◆碓氷越え (天城越えの節で)  

  常盤さんから4月の行事のご報告を頂きましたので紹介いたします。

 
   日 程:  4月23日(土)うす曇り、のち晴れ  
   メンバー:  石川、中村(一)、阿部、石井、三木、斎藤(恭)、和田、北島、小針、常盤
(清水先輩は予定があって、沼田先輩は膝痛、西脇後輩は急用でキャンセル)
 


 今から40年以上前、野歩の会に入会。当時はガリ版刷りの歌集を渡され、その歌を覚えて、コンパや登山後の集中などの際に歌ったものです。昭和30年代の歌声喫茶の流れでありましょう。今、思い出すだけでも、ちょっと赤面してしまいます。

 小林旭が歌って流行った「北帰行」、ご存知ですよね。いかにも夜行列車が、上野から東北方面へと北上するかのような雰囲気です。しかし、野歩の会の歌集にあった「北帰行」、小林旭の歌とは関係のない歌詞がありました。2番の最初「窓は〜」の部分、「建大、一高、旅高」とか言うんです。なんじゃい、これ?それにしても、こんな古いことをよく覚えているものだと、我ながら感心してしまいます。

 東京の旧制一高受験に失敗し、新京の建国大学予科に入学したが放校、旅順にできたばかりの旅高に入学した方(のちに旅高も放校になる)の欝々とした思いを乗せた歌なのだそうです。北帰行とは、満州の平原を北に向かっているのですね。

 悪い癖で、実に長い前説であります。その新京の建大(ほかに建大ってないと思う)から、参加者がありました。国語を教えているのだそうで、まさに俊英というのでありましょう。満鉄、関釜連絡船、下関から山陽本線、東海道本線を乗り継ぎ、さらに上野から高崎線を乗り継いでお越しいただいた(と思われる)通称ノンちゃん、お疲れさまでした。

 なお誘ってくれたのは、「あさが来た」で一躍有名になった日本最古の女子大学を、首席で卒業し、「恩賜の金時計」を拝受した(らしい)キムちゃんです。キムですから、朝鮮半島出身の方かと思われますが、定かではありません。もしかすると、力道山(金信洛)、大木金太郎(金一、キムイル)などとご親戚かも。「喜び組」かもしれませんね、もうちょっと若ければ。お二人は、先週の総会で、卒業以来30数年ぶりに再会されたそうです。やはり大日本は広いです。


 うす曇り、朝の軽井沢駅に集合です。軽井沢は、在来線で行くのは困難です。かの大動脈、信越本線はズタズタにされ、ほとんどが第三セクターになってしまいました。残されているのは、高崎〜横川(29.7キロ)、篠ノ井〜長野(9.3キロ)、直江津〜新潟(136.3キロ)だけだそうで、さらに横川〜軽井沢は、代行バスとなってしまって、線路がないという有様です。

 またまた横にそれてしまいました。ノーベル賞作家川端康成「雪国」で有名な清水トンネル、これが開通したのが1931年であり、それまでは新潟に行くためには、この信越本線を経由するか、郡山、会津若松を経由する、磐越西線を利用するしかありませんでした。信越本線、つまり東京から、信濃(長野方面)と、越前(福井)越中(富山)越後(新潟)を結ぶ大動脈であったはずなのに、このザマは何なのだ、嘆かわしい限りであります。


 で、現実問題。大人の休日倶楽部、詳しくは調べるのが面倒なので省略しますが、東京〜軽井沢は距離が短いので、使えないのだそうです。ただし往復にすれば大丈夫。なにしろ3割引きですから、使えるものなら使わない手はありません。参加者の多くが年金で生活しているわけで、1円でも無駄にはできません。

 乗車区間は、東京方面から新幹線で軽井沢。帰りは横川から高崎まで信越本線で高崎を経て新幹線です。完全な往復ではありませんから、それは無理かと思うのですが、新幹線の高崎〜軽井沢は、在来線の代替線であり、いんじゃねえ?です。

 この答えはずいぶん難しく、私あて3名の方から質問が来ましたが、当然ながら「わからないから駅で聞いてください」でした。しかし、駅の窓口でも答えは分かれ、「大丈夫でしょう」という答えを受けた方がいらっしゃいました。そして我が会長、JTBの窓口で、後ろに何人もの人が並ぶのも厭わず、粘って正解を聞き出したそうで、これは線路が分断されているので、不可であるとのことです。横川〜軽井沢が分断されずに、しかも第三セクターでなくて信越本線なら、可能であるかもしれません(これも、面倒だし、非現実だから調べていません)。往復切符3割引きはOKだが、帰りの横川〜高崎は別に切符を購入する必要があります。


 新幹線の特急料金は、キロ数で決まります。100キロから150キロまでは同じ料金です。東京〜軽井沢147.0キロ、上野〜軽井沢143.4キロ、大宮〜軽井沢116.5キロ。みんな上記の範囲内です。特急料金は、上野〜軽井沢、高崎〜軽井沢ともに2590円(通常期の自由席)ですが、東京〜軽井沢は2800円と210円高い。おかしい!

