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<日 程>
平成30年7月27日(木)〜7月30日(月)
<コース>
秋田県・森吉山(1,454m)と赤水渓谷ウォータートレッキング
7月27日(金)
(晴) |
角館 =秋田内陸縦貫鉄道= 阿仁前田駅 =車= 湯の沢湯本杣温泉旅館 |
7月28日(土)
(曇のち夕方、晴) |
湯の沢温泉 =車= 野生鳥獣センター − 赤沢渓谷 − 野生鳥獣センター =車= 湯の沢温泉 |
7月29日(日)
(曇のち夕方、晴。山頂は強風) |
湯の沢温泉 =車= 森吉山阿仁スキー場ゴンドラ駅 =ゴンドラ = 山頂駅 − 森吉山 −山人平 − ヒバクラ岳登山口 =車= 湯の沢温泉 |
7月30日(月)
(快晴) |
湯の沢温泉 =車= 阿仁前田駅 =秋田内陸縦貫鉄道= 角館 |
<同行者>
中村(一)、中村(純)、中村(陽)、篠原、阿部、三木、平石、
沼田、斎藤(隆)、斎藤(恭)、田中、北島、和田(代記)
1.企画
- 中村さんの企画です。かつてテレビで観た「花の百名山・森吉山(もりよしざん)」とその山麓に広がる「天国の散歩道・赤水渓谷」を組み合わせ、さらに「山奥の温泉宿」を繋ぎ合わせた、組合せの妙、素晴らしい企画です。
- 初めての「滞在型山行」。着替えなど荷物を持ち込め、宅急便を使える。その日の山行内容に合わせて荷物の量を調整できる。
- 「山登り」と「沢歩き」という2つのジャンルの合わせ技。展望も、草花も、感動も、それぞれ異なる。2度お得な山行だ。
- 魅力に溢れた中高年向きの内容に、私はすぐに同行を決めた。
(森吉山)
- 森吉山(もりよしざん・1,454m)は昨年夏、八幡平山頂からはるか遠く、森に被われた、その美しい姿(独立峰)を発見。夏は高山植物や湿原が広がるなだらかな山、冬は樹氷を楽しめるスキー場がある。ゴンドラが通い、手軽に山頂や湿原に到達できる。山中や山麓はブナを初め落葉広葉樹林が広がり野生動物が多く、まさに阿仁マタギの世界。
(赤水渓谷)
- 赤水渓谷は、森吉山の東山麓に流れる源流部の沢。U字谷に一枚岩のナメ床が続き、大小の甌穴(おうけつ)群が連続する珍しい沢。甌穴は川床の岩盤にできた円柱形の穴、ポットホール。トレッキングの引返し地点・兎滝まで片道6.6km、高低差70mを歩く。その昔、森吉と玉川温泉を結ぶ歴史的な古道でもあった。
- 沢底に小石や岩がなく歩きやすい渓谷、四季折々の自然が美しいことから「天国の散歩道」といわれ、クマゲラが生息する。この7月発売の「山と渓谷」1000号の特集「決定、日本登山ルート100選」のひとつにも選ばれた。
- 山奥の温泉宿、湯の沢湯本「杣(そま)温泉旅館」は、東北弁はわからないこともあったが、素朴で暖かなもてなしと自然の真っただ中での旅館生活は味わいがある。
2.概要
- 7月27日(金)は、旅館への移動日。秋田内陸縦貫鉄道で充実した旅を楽しんだ。「我が家のように使ってください」と宿のご主人の言葉。ご厚意に甘え温泉や屋外での酒盛りを楽しんだ。
- 7月28日(土)は、予定を変更し、赤水渓谷ウォータートレッキング。曇り空だったが、噂どおり、滝はなく水量も少ない。澄んだ水がナメ底を流れ、「天国の散歩道」であった。目的地の兎滝の手前でタイムアップ。
- 7月29日(日)は、森吉山。山頂近くまでゴンドラを使う。曇り空に台風12号通過後の余波で山頂は立てないほどの強風だった。お花畑や池塘を巡り、熊の存在に怯えながら(大袈裟か)ヒバクラ岳登山口に下山した。
- 7月30日(月)は、移動日。下界は、内陸部は35℃の猛暑。秋田内陸縦貫鉄道で角館へ出て解散。多くは角館の武家屋敷群を観光し、夕方近く東京に向かった。
