◆「甘利山を変更し、霧ヶ峰」報告   

  和田(則)さんから6月の山行のご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
   日 程:  平成27年6月20日(土)曇・雨雲  
   コース:  車 = 霧ヶ峰・車山肩(1817m)− 車山北面の巻道(0:55)− 蝶々深山(1836m)
−(0:20)− 1792mmピーク −(0:25)− 沢渡(1660m)−(0:30)− 車山肩 = 車
 
   同行者:  佐藤、斎藤ご夫婦、北島、和田(記)  


  • 突然の目的地変更で皆様にはご迷惑をおかけしました。梅雨が続いた週末、里は晴れ、山は雲の中、霧ヶ峰は雲の下でした。咲き誇るレンゲツツジの斜面を横切り、稜線を歩き、笹原を下り、草原を登るなど変化に富んだ高原のツツジを十二分に満喫しました。

  • 4月南高尾の山歩きは膝や尻への影響が少なく、6月はレンゲツツジの山にしようと決めました。候補地、湯の丸高原や四阿山・根子岳は5月末山行に続き長野新幹線エリアです。霧ヶ峰は2月に行ったばかり、赤城山はコースの不勉強というわけで、甘利山にしました。

  • 今春は雪のある山では積雪が少なく雪解けが早い、また5月は気温が高く、例年と比べ花の開花が1か月から10日早い。昨年当たり年のアカヤシオツツジやシロヤシオツツジは、今年は花付きが悪いなど情報が入ります。加えて甘利山のレンゲツツジは6月8日には満開との最新情報を耳にし、はたと困りました。そのとき斎藤(恭)さんから耳寄り情報が入ったのです。

  • 6月14日、15日と八ヶ岳・霧ヶ峰周辺の撮影会に参加中の斎藤さんから、携帯メールで甘利山同行者に霧ヶ峰の生情報が送られました。「レンゲツツジがあまりにも素晴らしくお知らせせずにはいられない。みごとの一言」。この一言が決め手となり、私は同行者に目的地の変更を打診し、了解を得て、皆様に変更の案内を出した次第です。

  • 気がかりは交通費が高いこと、それは仕方ないことです。ところが、物事がうまく運ぶこともあるものです。所用で不参加の斎藤さんが隆さんと同行できることになりました。しかも、車を出すというのです。さらに同行者の増に備え、7人乗りの車を用意されました。交通費はかなり安くなります。これで基本的なことは解決です。でも、斎藤さん、2週連続霧ヶ峰でよかったのでしょうか。
    次の懸念は、手軽に行ける霧ヶ峰、事前連絡なく突然に茅野駅に来られる方がいないとは限りません。念のため、私が電車で茅野駅の集合時間に立会うことにしました。

前置きが長くなりましたが、
  • 20日、電車内から青空と雲に隠れた沿線の山々が見えます。このハイキングはうまくいきそうです。茅野駅に着くと、車の4名から「中央高速の高尾付近で車5台の玉突き事故に遭遇、茅野駅には1時間程度遅れる」とのトラブル連絡。しかし、コース取りが自由にできる霧ヶ峰です、何時に到着しても心配いりません。特急列車からたくさんの登山者やハイカーが降りてきましたが、知り合いはいません。私は1時間の茅野駅周辺散策に出かけました。

  • 10時30分頃に駅で車にピックアップされ、いざ霧ヶ峰です。4か月前に通った道を再び走ります。山間部に近づくと青空が曇り空に変わります。先週満開を過ぎた車山南面(スキー場側)のレンゲツツジはすべて落花し、山の頂にわずかに残っているのみです。ビーナスラインを大きく曲がり車山肩に近づくと、朱色に覆われた丘が見えます。車中にはホッとした喜びが広がります。車山の以北、霧ヶ峰は満開のようです。

  • バス停があり、このエリアの中心地である車山肩に到着です。大きな駐車場はほぼ満杯ですが、人影はさほど多くはありません。車を降りると空気はひんやり、日差しは少ないですが風はなく、ハイキング日和、写真日和です。

  • 大変なことに気づきました。大切な忘れ物です。2週連続の撮影に熱の入った斎藤さん、カメラを自宅に置き忘れたのです。さぞかし残念だったに違いありません。「和田さん、代わりにいい写真を期待しています」と言われ、私は肩に力が入ります。手っ取り早い方法は下手な鉄砲も・・で、たくさんシャッターを切りました。
    涼しい中、レストハウス名物のソフトアイスクリームを食べに行った猛者の帰りを待ち、バイオトイレで用を済ませます。11時30分、まずは斎藤さん推薦の「ビーナスの丘」に向かいます。歩いて5分のところです。

