◆自主ワン 牛歩の水晶岳リベンジ 報告

報告者:舩生(S55卒)

 
 

1.メンバー(敬称略)

48 三木 洋、平石 充、石井 啓太郎
51 常盤 豊
53 田中 亨
55 舩生 克郎


2.日程

2023年7月17日(月)~22日(土)


3.行程計画

0日目(7/17)
新宿🚄松本🚃信濃大町前:ルートイン信濃大町駅前前泊
 
1日目(7/18)
大町🚕高瀬ダム(4h10)烏帽子小屋泊
 
2日目(7/19)
烏帽子小屋~(1h35+3h30)烏帽子岳ピストン~野口五郎小屋泊
 
3日目(7/20)
野口五郎小屋~(2h30)水晶小屋泊+(1h10)水晶ピストン
 
4日目(7/21)
水晶小屋~(4h30)双六小屋泊
 
5日目(7/22)
双六小屋~(5h20)新穂高🚌松本(解散)
 
*( )内は昭文社地図コースタイム

4.行動記録・写真
 

  • 今回の北アルプスへの自主ワン「牛歩の水晶岳リベンジ」は田中さんの詳細計画と小屋泊手配等々の段取りにより実施された。
  • その山行の「リベンジ」の由来は昨年の「北アルプス新穂高~折立」山行で断念した水晶岳(黒岳)へのリベンジ登頂を表す。そして「牛歩」の由来は最高齢76歳の石井さんを筆頭に後期高齢者3名、60代3名の高齢者パーティーであり、その年齢体力を勘案した日程コース設計となっている事に由来する。
  • 山中4泊5日の2日目の烏帽子小屋⇒野口五郎小屋間の数時間、風速20m以上の猛烈な強風雨に見舞われた以外、行動中の天候は良好だった。咲き乱れる様々な高山植物やツキノワグマ、雷鳥、イワヒバリなどの野生動物とも出会えた。
  • そして毎晩全員参加の「反省会」を欠かさないチームワークのメンバー6名で楽しく、予定通りに充実した縦走を完遂できた。
     

  
【0日目(7/17)】 16:40ルートイン信濃大町駅前集合(前泊) 
 
  • メンバー全員あずさ21号で松本に到着、松本駅前のスーパーで食糧調達。
     
     <松本駅につきました>
     
      
  • 大糸線で信濃大町に到着。  
       
      <信濃大町駅>
     
      
  • ホテルチェックイン後直ちに全員で駅前の「養老乃瀧」で山行計画の確認を行った。
 
 
 
【1日目(7/18)】 高瀬ダム~ブナ立尾根~烏帽子小屋  
  • 松本駅前アルピコプラザ調達の朝食を持参して、予約しておいたアルプス第一交通ジャンボタクシーに乗り込んだ。ジャンボタクシーは高瀬ダムまで乗り入れ認可のタクシーにつき、七倉のゲートは簡単な手続きで通過。
       
     <高瀬ダムで記念写真>
     
     
  • 高瀬ダムから、真っ暗なトンネルと吊り橋を経て濁沢滝を横目にブナ立尾根登山口に取付いた。  
     
     <高瀬ダム吊り橋を渡る>
     
     
  • ブナ立尾根は、日本三大急登として甲斐駒・黒戸尾根、谷川岳・西黒尾根と並び称される約1200mの標高差の急登道である。登山口「12」から烏帽子小屋「0」までおおよそ標高100mおきに設置の「12」から「1」のプレートが登行の目安になっている。 
     
     <ブナ立尾根登山口「12」>
     
     
  • 尾根の登りはすべて樹林の中であるが、登山道左手には高瀬ダム湖を挟んで唐沢岳、餓鬼岳が所々に現れる。さらに高度を上げるとダム湖の向こうに花崗岩オブジェの冠をつけた表銀座の燕岳も見えてくる。   
     
     <ブナ立尾根の急登>
     
     
     <ブナ立尾根「5」>
     
     
  • 登山道右手側は崩落気味の濁沢の谷が見え、烏帽子岳もちらりと見えてくる。
     
     <ブナ立尾根で烏帽子岳が見えました>
     
     
  • 一歩一歩着実に登っていくしかないが、さすがきついブナ立尾根であった。この厳しい登りルートもTOP平石さんの絶妙なペースに支えられてクリアできた。
     
     <ブナ立尾根最後の「1」で休憩>
     
     
     <烏帽子小屋に着きました>
     
     
  • 烏帽子小屋は野口五郎小屋と兄弟小屋でコンパクトな居心地の良い小屋である。
     
     <烏帽子小屋で早速反省会>
     
     
  • 烏帽子小屋の前は人工繁殖した高山植物(チシマギキョウ、コマクサ等)の見事な花壇になっている。
     
     <烏帽子小屋の花壇>
     
     
  • その晩の食事はカレー。「山小屋カレー攻め」の始まりで以降野口五郎小屋、水晶小屋と三晩カレーの夕食が続いた。
     
     <山小屋晩御飯 カレー攻めの第1回目>
     
     
  • 夕食後、小屋の外にでると吉兆とされる「彩雲」が見えた。幸先が良い。テント場上の展望台からは周りの山々の絶景が楽しめた。
     
     <夕暮れ空に吉兆といわれる彩雲が見えました>
     
 
 

