◆「自主ワン 三国山と雲取山」報告   
     

  常盤さんから自主ワンの山行報告を頂きましたので掲載いたします。 

 
 三国山って何なのよ、なんで雲取山なの。実は、近く千葉県の最高峰・愛宕山に行くわけです。それで県別の最高峰を調べてみたわけです。静岡県の富士山、長野県の奥穂高岳、東京都の雲取山、神奈川県の蛭ヶ岳など、まあ誰でも知っています。逆に、大阪府の大和葛城山とか岡山県の後山とか、ほとんど知られていません。知っていても、魑魅魍魎とか薔薇とか、漢字で書けるのといっしょで、オタクすぎて恥ずかしいです。千葉・愛宕山も同類かな。

 ひっかけ問題としては岐阜県。岐阜県人に怒られるでしょうが、長野県境の奥穂高岳が、正真正銘の岐阜県の最高峰と認識している方は、少ないと思われます。北アルプスは飛騨山脈なのに、現実的には信濃山脈と誤解されているみたいです。そして難問は埼玉県の三宝山、甲武信岳のすぐとなりの山です。新潟県も難しい。妙高山ではありません。白馬岳の北、三国境を北東へ、小蓮華山という小ピーク(代掻き馬の雪形が現れるので、ある種有名です)なのだそうです。

 三宝山、三県境の甲武信岳のとなり、小蓮華山、三国境のとなり。県別最高峰から入った興味ですが、三県境の方向に流れていったのです。そう言えば、三国山とか、三国峠とか、そこら中にあるような気がします。そうそう、50年くらい前に、バスで西丹沢方面の三国峠という場所に行き、山中湖に歩いて下った記憶があるが、そうか、神奈川・山梨・静岡の三県境ってことか、であります。



 それでは、近場から攻めてみましょう。9月24日(日)、神奈川・山梨・東京の三県境。地図でパッと見ると、花の百名山たる生藤山です。まずは中央本線・上野原駅に向かいます。我が家の駅を5時57分発という遅い電車に乗って、7時54分に上野原。8時10分発井戸行きというバスがあります。バスは、山梨県上野原市から、神奈川・山梨県境のその名も境川という川の上流、おもに左岸の神奈川県側を進み、再び山梨県側に入って、終点井戸下車。

 しばらく車道を進み、右方向、軍刀利神社を目指します。グンダリと読むんだそうです。日本武尊をご祭神とする、たいそう由緒ある神社だそうですが、草がモジャモジャした、苔がベトベト生えた、トイレに虫がブンブンしている、あまり好みでない場所です。横に車道がありますが、けっこう傾斜のきつい道を10数分で境内です。一息つきます。

 神社の裏手から、本格的な登山道が始まります。適当な傾斜、路面がゴロゴロしていない、木の根が張っているところも少ない、あれよあれよという間におよそ300メートルの標高差を登り切り、神奈川・山梨県境の稜線に到着します。そこから北方向にユルユル数分、そこが本日の目的地、三国山です。


 
 ここは、ハイキングで有名な笹尾根の末端近く、あらたに東京が登場します。三国山頂上には、神奈川・山梨・東京の境といった看板がありますが、頂上にいた高校生とおぼしき坊やは、まったく興味ない模様でした(そりゃあそうです)。三国山から北西が笹尾根、終点は三頭山です。南東方向に進みます。1分下って、4分登れば、この地域のランドマーク、生藤山。なお、生藤山の登りから道が劇的に悪くなります。ゴチゴチの岩々です。

 笹尾根の上にいるのですから、東京の秋山川側、山梨の桂川側、下山自在に思われますが、実はやっかいな問題があります。実は、お昼ころは、バスがほとんどないのです。下手をすると、2時間待ちという具合です。唯一の解決策が、笹尾根を末端まで進み、和田峠から陣馬山登山口の、陣馬高原下へ下ること。ここなら、1時間に1本という豪華なバスダイヤです。

 東京・神奈川の県境上、相当な悪路でした。ヌルヌルで滑りやすく、けっこう激しいアップダウンが30分くらい。もう、ウンザリだよ。途中巻き道があったりするので、迷わず楽な方を選びます。醍醐丸というピーク(実は巻き道を通ったので、頂上は知らない)あたりから、ようやく穏やかになり、スタスタと和田峠へ。あとは車道を30分ほどで、陣馬高原下バス停に到着しました。毎時25分にバスが発車します。



 翌週9月30日(土)は、東京・山梨・埼玉、三県境の雲取山です。日帰りですから、一番楽な鴨沢からの往復です。さて奥多摩からのバスは、青梅街道を多摩川沿いに走ります。奥多摩湖(小河内ダム)を過ぎて、留浦(とづら)という集落があります。昔のガイドブック、雲取山から下山した場合、鴨沢からのバスは少ないが、留浦まで10分ほど歩けば、バスは山ほどある、という知識はありました。

 西東京バスの「ハイキング時刻表」便利です。細かいけれど、必要十分な情報が集約されています。路線図で、奥多摩から日原方面、丹波(丹波山村)方面、小菅方面の3路線があることがわかります。鴨沢も留浦も丹波方面行です。

 

