◆「6月の高尾山(南面歩き)ハイキング」報告 

  和田(則)さんから6月の山行のご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
  • 日 程:平成28年6月11日(土)晴れ
  • コース:
    中央線 高尾駅 =バス=日影バス停 −(日影沢林道0:35)− 逆沢作業道 − 0:25− もみじ台 − 0:30 − 一丁平 −0:30− 城山 −0:15− 太平(おおだいら)林道 −2:00− 6号路 −0:15− 3号路 −1:00− 山頂駅 = ケーブルカー = 清滝駅=京王線高尾山口駅
  • 同行者:石川、阿部、佐藤、石井、三木、斎藤(恭)、常盤、生田、和田(記)




<コース地図(クリックすると大きなマップが開きます)>





<報告>

  • この企画は地味な山歩きなので「時間があったらどうですか」のお誘いに、忙しい中8名の方が来られました。梅雨の晴れ間、暑い日向と風が抜ける日蔭。人気の少ない道を選び高尾山南面を巻いて歩きました。季節の端境期で見るものは乏しかったですが、自然観察会のようなハイキングでした。十数km歩いたのでそれなりに疲れました。

  • 関東地方は6月5日に梅雨入り。傘も覚悟の週初めでしたが、うまい具合に晴れ。山中は25、26℃で、強い日差しを別にすれば心地よい1日でした。

    高尾駅に早めに着き、駅舎カフェでコーヒーを飲んでいると、石川さんがやってきました。花や蝶の変わり目で森は眠っており「蝶に出会えるといいですね」。
    小仏行きバスは1台増発、全員イスに座れました。日影バス停で3、4グループが下車し、日影沢へ向かったのは私達のみでした。

 
 (日影沢)
  • 日影沢園地は朝早いためか、まだ誰もいません。手製のコース地図で行程を説明し9:05に出発。小沢のせせらぎを聞きながら、ユキノシタの花やマタタビのつぼみのある林道をゆっくりと歩きます。

    案内では日影沢林道から萩原作業道を登り一丁平に出る予定でしたが、週初めに「森林伐採のため作業道は通行止め」が判明。もうひとつの逆沢作業道を登ることにしました。不自然なコース取りとなり時間もかかるのですが、仕方ありません。

 
 (作業道)
  • 逆沢作業道は植林の中、一本調子の登りです。沢沿いですが沢音は聞こえず、小鳥のさえずりも聞こえない静寂な山道。風が吹いてくると直に、もみじ台。ハイカーが往来する縦走路です。

    もみじ台手前にクモキリソウが3株咲いていました。解説付きです。盗掘などで最後の株群となったのでしょう。高尾山でも草花の盗掘が絶えない。盗掘防止の取組みは従来の目立たなくすることから、最近は花の名前を大きく表示し、1株毎に番号をつけ抑止効果を狙うものに変わりました。

 
 (もみじ台から一丁平へ)
  • もみじ台から一丁平まで稜線がメインストリートで沢山の人々が歩いています。北側の樹林には巻き道があります。日差しが強いときは巻き道を歩くに限ります。ハイカーが少なく、涼しく快適です。

    終盤を迎えたナルコユリ、至る所にある赤い野イチゴ。好奇心旺盛な三木さんに試食を勧めましたが、「沢山残っているには理由があるはず」と断られました。ヘビイチゴかニガイチゴのようでした。ダイダイ色のモミジイチゴを口にすると甘さより酸っぱさが口に残りました。

    樹林の中にアサギマダラがヒラヒラと飛んでいます。大騒ぎです。蝶に逃げる様子はないですが、決して草花に止まろうともしません。シャッターを何度も切りましたが写真になりません。3号路でも見かけ大騒ぎでした。

  • 一丁平はトイレ・木陰・東屋・椅子がある縦走路の休憩ポイント。この時期、大きなヤマボウシの白花が目立ちます。
    展望台に寄ると、残雪わずかな富士山、丹沢の山々、三ッ峠、滝子山の展望が広がりますが、暑いです。
 
 (城 山)
  • 城山山頂はハイカーで一杯。強い日差しで都心の超高層ビル群の眺めもそこそこに、2軒ある茶屋のうち日陰の茶屋に入ります。カキ氷を注文すると甘くておいしいかき氷でした。
    石井さんは所用があるため、ここで別れ、小仏峠経由で小仏バス停に向かいました。
 
 (大平林道)
  • ここからが本番です。大垂水峠方面の下り道の両側には数多くのギボウシ、7月にはうす紫の花を咲かせることでしょう。急坂が平らになった場所が大平林道への分岐点。「林道、大垂水峠」の標識に従い大平林道に向かいます。最初は草木が覆うような細道ですが、3、4分で林道に出ました。林道を稲荷山コース方面に向かいます。