 
 
【2日目(7/19)】烏帽子小屋~(1h35+3h30)烏帽子岳ピストン~野口五郎小屋
 
  • 6:04に烏帽子小屋を出発。烏帽子岳をピストン登山した。小屋からは烏帽子岳は見えない。尾根に出るとまず「前烏帽子岳(にせ烏帽子)」が見えてくる。そこで「ツキノワグマ」1頭発見。

     <烏帽子小屋(小屋前には高山植物の紫色の花壇)からピストン出発>
     

     <ニセ烏帽子2605mに向かう>
     

     <ニセ烏帽子でツキノワグマに遭遇>
     
  • 今回山行では、都合3頭の熊を目撃したが、まず出会ったのが前烏帽子岳(ニセ烏帽子)登行中左手側の雪渓の残る谷にいた「烏帽子の熊」である。登山道から見下ろす形で200mくらいの近さではっきり見る事ができた。
  • 尾根は風化崩壊した花崗岩の砂礫地でコマクサの群落がある。砂礫地には「小屋の花壇」で咲いていた濃い紫色のチシマギキョウの野生の株も咲いていた。シャクナゲの花もちょうど盛りであった。

     <烏帽子岳のコマクサ>
     
  • 烏帽子岳は、尾根から突き出た岩塔が烏帽子に似ているから命名されているに違いないが、最後の頂上登頂ルートはえぼしの下縁に横ばいに設置された鎖場を経て垂直に鎖をつたって頂上部に登る。なかなかスリルがある「登攀」だった。

     <ニセ烏帽子から烏帽子岳を臨む>
     

     <昨日の出発地点高瀬ダムが烏帽子岳山頂から見えました>
     

     <烏帽子岳(2628m)山頂の岩峰(石井さん撮影)>
     
  • 8:30に烏帽子小屋に戻って、野口五郎小屋に向けて出発した。

     <烏帽子小屋に戻ってさあ野口五郎小屋へ出発>
     
  • 三ツ岳の登り途中の9:50ごろ、右手側の谷の這松に2頭目の「三ツ岳の熊」がいた。這松に頭を突っ込み餌を探しているようであった。

     <野口五郎小屋から三ツ岳への尾根道で休憩(すでに熊が写っている)>
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     <三ツ岳の熊>
     
  • 一時、天候は順調かもと思われたが、天気予報の通り三ツ岳手前で天候が崩れはじめ、10:25雨具上下を着用した。

     <ここで雨具上下着用>
     
  • 12:30頃から右から左へ風速20m以上の猛烈な強風をともなう雨が吹き付け始めた。「今までに体験したことがない強風」であった。

     <やはり天気が崩れてきました 猛烈な風>
     
  • 横からたたきつける様に風と雨滴が一体になって吹き付けて、まるで氷の粒か砂礫が顔にぶつかってきているようであった。こんなに「痛い水滴」は今まで経験したことがない。そして体が吹っ飛ばされるような猛烈な風であった。
  • 平石さんは風水圧で雨具に雨水が染み込み体温を急速に奪われ、命の危険を感じたとの事である。
  • 小生は、猛烈な強風で2度体を左側の切れ落ちている谷に持っていかれそうになった。1度目はころび、2度目は常盤さんがザックをつかんで引き戻してくれた。あまりの強風に左側の切れ落ちた谷に落ちないよう尾根の右に寄って歩く事とした。
  • 常盤さんと三木さんのザックカバーは猛烈な風でザックからはぎ取られ、どこかに吹き飛ばされてしまった。
  • 石井さんは某作業着店のオリジナル「超完全防水ズボン」をオーバーズボンとして雨具代用で着用したが防水の役には立たなかった。
  • 岩に大きく野口五郎小屋まで500mの白ペンキをたよりに、13:18に小屋にたどり着いた 。

     <やっと野口五郎小屋に着きました>
     
 


