◆自主ワン 北岳登山   

  常盤(豊)さんから自主ワンの御報告を頂きましたので掲載いたします。

 

平成26年9月23日〜24日
メンバー 相原、常盤




 9月27日午前11時52分、木曽御嶽山で噴火があり、30名以上の方が亡くなられた模様です。さらに、未だ行方不明の方も多くいるものと思われます。以下、北岳の報告を致しますが、場合によってはこの日、噴火の現場に自分がいた可能性もあります。御嶽山の噴火について、少々触れておきたいと思います。

 今回は同行者の都合で、9月23日〜24日という日程で山行を行いました。しかし通常なら、平日の登山とはせず、やはり土・日を絡めて計画していたはずです。おそらく9月27日〜28日を基本に計画を立てていたでしょう。

 9月27日、新宿7時00分発のスーパーあずさ1号に乗車し、塩尻乗り換え、10時30分木曽福島着、とする可能性が高いです。10時50分のバスで御嶽ロープウェイ駅に向かいます。11時45分に御岳ロープウェイ駅に到着し、出発準備完了後、ロープウェイの中で噴火に遭遇していたことでしょう。

 いちばん危険な頂上付近にはいませんから、命を落とすようなことにはならなかったと思います。しかし、前夜、木曽福島あたりに泊まって、早朝のバスを利用することがあったかも知れません。その場合、木曽福島8時40分発のバスで、御岳ロープウェイ駅に9時35分到着。ロープウェイ頂上駅まで10分くらいなので、10時ころから頂上に向かって歩き始めていたことになります。噴火の時刻、頂上の少し手前と推測できます。これは危ないです。噴石が直撃していれば・・・、という思いです(9月30日記)。



 今年の夏は雨ばかりで、楽しみにしていた夏の山行も、行程の大幅短縮を余儀なくされました。これに反して9月は天候が安定したため、夏をあきらめた登山者が殺到したようです。13日〜15日の3連休などは、各地で渋滞が発生したほどだそうです。

 石井さんと相原さんからのリクエストで、飛び石4連休の最終日(23日)と、翌日(24日)に、少々ガッツリ登山の計画を立てました。最初は気づきませんでしたが、24日って平日ではないですか。40年近く前にサラリーマンという身分になりましたが、夏休み以外、平日登山は初めてです。

 どこか、ゾクゾクするようなコース、一泊二日。初めに思いついたのが、剱岳早月尾根です。早朝の電車で富山へ、富山地鉄で上市に11時02分着、タクシー1時間で登山口の馬場島着。そこからおよそ5時間の早月小屋に泊まって、翌日剱岳往復後、同じ経路で帰京。でも、これだと4万円くらいかかるのです。未だ無年金で、薄給の身にはちょっと厳しいです。

 もう少しリーズナブルな、ガッツリコースはないかしら?近場なら南アルプスです。北岳なら半値で行けます。アンケートという名を借りた誘導の結果、今回の目的地は北岳と決まりました。吉川さん、中村さんが参加予定でしたが、2人とも風邪で参加断念、石井さんも用事が入ったため、結局、相原さんと常盤の2名となりました。

 それにしても、ずいぶん便利になったものです。朝、家を出て、夕方には北岳の頂上です。私は、えきねっと「トクだ値」、通常4130円のところ、2670円の支払いで、スーパーあずさ1号、新宿7時00分発に乗車。相原さんは中央線沿線なので、鈍行で高尾乗り換え、8時半前後に甲府駅南口に集合です。9時00分発、広河原行きのバスに乗車しました。私たちを含めて7〜8名の乗車でしたが、夜叉神峠バス停でみんな降りてしまい、そこから先は私たち2人だけでした。広河原に10時53分、定刻に到着です。

