◆自主ワン 日帰りで富士山 報告
 
 

  常盤さんから7月の山行のご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
実施日 2017年7月15日(土)

メンバー 常盤・単独


 梅雨明け直前の三連休です。少なくとも初日(15日)は、比較的天候が良さそうです。日帰りで、どこかに行きましょう。低山で、大汗をかくのも楽しいものですが、もう少し高い山に登りたい。どこか適当な山はないかしら。

 そこに天から降ってきたのが富士山でした。登り5時間、下り3時間ほど。早い時間に五合目登山口に着くことができれば、日帰りは十分可能ではないですか。

 富士山の一番厳しい部分、夜明け前の頂上直下です。夏休みの週末、とくに吉田ルート(須走ルートも、本八合で吉田と合流するので同じ)の渋滞は酷いものです。ところが、7時ころからどんどん空いてきて、お昼ころなら嘘のようにスイスイ登れます。

 公共交通による日帰りの場合、どんなに頑張っても朝9時スタートです。天狗のように駆け登ったとして、頂上直下がお昼ころ。だから、恐ろしい渋滞とは無縁です。

 ご承知のとおり、富士山には4つの登山口があります。@吉田口・2305m、A須走口・2000m、B御殿場口・1440m、C富士宮口・2400m。@の吉田ルートは、東京から直行バスがあって、一番人気ですが、当然混み合います。Cの富士宮口は、東京からのアクセスが悪く、マイカーでないと到着がお昼近くになります。登り下り同じ道なので、下りの岩場が足に優しくない。Bの須走ルートは、空いていてお勧めですが、@C比で、スタート地点の標高が低い。Cの御殿場ルート、かつてのメインルートだったらしい。ここから登るのは、下記のとおり、私には無理です。下りの大砂走が魅力。

 登り口を選ぶ場合、まずはずすのが御殿場ルート。3776メートルの富士山頂まで、およそ2300m、こりゃあかなわん、調べるまでもない。そして富士宮ルート。富士宮駅7時30分、8時30分のバスがあり、五合目まで1時間20分です。7時30分のバスには乗れません。次の8時30分のバスに乗るためには、品川から新幹線で三島まで行くか、我が家の駅から池袋まで、4時半ころにタクシーに乗るか。ちょっといただけません。吉田口なら、新宿バスタ6時45分のバスが、五合目9時20分到着です。が、しかし、3連休初日の中央高速、朝の7時ころなんて、とっくに大渋滞必至、これも却下。残ったのが須走口でした。それも、御殿場からでなく、新松田からの直行バスがあるのです。新宿6時01分発の小田急乗車、新松田7時40分発、須走口9時10分着のバス。これに決定!なお、これまで何回か富士山に登っていますが、10年以上前に先輩方と富士宮口から往復したことがある以外、すべて吉田口から登っています。初めての須走ルートの登りというのも、なかなか結構なことです(下りは、上記・富士宮往復で1回、須走1回、御殿場1回)。

 そして下りのルートです。マイカー利用なら、同じ道を下ることになります。しかし、公共交通機関利用ですから、どこを下るのも自在。どこを下っても、お鉢のふちから3時間半くらいです(須走ルートが最も早い)。吉田ルートは、何回も下っているし、泉ヶ滝からの最後の登り返しが嫌。さらに中央高速の渋滞が待っています。富士宮ルートは、登りと同じ道なので、すれ違いが面倒だし、岩場の下りなので嫌。そこで、須走ルート往復か、御殿場ルートにしようということにしました。

 我が家を5時台に出発、新宿6時01分の小田急、新松田7時19分着。駅前のコンビニで食料を買って、7時40分発のバスに乗ります。今回の食料は、おにぎり4個、おかずパン1個、アクエリアス500cc、アクエリアスのパック(氷結)1個、500ccの魔法瓶に氷だけを入れたもの、水に換算すると、たぶん300cc相当。万一不足したら、山小屋で金で解決する。

 バスは順調に走り、9時前に須走口五合目に到着しました。トイレ200円、入山協力金1000円を支払います。富士山のトイレはどこも有料で、200円か、300円、小銭があったほうが良いです。なお、バスの中で、おかずパンで軽く腹ごしらえ。

 ここから先は、インターネットやガイドブックのとおりです。最初は森の中、しだいに灌木の道となり、ガレた滑りやすい道も少なくありません。山小屋は、30分か1時間おきに出てきます。須走口五合目2000mから、お鉢のふち3700mまでの1700m、400mずつ4回半、まあ5時間もあれば登れるでしょう。

 最初の休憩は、六合目長田山荘、ここまで400m強、1時間。つぎは本六合目瀬戸館を通過して、七合目大陽館(太陽ではない)、頑張って500m、1時間10分。標高が3000mに近づき、少しずつこたえてきました。つぎは、本七合目見晴館、なんと30分ほどで休憩(を余儀なくされました。そして、八合目下江戸屋、そのすぐ上の胸突八丁江戸屋まで40分。ここの標高は3370mであり、空気の薄さでちょっとフラフラします。

 残りは400m足らずですが、薄い空気、たまった疲労と、ひどくザレた道でハアハアします。吉田ルートと合流したせいもあり、多少混んできます。それでも、道でうずくまっている人よりはマシ。いつもいつもの苦しい登り、九合目の久須志神社鳥居の脇で小休憩し、吉田口山頂に、14時ちょうど到着でした。なお、休憩ごとにお握りを一つずつ食べてしまったので、残りは一つだけ。温存します。

 このあたり、トイレの匂いが強烈で、そういうのに特別弱いワタクシ、吐き気を催します。クワバラクワバラ、とにかく通過です。薄い空気と疲労が重なって、フワフワします。とにかく、時計回りで剣ヶ峰を目指します。ここを頂上として下ったのでは、満足度がまったく違います。