 JRに電話で問い合わせてみましたが、明らかにクレーマーと判断したような声で、「お客様、乗車券は都内のどこから乗っても同じですよ」との答え。乗車券のルールなんて、百も承知だってば。「即答できないから、後ほど調べてお知らせします」だそうで、面倒だから断って、最寄りの御徒町の駅員さんに聞いてみました。

 「上越新幹線はもともと上野始発だったから(いやいや、最初は大宮始発だぞ)、上野からの料金にして、東京まで延伸したので210円高いのかな?」と、要領を得ません。そこで、会社の鉄ちゃん師匠に調べてもらいました。「料金を同じにすると、東京駅が狭くて混雑するので、上野で乗車するように誘導してるらしいです。上野のほうが、210円お得ということ」との答え。まあまあわかりました。しかし正しくは「東京のほうが210円ご損という設定」のようです。There is no rule without exceptions.まさにこれでありまして、納得です。が、特例で安くなる区間は知っているが、高くなる区間があるなんて初めて知りました。


 イシカワ先輩のカメラで撮影のあと、ようやく歩き始めました。軽井沢駅の西に白い山が連なっています。八ヶ岳かな?と思いましたが、もう少し大きいみたい。ワダノリ先輩から、北アルプスみたいだねと言われて、そうだそうだと納得しました。

 碓氷峠越えの道、クマに注意だそうですが、もっと怖い小動物に注意です。ジメジメした季節、ヤマビルが出るらしい。私は「ヤマビルファイター」、キムちゃんは「ヒル下がりのジョニー」を用意しました。ヤマビル忌避剤です。まだ季節が早くて、出くわすことはありませんでしたが、対策を講じることは悪いことではないですよね。

 旧軽井沢の土産物屋街、なかなか良い雰囲気。手作りハムとか、本物っぽいハチミツとか、購買意欲をそそります。ただし、先が長いのでちょっとのぞくだけ。赤い花が咲いていました。桜ですがソメイヨシノではありません。「ああ、オオヤマザクラですよ」と、軽く教えてあげます。山中ではツツジが。漢字で書くと躑躅、髑髏(どくろ)という字と似てますよね。葉っぱが3枚あるので、ミツバツツジです。みなさん、花の名前を教えてもらって大喜び、えへん。

 軽井沢駅から平坦な道を40分、ゆるい山道を40分で碓氷峠の頂上。カズオ先輩に力餅をおごってもらいました。さっぱりしておいしいです。ここからは2〜3時間の下りです。まずまず歩きやすい道です。国土地理院の地図では、途中からメガネ橋へ下るショートカットコースがありました(昭文社の地図にはない)ので、こちらを下ろうと思いましたが、通行禁止となっていました。

 坂本の宿場を経由して、横川のオギノヤ本店へ。小さな駅の、本当の駅前です。我が上板橋と大番ラーメンより近い、10メートルくらいです。信越本線夜行の時代、ほぼ誰もが買ったことのあるオギノヤの釜めし、駅で買いましたよね。また車で来る場合、ドライブインを利用されるかと思います。でも、本店は15人くらいで満員になる、こじんまりしたお店なんです。

 入店が14時58分。15時以降は釜めし(出来上がっている)のみとの表示。カズオ先輩が2分前だからってねじ込んで、お新香と、かき揚げを注文。おかみさんも嫌な顔せずに、応じてくれました。品の良いあかみさんです。全員が懐かしい釜めしをいただいて、1時間で打ち上げ完了。15時58分の信越本線30分、高崎で新京に帰る(であろう)ノンちゃんと別れ、新幹線たにがわ号(着席率10パーセントくらい)にて東京方面へと向かいました。


 最後に、ノンちゃんが持ってきてくれた焼きおにぎりのご紹介。ちょっと硬めに炊いた(だったか、硬めに握っただったか忘れた)お握り、しょうゆとショウガ(チューブでよい)を溶いたものを塗り、ティファールのフライパン、最弱火にして、1時間くらい焼くんですって。香ばしい、焦げてない、おいしいです。ただし、フライパンが1回でダメになるので、毎回買い替えなければならないような気がします。とても費用がかかるかも知れませんが、どうぞ試しに作ってみてください。


 以上、碓氷峠越えの報告です。鉄道のネタについては本当ですが、その他、多少誇張表現、伝聞による間違い、我田引水の部分がある可能性があるかもしれません。老人特有の妄想癖と、どうかご容赦くださいますようお願い申し上げます。


写真はこちらです。
 その1:斎藤(恭)さん撮影
 その2:和田(則)さん撮影
 その3:石川さん撮影(駅前集合写真のみ)



   以上