 身支度と言っても、トイレを借りるくらいですが、軽くストレッチなどをして、11時00分スタートです。大樺沢経由、八本歯のコルから、調子よければ頂上を踏んで、疲れていたら巻き道経由で北岳山荘へ向かう予定です。翌日、北岳山荘出発なら、白峰三山を縦走して、奈良田へ下山することが可能ですが、やはり予備日がどうしても欲しいコースなので、断念しました。間ノ岳をピストンしても良いし、北岳だけでも大満足です。

 台風16号が近づいています。前週前半の週間天気予報では、影も形もなかった台風ですが、週の後半にいきなり出現し、23日、24日は列島直撃の予報。いったんは、計画そのものが水に流れかけましたが、動きが思いのほか遅く、どうも23日は晴天のようです。24日には影響が出そうですが、午前中はなんとかなりそうです。計画実施を決定したのは、なんと前日の22日でした。

 さて、11時に広河原を出て、途中1回休んで、つぎの休憩は二俣。もう1本がんばって、そのつぎの休憩が八本歯のコル。15時ころの予定です。頂上経由なら2時間、巻き道を使えば1時間で北岳山荘ですから、16時か17時ころに到着の予定でした。天候は安定しており、夕立はなさそうだし、それほど無理なくこなせそうです。

 広河原の吊り橋を渡り、広河原山荘の脇を通り、しばらく緩やかな登りです。出発から25分、大樺沢方面と白根御池方面との分岐。ここは左に、大樺沢方面へと向かいます。しばらくで沢沿いの道になるはずです。

 沢沿いの道と言っても、多少は高巻いている場合が多いもの。グイグイと標高を稼ぎます。小さな尾根状の所を登ります。沢からずいぶん離れました。「二俣は、右俣と左俣の分岐点だから、そこまで行けば沢が上ってくるよ」なんて話しながら歩きます。それにしても、沢の音が聞こえなくなりました。ちょっとおかしいです。道は明瞭であり、随所にはしごなどが現れます。まったく正しい登山道です。そうそう、下山者とのすれ違いもあります。

 「白根御池・北岳→」の表示。大樺沢二俣から、水平に白根御池小屋に出る道があります。この道を行き、二俣から白根御池に戻るという意味でしょうか。そうかも知れませんが、それは詭弁というものです。ここは潔く、道間違いを認めざるを得ません。大樺沢でなく、白根御池小屋に向かっているようです。しかし、分岐の標識は間違いなく確認しているし、いったいどうなってしまったのでしょうか。そして、登山道が水平になり、白根御池小屋に到着しました。

 この白根御池小屋、何年か前に草すべりからの雪崩で崩壊し、新しい小屋に建て替えられています。とてもきれいな小屋で、快適そうです。当初は、ここに泊まる予定もありました。思いがけなく白根御池小屋に着いてしまったわけですが、2人なのでがんばって通過します。

 草すべりの急登、さすがにきついです。そろそろ筋肉疲労も始まっており、息が上がります。ただし、岩ゴロでなく、木の根っこをまたいだりするわけでもなく、淡々と高度を稼いでくれます。右俣からの登山道を合わせると、傾斜もゆるくなり、小太郎尾根の稜線に到着しました。余裕の15時02分です。

 甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、そして富士山の姿が印象的。気温が下がり、吹き抜ける風で、少し寒さを感じます。それでも、まだTシャツ一枚で我慢できます。濡れた背中がみるみる乾きます。気持ちの良い稜線歩き25分、15時40分に北岳肩の小屋に到着しました。この時刻なら、頂上を越えて北岳山荘まで行けますが、道間違いしたり、疲れたので、今日の行動はここまで。

 肩の小屋、この日の泊り客は15名くらい。ひどいときは3人で寝る布団に、ひとりで寝られます。あまりきれいな布団ではないけれど、まあまあゆったりで満足です。晩ご飯も、粗末ではあるが、まあ最低限の合格点。ただし、缶ビールを買ったら、冷蔵庫でなく箱の中から出してきたのはいただけません。同宿者と7時ころまでおしゃべりし、そのまま就寝しました。