 
休日の朝、鴨沢西行き、6時05分、7時00分、9時30分のバスがあります。8時35分発の丹波行きでももちろんOKです。留浦行きというのは、夕方までありません。我が駅を始発で出ても、奥多摩到着が7時18分なので、6時05分、7時00分発には乗れず、8時35分発まで待つことになってしまいます。なお、帰りは鴨沢西16時01分発という、理想的なバスがあります。ただし、乗り逃すと次は18時36分と、地獄の2時間半待ちです。留浦行きが山ほどあるって言ったって、それよりもっと遅い時間です。

 8時35分のバスに乗って、鴨沢に9時過ぎに到着。帰りのバスは16時。7時間以内に登って下りねばなりません。ううむ、厳しい。コースタイムは、登り5時間25分、下り3時間55分となっています。合計9時間20分(休憩含まず)を、7時間弱(休憩含む)とはイヤハヤです。まあ、下りは休みなしでぶっ飛ばして、2時間半は可能。登りを4時間、それに数分の休憩を2〜3回。ううむ、地獄の2時間半待ち覚悟の、ある意味無謀登山か。

 と、水曜に田中後輩から別件で連絡があり、前日に同行することが決まりました。これで地獄の2時間半待ちは解消です。鴨沢バス停のとなりに「木漏れ日」という食堂があり、万一の時はここで飲んでいればよい。さらには、大変な情報がもたらされました。留浦なら、7時25分のバスがありますよ。えええ?時刻表、目を皿のようにしてみると、7時25分発小菅の湯行きのバスの上に、留の文字あり。留浦経由だそうです。経由というより、いったん留浦まで行って、Uターンして深山橋まで戻り、小菅方面に向かう変則ダイヤです。もちろんこのバスを選択します。これで、行動時間が1時間延びます。地獄覚悟の無謀登山とは、おさらばです。ちょっとがっかり。

 我が家の駅の始発は4時56分で、よく利用します。池袋のつなぎもぴったりで、新宿到着が5時18分です。ところがJR、イヤミも大概にしろ。この時間の総武・中央線の新宿発車が同時刻の5時18分であり、どうあがいても乗れません。そこで、もっとあがいて、新大久保から大久保まで、大久保通りを疾走します。300メートルを3分、なんとかこの電車をキャッチできます。一方の田中後輩、都内在住ですが、多摩川を渡って川崎の武蔵小杉まで徒歩30分以上、ここからは南武線1本で立川に行けます。お互い、4時40分ころ家を出て、無事に奥多摩駅に到着できました。

 奥多摩駅、東日原方面・丹波方面ともに8時35分発のバスがあります。この時間の混雑は、相当なものです(数回経験しています)。ところが、7時18分奥多摩駅着、7時25分発のバス、その存在をみんな気づかないのか、始発でも間に合わないのか、駅前もバスもずいぶんすいていました。これは使えますね。

 留浦から5〜6分歩き、小袖川という小さな川。これが東京・山梨の境だそうで、ふつうは気づかないかと思います。留浦は東京都なので、認可の関係で留浦行き、始発のバスがある模様。小袖川を越えればすぐに鴨沢集落です。8時22分、いよいよ雲取山登山のスタートです。

 鴨沢から20分ほど登ると、一度車道が現れ、小袖乗越です。マイカーならここまで上がることができます。8時半過ぎ、駐車場は満杯です。少し先に、雲取山2017メートルの看板。今年は2017年だから、雲取山の年で、大人気なのだそうです。ちょっと待った、今年は、畏くも、神武天皇が橿原宮で践祚されてから2677年ではありませんか。我が国においては、耶蘇教のキリスト様より神武天皇様ではないですか?こちらだって、大人気になっておかしくないはず。北アルプス・蝶ヶ岳2677メートル。

 まあ、あとはなんてことありません。とても歩きよい道、こんなに傾斜が緩くて大丈夫なの?でも問題ないのです。スタートが1時間早まったこともあり、ゆっくりと着実に標高を稼いで、ブナ坂で石尾根(山梨・東京の境)に出ます。小雲取山の登りはちょっときついが、予定通り13時前に雲取山に登頂できました。

 そしてこの雲取山、登りついたところに避難小屋があり、頂上部分50メートルほど先が最高点で三角点があります。三角点の周辺には、2017メートルの記念標識とか、御影石でできた、上品な石碑などもあります。しかし、今回の目的地は、避難小屋のすぐとなりの岩場・小ピークです。ここが三県境です。ここまでの石尾根、右が東京、左が山梨でしたが、ここからは右が東京、左が埼玉となります。三角点は、東京・埼玉県境で、山梨とは何の関係もありません(山梨県、厳しいデスネ)。


 ちょこっと写真撮ったらもう用は済みました。13時10分から下山にかかります。2時間半は大変だが、2時間50分あればバスを逃すこともないでしょう。石尾根のきもちの良い道を楽しく下り、ブナ坂から鴨沢へ向けて一直線。ところが、登りではあまりにも傾斜が緩すぎると思われた登山道、意外にも膝にこたえる下り坂でした。登りより下りの時の方がきつく感じる、経験通りです。鴨沢には15時53分、予定通りの到着でした。田中後輩のおかげで、余裕を持った登山となりましたが、ゾクゾクするほどの緊張とは遠いものとなりました。これで、東京の三県境、二つ制覇です。



(写真を写真集に掲載していますのであわせてご覧ください。)
 
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