◆北アルプス縦走報告   

  常盤さんから8月の山行の追加コメントを頂きましたので掲載いたします。

 

<日程>
 2015年8月19日〜23日

<ルート>
 ブナタテ尾根〜水晶岳〜温泉沢の頭〜雲ノ平〜太郎平〜折立

<メンバー>
 常盤(S51)、田中(S53)




 2000年8月、田中君、私と友人の3名が、読売新道コースを計画しました。黒部ダムから湖畔遊歩道を歩いて平の渡し、奥黒部ヒュッテに一泊しました。翌日、読売新道を登って赤牛岳、温泉沢の頭を過ぎ、水晶岳が目の前にせまったのですが、突然の落雷に恐れをなして急遽Uターン、高天原へと下山しました。

 結局、温泉沢の頭(のすぐ先)〜水晶岳の部分が未踏となってしまいました。田中君と2人、いつか歩かねばと何度も話題になっていました。今回は15年ぶり、懸案をついに実現させたということです。

 さらにさかのぼり、1974年1月ころ、野歩の会2年生。その年の夏はリーダーとして夏合宿に臨むのですが、折立〜太郎平〜雲ノ平〜水晶岳〜三俣蓮華岳〜槍ヶ岳というルートが突如ひらめきました(ダイヤモンドコースなんて名前は、当時なかった)。今回のコース後半は、42年前の夏合宿の逆コースです。

 8月19日、会社を自主的に早引けして、新宿16時発のスーパーあずさに乗車しました。松本に18時半ころ到着、大糸線に乗り換えて、20時過ぎに信濃大町到着です。タクシー30分、前泊の七倉山荘に楽々入ることができました。具合の悪いことといえば、あずさに乗ったとたんのビール鯨飲で、翌日、二日酔いになったことです。

 登山中の行動については、田中君のレポートどおりです。烏帽子小屋から烏帽子岳往復、水晶小屋から鷲羽岳往復、太郎平から薬師岳往復も考えていましたが、悪天候と体力面の不足からすべて断念。水晶岳から温泉沢の頭往復を優先させたのは、上のような事情です。

 ブナタテ尾根上部で、私の水筒の底の破損が発覚しました。20年以上使ったナルゲンのボトルで、底にひびが入っていました。リュックサックのサイド部分に差し込んでおいたのですが、なんとなく濡れるので、どうしたのだろうと思っていたのです。

 あと1時間で烏帽子小屋です。小屋でペットボトルのミネラルウォーターを買えば済むことです。もう水は必要ないから、捨てちゃおうかと田中君に相談したら、怒られました。こうすりゃあ良いじゃありませんか!水筒のふたをギュッとしめて、逆さにすれば水は漏れません。すばらしい解決法に感心させられました。ふうむ、なるほどそうですよね。

 雨の雲ノ平山荘で、宿泊者は30名くらい。設備など新しく、非常に快適な小屋でした。しかし、宿泊者全員がずぶ濡れで入ってきており、乾燥室は満杯でパンク寸前。ここで干していた田中君の雨具、上着が行方不明になってしまいました。誰かが間違えて取り込んでしまったのでしょう。盗まれたとは思えませんが、翌日も雨が予想されたので、なんとかしなければなりません。mont-bellの赤いジャケット、名前が書いてあるとのこと。

 田中君、小屋の従業員に大きな声で頼みます。「mont-bellの赤いジャケット、宿泊者全員に声をかけて下さい。絶対、誰かが間違えたのだから、大きな声でお願いします(実は、自分が大きな声なので、誰もが聞いている)。間違えた人に悪気があったのではないのですから、どうかお願いします。出てこなかったら、出発時に赤いジャケットを着た人全員に、声をかけてください」従業員は、ちょっと不誠実で、「それはちょっと」という反応。

 その時私は、あきらめてビニールのごみ袋をかぶって歩くしかないかなあと、思っていたのですが、どうだったでしょうか?およそ1時間後、従業員が「乾燥室に掛かっていましたよ」と届けてくれました。突然出てきたのだそうです。宿泊者の誰かが気づいて、こっそり戻しておいたのですね。一件落着。ふうむ、誰も傷つかず、見事な解決法でした。

 今回のコースで一番きついのは、ブナタテ尾根の登りと考えるのが一般的でしょう。たしかに、アルプス三大急登はたいへんでした。しかし、心身ともにノックアウトしてくれたのは、野口五郎岳の先、真砂岳から東沢乗越をへて水晶小屋までの登りでした。

 二万五千図による机上ラーニングでは、稜線上の小さな上下で、楽しげなコースに見えます。かつて逆コースで歩いたことがあり、嫌な道であるとの認識はありました。10メートルから50メートルくらいの急登、急下降が10回くらい続きます。登り、下りとも筋力を要し、また足場が悪いのでバランスを保つのにも力を使います。もう、ヘトヘト。

 もうひとつ、水晶岳から温泉沢の頭の往復も大変でした。水晶岳手前で撤退した時の印象では、頂上まで300メートル、およそ10分かなという地点でした、そのように思い込んでいました。今回は霧と雨で先が見えず、まだかな、まだかな、という精神状態でした。結局50分くらいかかりました。なかなか着かなかったです。帰りの登り返しは1時間、お腹がすいてきてシャリバテ気味、しかも急傾斜であり、帰りはもっとつらかったです。

 最後に意外とつらくなかったのは、雲ノ平から薬師沢小屋への下り。ここは、こんなにひどい道はないなあという、悪い印象を持っていました。同じくらい悪い場所は、大山の頂上と、ヤビツ峠分岐までのガレ場くらいでしょうか。今回、褌を締めて下ったせいもあり、まずまず予定より早く、つらい思いもせずに下れました。また、太郎平から折立への下り、バスの時間が気になりましたが、ここも案外サクサク下れました。齢60を超えましたが、登りの筋力はともかく、下りだけなら若いもんに負けんぞ!そんな気分です。そして、もっともっと鍛えて、強くならねばなりません。ハハハ、なんとかの冷水と、言われそうですね。





田中さん作成の報告書はこちらです。
写真は準備中です。


  以 上