- 「64歳と62歳になるので早めに歩いておかなくてはならない山がある」と常盤さんと話していた。二人ともバランスが悪くなり、脚力もジワジワと衰えるのを感じていたのだ。
- まずは槍穂の大キレットと西穂から奥穂への縦走だった。残された時間は後2〜3年、天気の良い時を見つけて登っておかないと体力的に時間切れになってしまう。
- 7月に槍穂大キレットを踏破すべく槍ヶ岳山荘まで登ったのだが、あいにくの雨のためそのまま大天井岳から安曇野側に下ってしまったのだった。
- 今回はそのリベンジとも考えたのだが、もう一度まる1日かけて槍ヶ岳山荘まで登る気力はなかった。そんなことで初日を西穂山荘までとする楽ちん計画で西穂高岳から奥穂へ縦走することにした。
- このコースは11年前に、平石 三木 松田 常盤 田中 渡辺 臼井 海北 浜田
古園と10名で踏破したのだが、二人にとってそれ以来なのだ。(登った皆さん覚えていますか?)
http://yabonokai.com/oshirase/200609kasab/kasab.htm
- 問題は天気だった。今年の夏は梅雨明けと同時に雨が降りはじめ、山屋にとって本当にひどい夏になってしまった。今回も半月ほど前から天気予報をみては一喜一憂していたのだった。
- 出発の3〜4日前まではパッとしない天気予報だったのだが、実際にはピンポイントの素晴らしい快晴に恵まれることになった。やはり普段の行いが大事だ。
8月26日土曜日
松本を10時15分に出発する直行バスで上高地に入る。河童橋では穂高の山々がくっきりと見える。案内図を眺めながら山々の形と名前を確認する。何度もここから眺める山だが時々確認しておかないと忘れてしまう。
久しぶりに歩く西穂山荘への登りは一歩の段差の大きいところが結構あり、九十九折の快適な道と言うわけにはいかなかった。
それでも16時前には無事に西穂山荘に到着し、ビールを飲みながら3回目の夕食の時間を待った。
ビール飲みながら群馬のご夫婦とお母さんと居合せる。お母さんは75歳の大変お元気な方。明日は西穂高まで登ると言う。去年も奥穂に登ってきたそうだ。私もあのようになりたいものだ。 阿部さんも佐藤さんもまだまだガンバれるじゃないですかと脳裏をよぎる。
8月27日日曜日
朝4時15分、いよいよ奥穂に向かって出発だ。懐中電灯でまずはゆっくりと独標へと登る。
独標から西穂高への道も所々結構おっかない。それでも大勢の登山者が西穂高に向かって登っていく。
西穂高岳のピークは大勢の登山者で満員だった。 好天のためか西穂高岳から先にも結構な人数の登山者が歩いている。 11年前にこのルートに来た時にはヘルメットをかぶっている人はせいぜい2割だったと思うが、今回はほとんど全員がヘルメットをかぶっている。変わったものだと思う。
間ノ岳へ向かう。 途中に長く急な下りをクサリを頼りに下る。11年前に10人で下った時には30分位はかかっただろうか。進退窮まる所はないが、高度差があるので時間がかかる。
間ノ岳に近づくにつれ、直方体の赤い岩が増えて来た。 間ノ岳まで1時間ちょっと、8:15に到着。北アルプス中が見渡せ最高。 間天のコルまで80mほどを一気に下り、同じ位登り返す。
天狗岩で30分ほど休憩し、おにぎり弁当と北アルプスの山々を堪能する。 たっぷりの糖質も北アルプスの峰々も東京ではおあずけだから、喜びも一段だ。 天狗のコルへの下りも80mくらい。所々鼻歌をストップして慎重にゆっくりと下る。
天狗のコルからコブ尾根の頭への登りは300mちょっとの登りだ。5時間歩いた足にはなかなか厳しい。 途中で一休み(多分畳岩の頭)して、コブ尾根の頭を目指す。