【3日目(7/20)】野口五郎小屋~(2h30)水晶小屋⇔(1h10)水晶ピストン
 
  • 4:46日の出を拝んで1日のスタート。富士山や八ヶ岳も見えた。昨日の暴風雨がうその様であった。

     <野口五郎小屋からの日の出の景色>
     

     <大天井岳の隣に富士山が見えました>
     
  • 6:20小屋の皆さんに見送られて出発した。ちょっと登ると野口五郎岳山頂だ。

     <野口五郎小屋の人たちの見送り>
     

     <野口五郎岳山頂手前のピークからの眺め>
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     <野口五郎小屋上の尾根道からの展望 槍穂高、大天井、富士山、八ヶ岳>
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  • 山頂は360度眺望良し。表銀座の山々、槍穂高、笠ヶ岳、鷲羽岳、水晶岳、立山等々北アルプスのほとんどの山が見える。

     <野口五郎岳山頂(田中さん撮影)>
     
  • 真砂岳を巻き、竹村新道分岐を過ぎると槍ヶ岳の壮観が近づく、さらに岩峰を越えると東沢乗越につく。

     <小休憩 槍ヶ岳がよく見えました>
     
  • 東沢乗越から東沢を臨むとその先には黒部湖が見える。最後の水晶小屋への登りは足場が悪い。

     <東沢乗越到着>
     
  • 常盤さんが東沢の左岸の這松の中に「動く黒い点」を発見。今山行3頭目の「東沢の熊」だ。3頭目の「東沢の熊」は少し遠いこともあり、まさに「黒い点」がモソモソ動いている感じ。

     <東沢の斜面に3頭目の熊「東沢の熊」がいました>
     
  • 10:53水晶小屋到着。午後の天候を考えると、のんびりはしていられない。11:09水晶岳ピストンに出発。

     <もうすぐ水晶小屋に着きます>
     

     <水晶岳に向かう>
     
  • 12:00水晶岳(南峰)2986mに到着。頂上は狭い。すぐさま三等三角点2978mのある北峰アタック隊を編成し攻略。

     <南峰山頂(田中さん撮影)>
     

     <三等三角点がある北峰登頂4人(田中さん撮影)>
     

     <南峰の二人 北峰から>
     
  • 13:12水晶小屋にもどり、早速ビールで乾杯。

     <今日の行動はおしまい ビールがうまい>
     
 


【4日目(7/21)】水晶小屋~(4h30)双六小屋
  
  • 水晶小屋-双六小屋は、今回の牛歩縦走ではコースタイム4時間30分のロング山行程。常盤さんの発案で出発時間を早めた。

     <水晶小屋から 野口五郎岳の向こうに日が昇る 槍ヶ岳も見えます>
     ※下の小さい画像をクリックすると大きな画像が開きます。
     
  • 5:40出発。多少の雲はあるものの晴れて良い天気。早立ちの理由は午後の天気の崩れを避けるため。

     <水晶小屋を出発します(田中さん撮影)>
     
  • 若干の登り下りの稜線の道または巻道の縦走路を行く。途中ワリモ岳2868mについては数分のピストンで登頂。

     <目指すワリモ岳、鷲羽岳が見えます>
     
  • 7:42鷲羽岳2930m頂上到着。鷲羽岳は今回の縦走の中で水晶岳に次ぐ高峰。立山から槍穂、アルプスの山並み、そして青緑の美しい鷲羽池も眼下に臨めた。ガスが出てきたものの堂々とした槍ヶ岳がよく見えた。

     <鷲羽岳頂上に着きました>
     

     <鷲羽岳山頂からの眺め>
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  • 鷲羽岳頂上から三俣山荘目指して標高差約400mの下り。山荘は足下目の前の様にみえるが、途中足場の悪い所もあり中々着かない。
  • 9:04三俣山荘に到着。ここは水源があり水はただ。ここから三俣蓮華岳迄標高差310mばかり登り。

     <三俣山荘に到着>
     

     <コイワカガミ 背景は鷲羽岳>
     
  • 11:09三俣蓮華岳登頂。雲が増えてきたが、眺望良し。

     <三俣蓮華岳山頂(田中さん撮影)>
     

     <三俣蓮華岳山頂からの眺め 水晶岳・鷲羽岳>
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  • 丸山を越えて13:15双六岳山頂に到着。丸山あたりからはガスが視界をさえぎったり晴れたりしたが、雷鳥の親子に出会えた。

     <双六の雷鳥>
     

     <双六岳山頂(田中さん撮影)>
     
  • 双六岳の広い尾根?山頂を歩き14:27に双六小屋に到着。双六小屋はトイレを始め「近代的な山小屋」で晩御飯は美味しかった。

     <双六小屋に着きました>
     

     <双六小屋の晩御飯 天ぷらです>
     
 


