◆「裏磐梯スノーシュートレッキング」報告
 

 
<日 程>
平成30年3月4日(日)〜3月5日(月)

<コース>
3月4日 快晴無風 東京駅−高速バス−裏磐梯レイクリゾート五色の森(泊)−五色沼の一部をトレッキング
3月5日 曇  ホテル―車―裏磐梯スキー場−イエローフォール・トレッキング往復(7℃〜12℃)−ホテル−高速バス−東京駅

<同行者>
中村(一)、阿部、三木、斎藤、北島、中村(陽)、和田(記)
 


(概要)
■中村さんが企画するスノーシュートレッキング第4弾。いつもどおり和田が代筆。
格安プランに便乗し、リッチなリゾートホテルを拠点に、ガイド付きで雪の湖沼や磐梯山中腹をスノートレ。ホテルも温泉も食事も素晴らしい。雨に遭わず密度の濃い充実した2日間を楽しんだ。中村さんに感謝、感謝です。

■3月に入ると春本番の陽気となり、裏磐梯の山々はモフモフ雪から水気のある重く締まった春の雪に変わった。雪と氷に覆われた湖面の一部は緩み、松は葉を開き、磐梯山の火口壁から落石音が響き始めた。

(格安プラン)
■世の中にはわからないことが数多い。中村さんが探し出した格安プランは並大抵ではない。業界の方からは常識だと言われかねないが。
同一条件で「土・日の1泊2食付は18,500円/人。新幹線を使う往復交通費は東京から17,000円。高速バスの場合は往復10,000円」なのだが、日・月の格安プランは「往復高速バス付1泊2食が13,000円」。土日の利用者が格安分を負担しているのでしょうか。
ホテルが大規模なので営業マンは客集めに大変なのでしょう。

■宿泊した裏磐梯リゾートホテルは地元福島の名門企業が開発し、バブル崩壊後の一時期、星野リゾートとなり、現在は通販会社が所有する。リフォームして3年の本格的なリゾートホテルでした。



3月4日(日)

(往路)
■東京駅近く鍛冶橋駐車場に8時45分集合。9時に高速バスで裏磐梯に向かう。客は私達だけでマイクロバスと思い込んでいたので、観光バス2台仕立てには暇な人が多いと驚いた。
雲一つない快晴だが春霞がかかる。奥日光の男体山や女峰山、鶏頂山をはじめとする高原山、那須連峰も眺めはいま一つ。間近に見た安達太良山は美しかった。

■茶色い冬枯れ景色の東北道から磐梯道に入ると、道路北斜面に雪が残り峠を越え会津盆地へ下ると一面の雪景色。外気は18℃。雪の磐梯山が大きく聳える。バスは次第に雪国へと入っていく。小説の「長いトンネルを抜けると雪国であった」は環境が激変する清水トンネルならではである。

(ガイド付きトレッキング)
■途中事故渋滞があったが14時10分にホテルに到着。周辺の積雪は2m前後。
■ホテルロビーの一角にスノートレコーナーがあった。スノーシューの貸し出しはしておらず、ガイド付きトレッキングツアーのみである。メインのツアーコースは五色沼とイエローフォール。両方で10,300円は格安プランが霞むし、ガイドなしで問題ないと自信はあったが、体験してみて充実度でガイド付きツアーが勝った。

■まず、料金にはツアーを楽しむためのスキー服、靴、道具、保険代等一切合切を含む。体一つでやってきても何一つ支障はなかった。勿論ホテルとスキー場間の車代、行き帰りのリフト代も含む。

■また、ガイドによる説明や自然解説もよい。裏磐梯の歴史(明治21年の磐梯山の水蒸気爆発による山体崩壊で死者477名。現在の裏磐梯の景観ができ上がった)やコース説明。ポールやスノーシューの歴史、扱い方の指導。スノーシューを抱えてのリフトの乗り降りの注意など、客に対する安全配慮も行き届いていた。思いがけない行動に出る客がいるようだ。

■トレッキング中は、裏磐梯の沼地が多くやせた土地に様々に植林を重ね、カエデの恩恵もあって豊かな森となった経緯、キツネとタヌキの足跡の区別、植物の名前の由来、湖沼を繋ぐ地下水系、東日本大震災の原発事故と会津地方の関わり等、地元ならではの話を聞けた。ガイドで満たされる知的満足とはこういうものか。
彼らの溢れるホスピタリティと信頼感。そして余裕を持ったペース配分で雪山歩きの楽しさは2倍となった。

(五色沼トレッキング)
■ツアーなので私達のほか、4日は若いカップル1組、5日は若いカップル2組。
15時出発。平らな林間コースで足腰への負担はない。「柳沼」、「青沼」、「るり沼」と次から次に変化する景色に満足。春山もよいが新雪トレッキングもよさそうだ。快晴でも午後には雲がかかるという磐梯山、この日は幸運にも夕方まで望めた。

