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三国山って何なのよ、なんで雲取山なの。実は、近く千葉県の最高峰・愛宕山に行くわけです。それで県別の最高峰を調べてみたわけです。静岡県の富士山、長野県の奥穂高岳、東京都の雲取山、神奈川県の蛭ヶ岳など、まあ誰でも知っています。逆に、大阪府の大和葛城山とか岡山県の後山とか、ほとんど知られていません。知っていても、魑魅魍魎とか薔薇とか、漢字で書けるのといっしょで、オタクすぎて恥ずかしいです。千葉・愛宕山も同類かな。
ひっかけ問題としては岐阜県。岐阜県人に怒られるでしょうが、長野県境の奥穂高岳が、正真正銘の岐阜県の最高峰と認識している方は、少ないと思われます。北アルプスは飛騨山脈なのに、現実的には信濃山脈と誤解されているみたいです。そして難問は埼玉県の三宝山、甲武信岳のすぐとなりの山です。新潟県も難しい。妙高山ではありません。白馬岳の北、三国境を北東へ、小蓮華山という小ピーク(代掻き馬の雪形が現れるので、ある種有名です)なのだそうです。
三宝山、三県境の甲武信岳のとなり、小蓮華山、三国境のとなり。県別最高峰から入った興味ですが、三県境の方向に流れていったのです。そう言えば、三国山とか、三国峠とか、そこら中にあるような気がします。そうそう、50年くらい前に、バスで西丹沢方面の三国峠という場所に行き、山中湖に歩いて下った記憶があるが、そうか、神奈川・山梨・静岡の三県境ってことか、であります。
それでは、近場から攻めてみましょう。9月24日(日)、神奈川・山梨・東京の三県境。地図でパッと見ると、花の百名山たる生藤山です。まずは中央本線・上野原駅に向かいます。我が家の駅を5時57分発という遅い電車に乗って、7時54分に上野原。8時10分発井戸行きというバスがあります。バスは、山梨県上野原市から、神奈川・山梨県境のその名も境川という川の上流、おもに左岸の神奈川県側を進み、再び山梨県側に入って、終点井戸下車。
しばらく車道を進み、右方向、軍刀利神社を目指します。グンダリと読むんだそうです。日本武尊をご祭神とする、たいそう由緒ある神社だそうですが、草がモジャモジャした、苔がベトベト生えた、トイレに虫がブンブンしている、あまり好みでない場所です。横に車道がありますが、けっこう傾斜のきつい道を10数分で境内です。一息つきます。
神社の裏手から、本格的な登山道が始まります。適当な傾斜、路面がゴロゴロしていない、木の根が張っているところも少ない、あれよあれよという間におよそ300メートルの標高差を登り切り、神奈川・山梨県境の稜線に到着します。そこから北方向にユルユル数分、そこが本日の目的地、三国山です。
ここは、ハイキングで有名な笹尾根の末端近く、あらたに東京が登場します。三国山頂上には、神奈川・山梨・東京の境といった看板がありますが、頂上にいた高校生とおぼしき坊やは、まったく興味ない模様でした(そりゃあそうです)。三国山から北西が笹尾根、終点は三頭山です。南東方向に進みます。1分下って、4分登れば、この地域のランドマーク、生藤山。なお、生藤山の登りから道が劇的に悪くなります。ゴチゴチの岩々です。
笹尾根の上にいるのですから、東京の秋山川側、山梨の桂川側、下山自在に思われますが、実はやっかいな問題があります。実は、お昼ころは、バスがほとんどないのです。下手をすると、2時間待ちという具合です。唯一の解決策が、笹尾根を末端まで進み、和田峠から陣馬山登山口の、陣馬高原下へ下ること。ここなら、1時間に1本という豪華なバスダイヤです。
東京・神奈川の県境上、相当な悪路でした。ヌルヌルで滑りやすく、けっこう激しいアップダウンが30分くらい。もう、ウンザリだよ。途中巻き道があったりするので、迷わず楽な方を選びます。醍醐丸というピーク(実は巻き道を通ったので、頂上は知らない)あたりから、ようやく穏やかになり、スタスタと和田峠へ。あとは車道を30分ほどで、陣馬高原下バス停に到着しました。毎時25分にバスが発車します。
翌週9月30日(土)は、東京・山梨・埼玉、三県境の雲取山です。日帰りですから、一番楽な鴨沢からの往復です。さて奥多摩からのバスは、青梅街道を多摩川沿いに走ります。奥多摩湖(小河内ダム)を過ぎて、留浦(とづら)という集落があります。昔のガイドブック、雲取山から下山した場合、鴨沢からのバスは少ないが、留浦まで10分ほど歩けば、バスは山ほどある、という知識はありました。
西東京バスの「ハイキング時刻表」便利です。細かいけれど、必要十分な情報が集約されています。路線図で、奥多摩から日原方面、丹波(丹波山村)方面、小菅方面の3路線があることがわかります。鴨沢も留浦も丹波方面行です。