  • ビーナスの丘はレンゲツツジの霧ヶ峰を代表する風景が望めます。赤や朱色のツツジと、つぼみが開くコバイケイソウの白花。これらを前庭とした青い屋根の山荘。欲を言えば青空が広がれば言うことなしです。広々とした彩り豊かな高原に心が和らぎます。

  • 次は、2月にお世話になったコロボックルヒュッテに向かいます。ヒュッテは車山肩の林の中にあり、車山肩に向かって裏口があります。昭和31年に作られた山小屋ですから、のちに建設されたビーナスラインのことなど、関係ありません。喫茶室もテラスも賑わっており、ご主人の手塚さんは忙しく調理場に立っていました。挨拶と2月のお礼をすると、「今年は例年になく当たり年で素晴らしい、是非、ツツジを楽しんでください」。今年は当たり年であることのほかに、多雪でススキや熊笹が押しつぶされ、ツツジが際立って美しく見えるようです。

  • 車山北面には花付きが良く色鮮やかなレンゲツツジ群生地が広がっています。群生地を横切る山道にはハイカーが行き交います。込み合うほどではなく、私は朱色のツツジの美しさや写真撮影に夢中です。皆に後れを取ります。2月に車山稜線から直滑降で下ったルートを探してみます。近くでウグイスが鳴き、足元にはシルエットの美しいシダの若葉が広がります。車山湿原の先、なだらかな蝶々深山(ちょうちょうみやま)の斜面はまだ1分から3分咲きです。まるでポッ、ポッと枯れ木に火が点いたようで、これからが楽しみです。
    深山のゆるい登りにかかると、左手の丘の上に絵本にあるような丘の山小屋が見え、山道の脇には白いスミレが数多く咲いています。山頂では隆さんが下手な撮影に時間をかける私を辛抱強く待ってくれました。

  • 深山から次のピーク物見山の間には、昭文社「山と高原地図」には載っていない沢渡(さわたり)へ下る踏み跡があります。沢渡へのショートカットコースです。分岐には標識が設置されていますが正しいルートなのか確信が持てません。ビジータ−向け地図で分岐点を再確認し、笹に被われた頼りげない踏み跡に足を踏み入れます。地図にない山道、誰にも会いません。静かです。遠くでカッコーの声が聞こえます。のどかな初夏の高原です。笹原に点在する赤いツツジと大石が和風庭園の趣を醸し出します。
    笹道の右手に八島湿原を望み、左手には車山から肩、肩からスノーシューで下ったスキー場跡地の斜面が広がり、眼下にはツツジの庭園も見えます。

  • 下り終え森に入ります。森の小道の両側にもツツジ。レンゲツツジの小道です。林道に出るとすぐに沢渡です。沢渡から車山湿原の湿地帯を登り返し、ふたたび車山北面を肩に向かう予定でしたが、空模様が怪しいので、直接ヒュッテに向かいテラスでのんびりすることにします。草原の急登にはアゴが出ます。車山乗越の奥から、俺を忘れるなと蓼科山が大きな顔を出しました。

  • 14時30分頃、ヒュッテに着くとハイカーはほとんどいません。広がる雨雲にすでに退散です。私たちはテラスを独占し、おいしいボルシチ、コーヒー、ケーキ等をいただき、高原での最後のひと時を過ごしました。

  • 車で山を下り始めた15時30分頃、前触れなく、雨が激しく降り始めました。ゲリラ豪雨です。わずかな差で雨に濡れずに済みました。まだ高原を歩いているハイカー達が心配です。
    車は斎藤ご夫婦が交代で運転されて、私は後部座席でウトウト。自然渋滞と2件の事故渋滞で、上野原あたりからノロノロ運転でしたが、19時過ぎには新宿に着きました。すべてが斎藤さんから始まり、ご好意に甘え、充実したハイキングでした。斎藤さんご夫婦に感謝、感謝です。期待がかかる写真の方は、中には数撃てば当たったショットもありました。

  • 最後に、今年の霧ヶ峰のレンゲツツジは、例年より1週間ほど満開が早く、また過去20年間で最も花付きが良かったとのこと。私たちは運がよかったようです。
    レンゲツツジには毒があり、牛馬は食べず牧草地に数多く残っています。最近はレンゲツツジの毒を毒とも思わない鹿が増え、各地で被害が出ています。特に奥秩父、日光では全滅したレンゲツツジ群生地やお花畑があります。霧ヶ峰では食害でニッコウキスゲが半減したと言います。今回歩いてみて、大規模、かつ、バラエティに富んだレンゲツツジ生息地は素晴らしく、貴重な高原だと再認識しました。


写真はこちらです。


   以上