 小さな登り下りを2回ほど繰り返して、富士宮口山頂に14時23分到着。空腹もやってきて、もうアカン状態です。アクエリアスと、最後のおにぎりで元気を回復させます。下りの大砂走に備えて、スパッツ装着です(最近、スパッツと呼ばずに、ゲイターと呼ぶようです。コッヘルはクッカー、コンロはストーブ、ストックはトレッキングポール)。

 14時40分、最後の難関、剣ヶ峰に向かって再スタート。いつも、ひどい道だと感じていましたが、今回は特別にきつい思いをしました。滑って、手をつくこと数回、必死の思いで這い上がります。中間部は、右の岩稜が歩きやすい。

 剣ヶ峰手前に14時50分到着ですが、最後の20m、山頂渋滞です。並んで待ちます。5分ほど待ちましたが、面倒になり、三角点1m手前で写真を撮ってもらい、三角点に触れたら、さっさと下山することにしました(手前でやめたわけではありません)。

 15時すぎに、富士宮口山頂、ここの公衆トイレは300円、きれいなトイレで無臭、価値ある有料トイレです。ただし、ひとつだけある売店は、この時間営業していません。食べ物はゼロ、ちょっと困ったけれど、あとは大砂走の下りだけなので、何とかなりそう。途中に山小屋も4軒あります。

 15時15分、御殿場口山頂(富士宮口山頂から2〜3分)から、いよいよ下山です。コースタイムは、3時間半ということです。帰りのバスは、17時10分と18時45分。18時過ぎに到着予定です。

 先行者を適当に抜きながら下りますが、10人以上の団体(子供連れ)が道をふさぎます。しかたないので、そのスピードに合わせて下ります。道をあけろと言うわけにもいかないので我慢。途中の山小屋で、絶対に休憩するはずです。

 16時、七合4勺わらじ館3040m。空腹というわけでもないけれど、ごうりき餅、200円で購入。あと1600mです。ここから大砂走になり、スピードが上がるので、1時間半くらいでしょう。17時半到着かあ、バスの発車まで1時間以上あります。こんなことなら剣ヶ峰をパスするなりして(それは考えられないが)、もっと早く下るべきだったと反省。16時08分スタートです。

 なお、当日早朝、寝ていてこむら返りを発症し、左足ふくらはぎに違和感をずっと引きずっての登山でした。さあ、大砂走をバコバコ下ります。1分で標高差30mくらい下れます。20分ほどで標高2500mの標識、あと1000m、時刻は16時35分です。あと35分で下れば、17時10分のバスに間に合ってしまう。こりゃあ土井たか子ですよね、やるっきゃない。があっとスピードアップ。その直後、よろけて踏ん張った刹那、太もも上部が痙攣。歩けない。

 道のわきにしゃがみ込んで、筋を伸ばします、3分ほど休憩。あああ、もう間に合わない。バス停で、汚れた身体で1時間以上もバスを待つくらいなら、タクシーで御殿場に出ちゃおうかしら。バスで30分ということは、だいたい15キロ、1キロ400円くらいなので6000円かあ、相乗りは難しいだろうなあ、あああ、今回、最高にへこんだ時間でした。

 さてさて、腰を下ろして腿の筋肉を伸ばします、グイグイ。ヨロヨロと立ちあがって、恐る恐る歩き出します。おお、何とか歩ける。焦っても仕方ないので、ゆっくりと歩き始めます。少しずつ痛みが消えて、スピードがアップしてきました。気付けば、さっきと同じくらいのスピードではありませんか。

 バス停の少し手前の大石茶屋の看板。茶屋まで400m、バス停まで800mだって。時刻は17時ジャスト。この時点でも、あああ、最悪だね。間に合いっこない。茶屋を過ぎたのが17時06分、しばらくで、あと200mの看板、17時08分30秒。ここで、本日初めての猛ダッシュ。御殿場口五合目バス停、到着が17時10分、バスに乗車直後にドアが閉じられました。万歳万歳!禍福は糾える縄の如しとは、このことでしょうか。御殿場市内は連休の大渋滞でしたが、目当ての御殿場線に乗車でき、21時に無事帰宅と相成りました。当初のバスに乗車した場合、帰宅が22時半ころになるところ、1時間半も儲かっちゃいました。

 今回かかった費用です。アクエリアス500cc1本とパック1個、事前購入。家計費からなのでタダ。池袋〜新松田926円、コンビニでおにぎり、パン650円くらい、新松田〜須走口五合目2060円、入山協力金1000円、トイレ2回500円、ごうりき餅200円、御殿場口五合目〜御殿場1110円、御殿場でコーラ130円、御殿場〜松田500円、新松田〜池袋926円、合計8002円。さらに、帰宅してから身体中に膏薬10枚くらい、これは診療所で安価な金額でもらえるのでタダと致しましょう。

 最後に、もしもこれを参考に富士山日帰りを考える方がいらっしゃるなら(まあ皆無でしょうが)、ちょっとお高いけれど、新幹線を利用した富士宮ルートをお勧めします。品川6時40分のこだま乗車、4320円、8時23分富士宮着。富士宮8時30分発のバス、3100円、富士宮口五合目9時50分着。片道7420円もかかるけれど、まず間違いなく、この時刻に2400mまで到着できます(須走口五合目から9時出発より早い)。新宿バスタ6時45分発、吉田口五合目、2305m、9時20分着、2700円はお得ですが、渋滞の危険が大です。そして下りは、御殿場ルートの大砂走が最高ですが、脚力に不安があると難しいかもしれません。ただし、腿には来ますが、砂の道なので、膝が痛くなる心配は少ないかと思います。


(写真を写真集に掲載していますのであわせてご覧ください。)
 
   以上