしでした。途中、高崎で下車して反省会。相原さんの記憶から、安兵衛というおでん中心の居酒屋に決定しました(本人は初めての入店)。暑かったので、おでんは頼まなかったのですが、焼き鳥、焼きトン、から揚げその他、まずまず美味しく、勘定が目の玉が飛び出るほど安かったです。高崎駅西口から、大通りを直角方向に5分ほどです。

 19時半、再び高崎線の鈍行(快速アーバン)に乗り、赤羽へ、上野へ。何とも充実した一日になりました。水上での待ち合わせ時間が、あまりにもピッタリで、温泉に入ることができなかったことが、唯一の心残りでした。そう言えば、高山植物ではホソバヒナウスユキソウを見ることができました。しかし、それを含めて雨と危険地帯続きだったため、写真はほとんどありません。字ばっかりでは、アピール小さいですよね。


  以 上