休日の朝、鴨沢西行き、6時05分、7時00分、9時30分のバスがあります。8時35分発の丹波行きでももちろんOKです。留浦行きというのは、夕方までありません。我が駅を始発で出ても、奥多摩到着が7時18分なので、6時05分、7時00分発には乗れず、8時35分発まで待つことになってしまいます。なお、帰りは鴨沢西16時01分発という、理想的なバスがあります。ただし、乗り逃すと次は18時36分と、地獄の2時間半待ちです。留浦行きが山ほどあるって言ったって、それよりもっと遅い時間です。
8時35分のバスに乗って、鴨沢に9時過ぎに到着。帰りのバスは16時。7時間以内に登って下りねばなりません。ううむ、厳しい。コースタイムは、登り5時間25分、下り3時間55分となっています。合計9時間20分(休憩含まず)を、7時間弱(休憩含む)とはイヤハヤです。まあ、下りは休みなしでぶっ飛ばして、2時間半は可能。登りを4時間、それに数分の休憩を2〜3回。ううむ、地獄の2時間半待ち覚悟の、ある意味無謀登山か。
と、水曜に田中後輩から別件で連絡があり、前日に同行することが決まりました。これで地獄の2時間半待ちは解消です。鴨沢バス停のとなりに「木漏れ日」という食堂があり、万一の時はここで飲んでいればよい。さらには、大変な情報がもたらされました。留浦なら、7時25分のバスがありますよ。えええ?時刻表、目を皿のようにしてみると、7時25分発小菅の湯行きのバスの上に、留の文字あり。留浦経由だそうです。経由というより、いったん留浦まで行って、Uターンして深山橋まで戻り、小菅方面に向かう変則ダイヤです。もちろんこのバスを選択します。これで、行動時間が1時間延びます。地獄覚悟の無謀登山とは、おさらばです。ちょっとがっかり。
我が家の駅の始発は4時56分で、よく利用します。池袋のつなぎもぴったりで、新宿到着が5時18分です。ところがJR、イヤミも大概にしろ。この時間の総武・中央線の新宿発車が同時刻の5時18分であり、どうあがいても乗れません。そこで、もっとあがいて、新大久保から大久保まで、大久保通りを疾走します。300メートルを3分、なんとかこの電車をキャッチできます。一方の田中後輩、都内在住ですが、多摩川を渡って川崎の武蔵小杉まで徒歩30分以上、ここからは南武線1本で立川に行けます。お互い、4時40分ころ家を出て、無事に奥多摩駅に到着できました。
奥多摩駅、東日原方面・丹波方面ともに8時35分発のバスがあります。この時間の混雑は、相当なものです(数回経験しています)。ところが、7時18分奥多摩駅着、7時25分発のバス、その存在をみんな気づかないのか、始発でも間に合わないのか、駅前もバスもずいぶんすいていました。これは使えますね。
留浦から5〜6分歩き、小袖川という小さな川。これが東京・山梨の境だそうで、ふつうは気づかないかと思います。留浦は東京都なので、認可の関係で留浦行き、始発のバスがある模様。小袖川を越えればすぐに鴨沢集落です。8時22分、いよいよ雲取山登山のスタートです。
鴨沢から20分ほど登ると、一度車道が現れ、小袖乗越です。マイカーならここまで上がることができます。8時半過ぎ、駐車場は満杯です。少し先に、雲取山2017メートルの看板。今年は2017年だから、雲取山の年で、大人気なのだそうです。ちょっと待った、今年は、畏くも、神武天皇が橿原宮で践祚されてから2677年ではありませんか。我が国においては、耶蘇教のキリスト様より神武天皇様ではないですか?こちらだって、大人気になっておかしくないはず。北アルプス・蝶ヶ岳2677メートル。
まあ、あとはなんてことありません。とても歩きよい道、こんなに傾斜が緩くて大丈夫なの?でも問題ないのです。スタートが1時間早まったこともあり、ゆっくりと着実に標高を稼いで、ブナ坂で石尾根(山梨・東京の境)に出ます。小雲取山の登りはちょっときついが、予定通り13時前に雲取山に登頂できました。
そしてこの雲取山、登りついたところに避難小屋があり、頂上部分50メートルほど先が最高点で三角点があります。三角点の周辺には、2017メートルの記念標識とか、御影石でできた、上品な石碑などもあります。しかし、今回の目的地は、避難小屋のすぐとなりの岩場・小ピークです。ここが三県境です。ここまでの石尾根、右が東京、左が山梨でしたが、ここからは右が東京、左が埼玉となります。三角点は、東京・埼玉県境で、山梨とは何の関係もありません(山梨県、厳しいデスネ)。
ちょこっと写真撮ったらもう用は済みました。13時10分から下山にかかります。2時間半は大変だが、2時間50分あればバスを逃すこともないでしょう。石尾根のきもちの良い道を楽しく下り、ブナ坂から鴨沢へ向けて一直線。ところが、登りではあまりにも傾斜が緩すぎると思われた登山道、意外にも膝にこたえる下り坂でした。登りより下りの時の方がきつく感じる、経験通りです。鴨沢には15時53分、予定通りの到着でした。田中後輩のおかげで、余裕を持った登山となりましたが、ゾクゾクするほどの緊張とは遠いものとなりました。これで、東京の三県境、二つ制覇です。
(写真を写真集に掲載していますのであわせてご覧ください。)
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