◆「足柄・矢倉岳とビール工場見学」報告 

 
<日 程>
平成30年6月23日(土)曇りのち小雨

<コース>
小田急線「新松田駅」=タクシー= 矢倉沢入口 − 矢倉岳 − 足柄万葉公園 − 足柄峠 − 足柄古道 =タクシー= アサヒビール神奈川工場 = バス =「新松田駅」

<同行者>
石川、阿部、佐藤、三木、平石、斎藤(隆)、鈴木(幾)、北島、和田(記)
 


(概要)

■天気は付いてない。予報通り曇り、昼前から小雨、下山後は本降り。鈴木(幾)さんのデビュー山行。山は思いのほか急登が続き汗をかく。山頂手前から傘を差し草地の山頂へ。わずかな展望を楽しむ間もなく頂は霧に包まれ、霧や靄の雨の山もなかなか良いもんだ。

■路線バスも入る観光地・足柄峠エリアでは峠も足柄城も見つからず、下り口もわからない。下山口・地蔵堂に予約した迎車時刻が迫る。乗り遅れるとビール工場見学時刻(予約制)に間に合わない。大変だ。タクシー会社に携帯電話を掛けるが電波が不良。やっと通じた電話でタクシーに山中まで上がってもらい、ビール工場に向かう。慌ただしく疲れた。

■ビール工場は最高だ。出来立ての生ビールでのどを潤し、場内にあるレストランで打ち上げをした。反省は多々あったが、タクシー料金(割り勘)といい、ビールの試飲、打ち上げ代(割り勘)といい、沢山のあわただしさといい、費用対効果の高い1日。山中では4名2組のみ、梅雨のせいか彼ら以外、誰にも遭わなかった。



(いつもの一言)

■梅雨時だから愚痴の言いようはないが、金曜日と日曜日からの晴れで割を食った感。
この山は見るからに急登だが小粒なので、案内には特に急坂が続くことは書かなかった。しかし、湿度は高く風のない樹林で体がだるく、急登で汗をたっぷりとかく。この1年間で一番きつい登り。
山中気温は19℃で厳しい登りが終わるとちょうどよい気温。蒸した晴れ日よりもよかったかもしれない。



(山里)

■同行者が9名となり、予約したタクシー1台をキャンセルし、ジャンボタクシー1台(9名乗り)に。また、雨予報だったので山頂のコーヒータイムを中止、地蔵堂の迎車時刻を20分早め14時に、工場見学時刻も15時から14時30分に変更した。

■ジャンボが駅構内に入れる新松田駅「南口」集合。市内から富士山とおむすび型の矢倉岳が見えた。皆から「急だね」の声。いつもは老後、健康、介護と先行き短い話が多いのだが、この日のタクシーの中は孫の話に花が咲き、行く末が長い話で賑わった。

■平安時代初期に富士山が爆発するまでは、古東海道は足柄峠越えが正式ルートだった(足柄古道(江戸時代から矢倉沢往還))。鎌倉時代に箱根越え道(湯坂道)が造られ、足柄道は脇街道となる。万葉集に謳われた足柄峠、その峠を監視するように聳える山が櫓岳(矢倉岳)。交通の要所で戦国時代には小田原北条氏の出城・足柄城ができ、いまも本丸、二の曲輪、三の曲輪、空堀跡が残る。また、峠には関所があったという。

■矢倉沢本村の公民館前から、9時10分に出発。曇り空だが明るい。天気は1日持つと楽観論も出た。周辺は大山に縁がある丹沢周辺に多い農耕の神をまつる白山神社のほか、道祖神などが多い。緑濃い山里を抜け、急坂の農道を入る。足柄茶の茶畑からネット扉を開け人間界から動物界に入った。



(矢倉岳へ)