3.行動記録
◆7月27日(金)移動日
- 宿である湯の沢温泉に集合。飛行機で大館能代空港から来る3名、車でやってくる1名、前日に関西から角館に入った1名。そのほかは秋田新幹線「こまち」を角館下車。
関東の異常に早い6月中の梅雨明け、そして災害レベルの酷暑の夏。まだ梅雨明け宣言がない東北だが猛烈に暑い。25日に突然発生した台風12号は北上し西に向きを変えるようだ、影響は少ない、一安心。
(秋田内陸縦貫鉄道の旅)
- 秋田内陸縦貫鉄道の1両編成の急行「もりよし号」に乗換え。急行は営業距離94kmを1日1往復する。第三セクターの鉄道で経営は大変なようだ。
- 車内は秋田犬や猫の写真・イラストがいっぱい。田んぼやタバコ葉畑など、のどかな里山が続き、緑濃い山の中を走る。線路わきには小学生を初め地元住民が造った幾つかの田んぼアート。「笑内(おかしない)」駅名などはまるで北海道のようだ。マタギの集落がある「阿仁マタギの里」駅は素晴らしいネーミングだ。
- 車内ガイドは客の関心を掴む観光案内、地元土産品の車内販売などをこなす。運転手も車内ガイドも地元もポスピタリティが旺盛。盛り沢山な1時間30分のローカル線の旅だった。
- 電車は秋田県で一番長いトンネルを通過する。十二段トンネルは距離5,700mのひたすら直線トンネル。11秒間、入口と出口を同時に見ることができるという珍しいトンネルだ。11秒間に願い事をすれば願い事が叶うらしい。
- 下車駅、阿仁前田を下りると灼熱の暑さだ。頬が焼ける。駅前にめぼしい建物はない。駅前で、飛行機組、車組が私達の到着を待っていた。宿の車は山間を抜け30分で沢沿いの宿に13時に到着。
(杣温泉旅館)
- 杣(そま)温泉旅館は、山奥の沢沿いにある温泉1軒宿。
敷地入口にある伏流水の冷たい水、高さ44m、42m、樹齢400年の夫婦杉が印象的だ。 秋田と縁のある江戸時代の紀行家、菅江真澄の道の標識も立つ。
- 公衆電話はあるが、ソフトバンクを除き携帯電話等は通じていない。wi−fiは受付場所のみで通信可能という山奥である。
- 自然豊かなゆえ、ブヨ・アブ・蚊などの攻撃にあう。特に露天風呂は無防備なので攻撃の的だった。
- 何よりも主人ほか宿の皆さんの暖かなもてなしが印象に残った宿。27日と29日は貸切で「我が家のように使ってください」との主人の言葉に甘えた。
(前庭に夕方、店を開く居酒屋やぼ)
- 陽の当たる場所は39℃。宿に着き男性陣はさっそく一杯といきたい。陽光がありがたい山間の宿、庭に備え付けのテーブルとイスも強い日差しの中。炎天下では飲めない。知恵者がテーブルの位置を日蔭に移せばよいと提案、さすが。
- 夕方、屋外での飲み会は心地よい。持参のつまみにビール缶が並ぶ。宿の主人から比内鶏?料理の差し入れがあった。温泉に浸かり、露天風呂に入り、出入り自由な「居酒屋やぼ」。28日、29日も反省会を兼ね夕方から飲み会が続いた。
- 食事は熊皮が飾ってある大広間。3日間の魚料理は鯉の甘露煮、鯉のあらい、鯉こく。天然物の岩魚のから揚げとさしみ。マスのさしみ。熊の肉のほかに、「薬だと思って食べてください」と言われた熊の油肉。いずれもおいしかった。ご主人はマタギのようです。
野菜類はこの時期、地元の山菜「ミズ」各種、ジュンサイ、沢庵など保存食。いずれも塩分が多い気がした。
(ブユ・アブ・蚊)
- 温泉の内湯はよい加減。私は出発前に転んで右腕に創傷を負い治療中。腕にサランラップを巻き付け入浴したが、面倒で露天風呂は入らなかった。入浴者によるとブヨが多く被害に遭った。
- 宿関係者によると、ブヨなどはオニヤンマが飛んでくると一斉に逃げるとのこと。オニヤンマに紐をつけて飛ばしてやりたい。