■ホテル午後着の場合は、すべてそうなのだと思うが、五色沼コース全体の1/4程度の回遊。物足りないが五色沼のエッセンスは十二分に楽しめた。るり沼でガイドから紅茶サービスがあった。傾いた夕陽に気づきあわてて引き返す。

(ホテル)
■ホテルに戻ると17時近かった。和室部屋は檜原湖に面し、湖を囲む山々の向こうに陽が沈む。雪に囲まれた赤湯の露天風呂がよい。夕暮れどき、白一色の檜原湖を望む露天風呂は疲れがほぐれる。夕食のバイキングは品数多く地元料理もあり、おいしく大満足。だが食べすぎた。会津なのに日本酒各種がもう一つだったのが唯一残念。

■食後は部屋でひと時を過ごす。大笑いが続いたが、明日は低気圧が東北中部を抜けるため昼から本格的な雨、とテレビで予報。ツアーは昼に終わるので、1時間でもあと倒しになることを願った。



3月5日(月)

(イエローフォール・トレッキング)
■ガイドから説明を受け、ソフトシェルのアウターを借り、8時45分、シャトルバスに乗り込む。出発地点である裏磐梯スキー場に向かった。ツアーに参加しない場合は雪の登り車道2kmを歩く。スキー場には行きも帰りもスキーヤーなど人影はない。ツアー客のためにリフトが動いた。2本乗り継ぎ標高1,120mのリフトトップに立つ。イエローフォールまで距離5km、登り標高差80m。

(出発)
■リフトトップは目前に大噴火跡を見せる磐梯山と櫛ケ峰が見え、眼下には檜原湖や林が広がる気持ちの良い場所。

■リフトを使わずに下から登ってきた10名程度の高齢者登山グループ。ガイドは彼らから「イエローフォールへの入口はどこですか」と尋ねられた。山でわからないことを尋ねるのは大切なことだが、事前準備不足で冬山に入るのに自らルートを拓くことができない彼らに呆れていた。

■スノーシューを履く。寒くなく風もないので助かる。ガイドの雨予測は帰りのリフト。9時35分、曇空を心配しながら出発。

(銅沼から雪原へ)
■ガイドは昨日とは別の方だが、昨日と同様に決してペースを上げることない。普段山歩きをしていないだろう若いカップルでも歩ける速さ。ウサギの赤い小便跡を見つけば立ち止まり説明。林を抜けると銅沼(あかぬま)に出た。冬は雪原で湖上を歩ける。昨日は林間コース、今日は火口原の雪原歩き。右手に聳える磐梯山の火口壁の中腹からは水蒸気が立っていた。密かに生きている。

(イエローフォール)
■雪原を詰めて右上の小山を登り下りすると、櫛ケ峰の岩壁の下に橙色した氷の滝が見えてきた。イエローフォールである。私達しかいない。岩壁から滲み出る鉄分を含む雫が凍り滝状になるらしい。毎年、その規模や形が変わるという。

■振り返ると、右手には西吾妻山と中腹のグランデコスキー場が、遠く白い飯豊連峰が望める。どんよりした曇り空のもと上出来な眺め。晴れていれば、蔵王連峰や朝日連峰も遠望できるという。

(稜線からガスが降りる)
■ガイド提供の紅茶を飲んでいると、稜線から冷たいガスが降りてきた。猪苗代方面から山頂を越えてきたガスだ。風も出てきた。ガイドはそれに気づくと今までのモードを変え、下山を急がせた。彼は今シーズン、テレビ取材で関係者を案内したときに、吹雪に遭い顔に凍傷を負ったという。稜線から落ちるガスを嵐の前触れと判断したのを頼もしく思った。

■ガイドは早くスキー場に戻るため往路と同じコースを下山。しかし、ガスが雪原まで下りてこないことを確認すると、ルートを変更し私達を楽しませた。11時40分、雨に降られずスキー場に到着。スキー場ロッジでガイドから温かいコーヒーが提供された。コーヒー好きにはたまらない。

(帰路)
■12時45分、ホテルに戻ると雨となった。私達は運のよい2日間を過ごした。昼食後、温泉風呂で汗を流す。14時30分に、予約済みの東京駅行き高速バスに乗車。バスは雨の高速を走る。2箇所の休憩以外は退屈なバスの旅であった。予定通り19時30分に東京に着く。雨は上がっていたが蒸し暑い。手持ちの温度計は24℃。この時期の気温とは思えない。


写真はこちらです。
1.斎藤さん撮影
2.和田さん撮影
  以上