この辺から上腕の筋肉が一杯一杯になってくる。脚の筋肉は日頃からトレーニングしているのだが、上腕はビールジョッキを持つ時くらいで何もしていない。 よじ登る箇所は11年前と比べて目に見えてペースダウンしている。よじ登る所と急下降では常盤さんについていけず、足だけの登りでやっと追いつくーの繰り返しだった。
コブ尾根の頭からジャンダルムは指呼の間だ。 またジャンダルムの右側にはロバの耳、馬の背、奥穂高岳などよく見える。 常盤さんはロバの耳はガスで見たことがないとかで、感激していた。
ジャンダルムの根本に荷物を置き、ピークの数分を含めて25分ほどで往復する。 以前と比べてルートがわかりにくく、石を落とす人が多く、ちょっと要注意だった。
ロバの耳の横を通つてからの下りも浮石が多く、ここは少々おっかないと記憶しているので慎重に下った。 崩落個所が多く今年は特に浮石が多く、スタンスの高低差も大きくい。常盤さんは平気そうだったが私は慎重を要した。
下ったぶんを登り返すと馬の背だ。 このコースのハイライトとも言える馬の背をトントンと登る。 常盤さんは馬の背のようなクライミング的な登りはスイスイと登ってしまう。 馬の背を過ぎると最後のひと登りで奥穂高岳山頂に到着。 あいにく飛騨側からガスが出てきて、絶景とはいかなかった。
穂高岳山荘には15時過ぎに到着。 前回(11年前)よりも1時間多くかかり、前々回(16年前)よりも2時間多くかかっていた。 頑張って歩いたのだが、トシには勝てないと痛感する。
小屋の夕食3回目までの間を愛知岐阜からの若者とビールなど飲みながら過ごす。同窓の後輩を含む3人連れだ。 彼らは西穂山荘を我々よりも30分遅く出て1時間早く着いたそうだ。またまたトシを感じる。
8月の終わりの月曜日ということもあるが、小屋は布団に1人ずつと厚遇だった。
8月28日(月)
北穂高岳を回って帰ろうかとも思っていたのだが、小屋の朝飯を食べてザイテングラートから横尾経由で下ることにする。
雲が多いが、ザイテングラートからの眺めは美しい。 涸沢、横尾を通っての上高地への下りも何度通っても楽しい。 このルートは登っても下っても無条件で幸せだ。
下る人も登ってくる人も多く、すれ違いや追い越しに時間がかかる。 それでも上高地12:40発のバスの45分前に小梨平に着いたので、小梨平の小梨湯で一風呂浴びてからバスターミナルへ。
松本の小波食堂で焼肉とビールを楽しみ、帰路についた。
天気良く、楽しい縦走だった。
西穂奥穂縦走 時間記録 2017.8.26(土)〜28(月)
2017.8.26(土) 晴れ
上高地バスターミナル1225 西穂高登山口1259-1305 小休1355-1405 小休1455-1505
2149m 西穂山荘1548
2017.8.27(日) 快晴、朝夕曇り
3:15起床 西穂山荘415
丸山434 独標520-535 8℃ 快晴 ピラミッドピーク600 西穂高647-707 間ノ岳815-35
天狗920-50 小休止1104-15 畳岩の頭 コブ尾根の頭1143-1200 荷物置く1205
ジャンダルム1215-1222 荷物1232-35 ロバの耳1254 ロバの耳の次のコル1318
その後のピーク1339-53 馬の背手前 馬の背1358 奥穂高岳1415-1429 穂高岳山荘1502
2017.8.28(月) 曇り、涸沢から晴れ
4:30起床、朝食5:15
穂高岳山荘545
涸沢小屋658-714 涸沢ヒュッテ722-24 822本谷橋 横尾904-15 徳沢1002-15
明神1059-1115 小梨の湯1155-1215 トイレ1218-20 上高地バスターミナル1225
(写真を写真集に掲載していますのであわせてご覧ください。)
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