- 数多くの蚊取り線香が置かれているのだが、食事を始めると、どこからか彼らは集まってくる。煩わしい。
- 森の中に入れば、大量の蚊の攻撃に遭う。どうも刺されやすい人(蚊等が寄ってくる人)とそうでない人がいるようだ。黒っぽい衣服や汗の臭いに寄ってくるが、それ以外の理由はわからない。
- 夜は窓を開けて寝たが山の中、涼しさを越えて肌寒かった。
◆7月28日(土)赤水渓谷 山中20〜21℃
- 計画では森吉山に登る日だったが、29日中に帰京する方がいて、下山口から足の便の良い森吉山を29日に変更した。天気は曇り空。
(赤水渓谷への事前準備)
- 中村さんから案内をいただき、関係者から「天国の散歩道・赤水渓谷ウォータートレッキング」というキャッチフレーズから、「ビーチサンダルでも歩けるぞ」と話が先走った。
また、沢シューズは今後使うチャンスがないので、できるだけ廉価な靴としたいとの要望も出た。ビーチサンダル、サマーサンダル等具体的な候補も上がってきた。
- 本格的な沢登りをしていたのは私のみ。雰囲気に流されず、私がしっかりと判断しなくてはいけないし、初期投資を減らしたいとの要望にも安全面を考えたうえで、応えたい。
- ほとんどが沢歩き初めてだ。「散歩道」というのは沢登りに対しての話であり、バリエーションコースであることに間違いない。大きな認識違いが生じないよう、適切なアドバイスが欠かせない。
- 沢は沢ごとに様子が異なる。沢のぬめり具合が違うので、現地のガイドに電話で様々なアドバイスをもらった。しかし靴についてはフェルト底沢シューズ(7,000〜13,000円)のほかに選択肢の余地はないとつれない返事、もっともな話だ。岩の滑り具合は普通の沢と同様のようだ。
- ビーチサンダル、サマーサンダル、工事作業用靴、釣り用靴、学校運動靴などをインターネットで調べ、沢での使用結果を探った。さらに山や釣りの専門店に出向き、商品をみて、その評価を確認した。
- わかったことは、滑りにくい靴は様々あること。滑りにくいと言われるものにも沢で使用すると滑るものがあること。専門店は磯や川で短時間使用する「遊び用」と「沢登り用・渓流用」とを明確に区別していたこと。
- 私の結論は、「滑りにくく、足を守り、フィット感があり、脱げず、靴の中で足がずれず、長時間向きの靴」であれば、問題なしとし、選択は各自の判断にゆだねた。ただし、一人でも沢を安全に歩けなければ、即中止を入渓条件とした。
- 私一人で行くなら、万能性が高いフェルト底沢シューズにするとしつつ、11年前の北アルプス・黒部源流歩きで皆の使用実績がある学校運動靴を推薦。私もそれを履くことにした。
- 実際に沢で履いた靴は、ほとんどが学校運動靴(4,000円程度)。それ以外にフェルト底沢シューズ2名、室内用現場作業靴(600円程度)1名、マリンシューズ(1,000円程度)1名、運動靴2名。
- 念のため、沢道具として、30m補助ロープ1本、1.2mシュリンゲ3本、カラビナ2枚、腰バンド1着、ツエルト1張、草鞋1足を持参することにした。(出発前日、かつて何とも思わなかった補助ロープを重い感じ、私の腰痛事情からロープ持参を取りやめた)
- 黒部源流のときと同様に、入渓する気象条件と入渓しない気象条件を設定し、それに従うことにした。
(緊急時の課題)
- 事前調べの中でわかったことは、沢の中で怪我をしたときの大変さ。
- 沢の中は携帯は不通。事故現場から出発点・鳥獣センターまで最大徒歩3時間、救急隊がセンターに来るまでに1時間30分、それから現場まで徒歩3時間。さらに病院に運ぶまで同様の時間がかかる。
- しかも、センター周辺もすべての携帯が不通。センターは衛星携帯を保有するが、16時30分には閉館、関係者は退館。16時30分以降は12km先にある宿まで歩き救助依頼する。