    縦走路で1時間の距離を、山襞を丁寧に巻く林道は2時間かかります。落葉樹林が主体の平坦な道で、木陰が多くそれほど汗を掻きません。春には様々なスミレが咲きますが、今は花は乏しく、ホタルブクロの花と草の茎につけられた泡が目につく程度でした。3号路の解説板で分かったのですが、泡はセミの一種アワフキムシが出した泡でした。
    林道で3、4名の方に出会いましたが、みなさん真剣に歩いていました。
 
 (珍しい蝶を発見)
  • 蝶マニアの石川さんは珍しい蝶、いや蛾に気づきました。みんなは気づかないのにさすがです。
    ひとつは「アゲハモドキ」という蛾です。モドキはジャコウアゲハと瓜二つ。幼虫時に体内に毒をもったため外敵に襲われないジャコウアゲハに「擬態」しているそうです。石川さんも実物は初めてで大喜びでした。

    もうひとつは「オオミズアオ」という、透明感のある美しい水色羽をもつ大きな蛾です。口を持たず何も食べずに3日で命を終えるようです。

    石川さんによると、林道にはアゲハ幼虫のエサとなるカラスサンショウが多く自生し、改めて高尾山にアゲハ蝶が多い理由が分かったそうです。

 
 (人食い熊の話)
  • 先週、青森県鹿角市の山中で4名が別々にクマに襲われ遺体で発見されるニュースがありました。常盤さんからドキュメンタリー作家、吉村昭の「熊嵐」が近々書店店頭に並ぶだろうとの観測話。
    内容は大正時代の北海道開拓村で7名がヒグマに襲われ食べられた事件です。しかし青森は襲われ死亡しただけで食われていません。ところが13日には射殺した熊の胃袋から人の肉片がでてきたとの新しいニュース、店頭に並ぶ日も近いと思いました。

 
 (3号路)
  • 林道の終点間際から稲荷山コースへの連絡用の細道に入ります。3、4分で稲荷山コースに飛びだすと、ハイカーが「どこから出て来たのですか」とびっくりしていました。

    3号路への予定ルートを変更し一度山頂方面に向かい、3号路、5号路との交差ポイントから3号路に入りました。3号路はヒノキやモミの大木もある常緑樹林の巻き道で、いつも静かな山歩きができます。

  • 15:10、3号路から1号路(表参道)に合流すると、今までとは違う別世界。1号路はまるで銀座通り(表現が古いか)、欧米人、アジア人など国際色も豊かな中央通りでした。
 
 (下山後)
  • ケーブルカーで下山し、昨年8月にオープンした「TAKAO 599ミュージアム」(無料)に立ち寄りました。表参道(土産物店街)を脇に入ったところにあります。蝶や昆虫の標本のほか、植物の標本も美しいです。窓際にはおいしいサイホンコーヒーを出すカフェもありました。

    昨年10月にオープンの日帰り温泉「極楽の湯」に寄る予定でしたが、日帰り温泉がペイしない同行者から提案があり、涼風で汗もひいたので打上げに直行となりました。

  • 打上げは、昨年4月南高尾の帰りに寄ったソバ屋です。昨年は汁が濃すぎると感じましたが、今日は汗を掻いたためか、おいしくいただきました。
    京王線高尾山口駅で解散です。私は解散後、痛んだ膝や腰のメンテナンスのため「極楽の湯」に向かいました。4度目ですがよい湯でした。
 
 (最後に)
  • 何もない季節に何の変哲もない太平林道で、高尾山の一面を知り、珍しい蝶や蛾にも出会えました。皆さんも季節の良いときに高尾山だけではなく、陣馬山との縦走路や、縦走路につながる山道を歩いてみたらどうでしょうか。「たかが高尾山が、さすが高尾山」に変わると思います。変わることは面白さにつながります。
    (太平林道には危険な個所はありませんが、一般向けコースとはされていません。)

  • 参考にした地図は、吉備人出版(岡山市)発行の「高尾山・景信山陣馬山登山詳細図、全50コース」(現在は改訂版65コースが出ています)です。5年前の発行時には、大きな書店にも置いてなく、仕事の関係でよく御茶ノ水に出かけたので、駅前の山岳専門書店「茗渓堂」(その後閉店)に3回通い手に入れました。
    距離も記載され、簡単なコースガイドもあり、紙面が大きく使い勝手が良い地図です。


写真はこちらです。
1.石川さん撮影
2.斎藤さん撮影
3.和田さん撮影


   以上