■足元の柔らかい急な山道が延々と続く。グイグイと登ると皆無口になる。鈴木さんはトップの平石さんにピタッとついて行く。ひと汗かき最初の一本。先頭の平石さんがおいしそうにタバコを吸い、三木さんの体からは場末のスナックのママの香水臭が漂う。羽虫除けの忌避剤というが虫寄せの甘い香りに思えた。

■植林帯が落葉広葉樹林に変わると、明るく、いくらかなだらかになる。時々力が必要な斜面が現れる。11時、ポツリポツリ。予報は当たった。傘を出す。

■11時10分、山頂(870m)は突然現れた。空が広がる明るい草地。到着した時は、富士山の下半分、金時山、箱根の明神ケ岳がうっすらと見えたが、すぐにガスに包まれた。晴れていれば山々の他、小田原の街や相模湾を見渡せるという。



(足柄万葉公園へ)

■山頂部の急な下りを終えると稜線に沿って軽く登ったり下ったりを繰り返し万葉公園に到着。天気が良ければ気持ち良さそうな場所だ。休憩のため東屋に入ると突然本降りとなった。間一髪、幸い。樹林の中は静かで周りは水墨画の世界、雨の山も良いと昼食をとった。突然、地蔵堂の迎車時刻に間に合うか不安になり、足早に足柄峠、足柄城跡に向かう。私の行程の見通しが甘かったようだ。



(足柄峠から地蔵堂へ、しかし、迷い)

■車道を足柄峠方向へ歩くが中々峠とならない。峠を13時に下り始め、予約タクシーが待つ地蔵堂に14時までに到着がビール工場の見学時刻に必携。しかし峠が現れない。代わりに静岡県の表示が現れた。

■万葉公園脇から山を下る山道があったのを思い出し、一度500mほど公園へ引き返した。しかし、そこは下り口ではなく、もう一度峠方面に向かう羽目になった。13時15分、徒歩での下山を止め、峠までタクシーを呼ぶことにした。ポイント情報の収集不足だった。

■鍵の閉まった立派な「峠の茶屋」(そこが足柄峠だったようだ)から携帯でタクシー会社に連絡を取るが通じない。3、4人がそれぞれ連絡を取るが駄目。先月の石保土山と一緒だ。繋がったと思うと切れてしまう。手段は唯一かなり遅れるが足柄古道を地蔵堂まで下るのみ。車道にズタズタにされた石畳風の古道を下ることにした。茶屋の林ではジャコウアゲハが羽根を休めていた。石川さんから腹は毒々しい警戒色だと説明を受ける。美しい羽根と裏腹に本当に気持ち悪い色彩だ。

■架電しながらゆっくりと最後尾を歩く斎藤さんから「繋がった。運転手に連絡が取れ次第、車道を上がってくれることになった」と嬉しい知らせ。13時45分頃、山の中でタクシーにピックアップされ、ビール工場に向かう。車の窓から眺めた雨のアジサイ群は美しかった。



(アサヒビール神奈川工場見学と打上げ)

■美しい樹木に囲まれた広々とした工場には、雨にもかかわらず沢山の見学者が詰めかけていた。1時間の工場見学後、20分間の試飲。350mlグラスに3杯まで、3種類の生ビールを無料飲み放題。なだ万のおかき小袋付きだ。ノンアルコール、ソフトドリンクもある。個人的な感想はやはりスーパードライがおいしい。黒ビールもよいが多くは飲めない、第三のビールは切れすぎた。隣のテーブルにクラブツーリズムの団体がやってきた。退散だ。

■見学前に予約した施設内のレストランで16時から打ち上げ。1時間半前は満員だった店内はすでにガラガラ。雨ではあったがそれなりに楽しんだ1日。ただ峠と足柄城跡に行けなかったのが心残り。今年の夏山で使う格安シューズを持参した二人。あれこれと品定め。話は夏山から、山と岳と峰の違いに移りお開き。路線バス最終便17時で新松田駅に向かう。いつも通り飲み足りない面々は駅前の店に入った。



写真はこちらです。
1.和田さん撮影
  以上