【5日目(7/22)】双六小屋~(5h20)新穂高=バス=松本(解散)
 
  • 6:19双六小屋出発・下山。「新穂高で入浴」して「松本で反省会」を行い、「18:40発の特急あずさに乗る」トリプル目標達成の為に新穂高への予定コースタイム必達。

     <双六小屋を出発>
     

     <双六小屋を出てこれから登り(田中さん撮影)>
     

     <双六小屋をでて槍ヶ岳を見る>
     
  • 鏡平への下りは花見平のお花畑をはじめとして、シナノキンバイ、チングルマ、ヨツバシオガマ等々高山植物が真っ盛り。

     <崩落地点からの槍ヶ岳>
     

     <縦走路の傍らのシナノキンバイ>
     

     <弓折乗越のチングルマと槍ヶ岳>
     
  • 鏡池では逆さ槍を堪能して記念写真をパチリ。雨後には滑り、歩きにくい道も乾燥しており歩きやすく下る事ができた。

     <鏡平山荘に着きました>
     

     <鏡池の逆さ槍>
     

     <鏡池でパチリ(田中さん撮影)>
     
  • 新穂高から大勢のパーティーが登ってくる。適宜道を譲ったり譲られたりで順調に下る。

     <秩父沢を渡る>
     
  • 10:35にわさび平到着。

     <わさび平小屋に到着>
     
  • わさび平からまだ林道は続くが、温泉入浴がみえてきた。松本での反省会のみ参加の沼田さんと携帯で連絡を取り、合流の段取り開始。
  • 12:16に新穂高到着。ただちに中崎山荘で入浴。900円/人也。くつろぐ間もなくバスにて松本へむかう。

     <新穂高中崎山荘に到着>
     
  • 16:20に松本バスターミナルに到着。松本駅で沼田さんと合流し、特急券購入後反省会に突入。

     <松本着 反省会場「王将」に到着>
     
  • 18:40発のあずさ54号に全員乗車して無事帰路についた。


 

5.タイムテーブル・ルート

1日目(7/18)
6:00 ルートイン信濃大町出発 
6:37-48 高瀬ダム 1293m
7:13-19 ブナ立尾根登山口 1340m(12/12)
8:46 ゴンダ落とし 1671m(9/12)通過
10:27 中休み 1963m(6/12)通過
11:54-12:23 休憩 三角点 2218m(4/12)
13:52-14:18 休憩(1/12)
14:38 烏帽子小屋2533m(0/12)到着
 



2日目(7/19)
6:04 烏帽子小屋出発
6:59-7:05 烏帽子岳2628m(ピストン)
8:30 烏帽子小屋にもどる
9:29 小休憩 2668m
10:25 雨具着用 2782m
12:12-35 小休憩2797m 暴風で飛ばされた常盤さんのザックカバー探し
13:18 野口五郎小屋到着
 



3日目(7/20)
6:20 野口五郎小屋出発
6:34-52 野口五郎岳 2924m到着
7:32-42 小休憩
8:30ころ 岩ゴロ帯
8:50- 9:02  小休憩  2815m
9:27 東沢乗越  2740m
9:44-58 小休憩  2804m
10:33-44 小休憩  2868m
10:53-11:09   水晶小屋 2907m
12:00-05 水晶岳南峰2986m到着
12:20-24 水晶岳北峰三等三角点2978m(アタック隊田中常盤石井舩生登頂)
12:40-42 水晶岳南峰2986m
13:12 水晶小屋 2907m
 



4日目(7/21)
5:40 水晶小屋出発
6:23-23 ワリモ北乗越
6:50-59 ワリモ岳 2868m
7:14 按分  2808m
7:42-54 鷲羽岳2930m
8:32-42 小休憩  2640m
9:05-32 三俣山荘  2530m
10:16-30 小休憩  2700m
11:09-25 三俣蓮華岳2841ⅿ
12:00-15 丸山 2845m
13:00-05 小休憩  2820m
13:15-28 双六岳 2860m
14:27 双六小屋到着
 



5日目(7/22)
6:19 双六小屋出発
5:30-40 脱ぎ休み
6:32-45 分岐
7:24-43 鏡平山荘
8:17-27 シシウドが原
9:24-38 秩父沢
10:35-11:13 わさび平
12:16 新穂高ロープウェイバス停
12:19-13:05 中崎山荘(入浴)
13:10-46 新穂高ロープウェイバス停
14:25-55 平湯温泉バス停(松本BTS行へ乗り換え)
16:20 松本バスターミナル
16:30-40 松本駅(沼田さんと合流)
16:45-18:20 王将(反省会)
18:25-40 松本駅(18:40発あずさ54号乗車)
 

以上