 夜中は風が強く、どんなものかと思いましたが、明るくなって外に出てみると、まずまずの晴天でした。久しぶりにご来光を拝むこともできました。5時半朝食、6時半、頂上に向かって出発です。肩の小屋出発なので、間ノ岳往復はありません。頂上から大樺沢を下ります。広河原発、甲府行きのバスは、10時15分、12時00分、14時00分、16時30分、ゆっくり歩けば12時のバスかな。

 7時に頂上に着きました。南アルプス南部の景色が楽しみでしたが、間ノ岳が思いのほか大きく、赤石岳は隠れてしまっているようです。塩見岳の兜のような姿がかっこ良い。上空、少し雲が増えてきましたが、まだ晴れです。広河原まで、雨具の出番はなさそうです。

 北岳の頂上が3193メートル、広河原アルペンプラザ1515メートル、その差およそ1700メートル(登り返しはほとんど無い)。こりゃ3時間ですね。10時15分のバスに乗れそうな気配。頂上を7時15分に出発します。八本歯のコルまでは、傾斜がきつく、ザレていて、非常に険しい道です。ズルっと滑ると、身体が空中に飛んで行ってしまいそう。

 八本歯のコルに8時到着、予定通りです。あと2時間で広河原か。下の方に二俣の標識のようなものが見えています。左にバットレスの胸壁がせまる中、サッサカ下ります。二俣に8時53分到着、これならなんとかなりそう。それにしても、ここまで下ってしまうと、10時15分のバスを逃した場合、1時間半くらい待たねばなりません。たしか、アルペンプラザにはなにも売ってなかったはずです。無為に過ごす時間、厳しいです。絶対に間に合わせねばなりません。

 大樺沢の下部になると、道は歩きやすくなりますが、下り一方ではなく、若干の登り返しもあります。1分に10メートルくらいずつ下らなければなりませんが、良い道では15メートルくらい下れる一方、ほとんど水平で0メートルのところもあります。高度計付き時計とにらめっこです。

 さてさて、今回、ラドウェザーという正体不明、Suuntのまがい物そのもの時計を使用しました。多分、ビックカメラ、ヨドバシカメラなどでは売っていません。Amazonで購入です。ドイツ製センサー使用と、スイス製センサー使用(ドイツ、スイスの製品とは言ってない)のものがあり、私のはスイス製センサー使用のものです。通常7000円くらいですが、どういうわけか5016円で売っていた時があり、速攻で注文しました。届いた商品を高尾山で試してみたところ、高度センサーがうまく働かず、正しい高度を示しませんでした。そこで商品交換を依頼し、つぎに届いたものです。カシオなら、こんな不良品が混じっている可能性は非常に低いのですが、たぶん某大国製でしょうからしょうがありません。お互い、上手にお付き合いしましょうね。

 前日、11時25分に通過した白根御池方面と大樺沢との分岐に、9時55分に到着しました。登りで25分かかったところ、帰りは下りです。バスの発車まで20分ですから、もう安心です。なお、たしかに昨日、この標識を確認し、大樺沢方面に進みました。おかしいなあ。広河原山荘の脇を通り、めでたく10時12分に広河原アルペンプラザに到着しました。顔も洗わず、バスに乗り込みます。

 さて、バスの中で、GPSのチェックです。どこで間違えたのかしら?フムフム、登りのトラック、分岐から大樺沢方面に進んでいます。そして、100メートルくらいの地点で、道なき道を白根御池方面の道に進み、そのまま登山道を上方に向かっています。そうか、地図にない分岐がもうひとつあったのか。そうでありました。帰ってからwebで確認しました。多くの人たちが、この地点で間違うそうです。相原さんはこの地点、この道間違いを、「トラップ」と名付けました。言い得て妙な例えですよね。




写真はこちらです。

  以 上