- ヘリコプターは沢の形状によってはホバリングできないし、夕暮れ以降は飛べない。
- 事故を起こさないことしかない。幸いに同行の田中さんが衛星携帯電話を持参できることになった。両岸が迫る沢の中で通信に必要なアンテナ角度を確保できるか課題もあるが課題は小さい。
- 以上を逐次情報提供し、皆の認識を合わせたうえで当日に臨んだ。
- これらの他に、現地での3つの心配事があった。
(野生鳥獣センター・渓谷へ)
- 沢歩き用の靴を履き、宿から渓谷への出発地・野生鳥獣センターまで車で行く。30分で到着。8時すぎ。
- センター所長から、森吉山の自然環境、渓谷の歩き方や熊対策などについてレンチャーを受けた。全国で一番熊が多い秋田県、その中でも森吉山周辺にもっとも生息。ゆえに森吉は阿仁マタギの地である。
- 次のようなアドバイスがあった。
熊鈴もよいが、熊鈴を鳴らさず、五感を研ぎ澄まし野生動物の臭いを探るのがよい。もっともだが、熊が人間に気づきその場を離れてくれることが第一で、至近距離対策よりも、熊鈴だと思う。 食べ物は食べカスを一切残さないことが重要。 ストックはじゃまなので仕舞うこと。(電話問い合わせした現地ガイドと見解が異なる) 強い雨が降るとすぐに増水する。西や南の方面に黒い雲を認めたらすぐに引き返すこと。 目的地・兎滝まで到達できなくとも、迎車時刻を考え、引返し時刻を設定することが大事。
(ブナの原生林)
- 和田が先頭、田中さんがしんがりで、合図用にホイッスルをそれぞれが持つ。15時までに戻ることにし、8時30分、センター前からブナの森に入る。すぐにおびただしい蚊に襲われた。肌に密着したシャツはその上から刺された。写真で眺めるブナの林は素晴らしいが林の中にはブヨや蚊がいるし、ゲジゲジ虫も潜んでいるのだろう。
- 林の中の湿地には大きく成長したミズバショウの群生。茎や実は熊に食いちぎられている。熊は身近にいるのだ。
(入渓)
- 1時間ほど歩き桃洞の滝との分岐。ここから赤水渓谷沿いに山道を15分程度進むと入渓地。現地地形を記録類、地形図とも比べるが、渓谷沿いの山道への入口がわからない。田中さんの「ヤマレコ」記録データでアドバイスをもらった。
後からやってきた沢屋4名パーティに先に行ってもらう。渓谷内ではほかに2組3名と出会った。
- 砂地の入渓地で靴ひもの緩みなどを確認し、10時すぎに大きな淵に入る。右岸も左岸も水深があるので、股下まで浸かり淵の真ん中にできた水中の砂洲の上を歩いて渡る。
(3つの心配事)
- 事前の心配事は3つ。1つ目は足回りが滑らないか。2つ目は甌穴(おうけつ)に落ちないか、深い甌穴に落ちたらどうするのか。3つ目は段差(小滝)を安全に昇り降りできるか。
- 皆が用意した靴は滑らなかった。足裏をすべて岩に密着させていれば、傾斜でも滑らない。よかった。一安心だ。
- 渓谷は水深数cmから10cm程度で穏やかに水は流れている。沢そのものは問題ない。
甌穴は深いものでは2〜3m、さらに4mもあるという。逆光や水面の照り返しがあると水中の様子はわかりづらい。対策用に偏光レンズサングラスを持参したはずなのだが、見つからなかった(下山後見つかる)。先頭の私の後に一列に歩くことになった。
- 所々に高さ2〜3mの段差(小滝)がある。脇にはかならず甌穴が口を開けている。
滑れば甌穴に落ちる。幸いに岩は滑らず、靴底を確実に岩に密着させれば問題がないことがわかり、心配が減った。
(渓谷を進む)
- 両岸は落葉広葉樹林や一枚岩の岩壁で、沢巾一杯に静かに沢水が流れる。じゃぶじゃぶ歩けて気持ちよい。晴れていれば水が輝き弾ける。遡行記録類で沢屋が「微妙なバランスで通過した」と書いた段差があった。「微妙なバランス」表現は確実なホールドやスタンスが取れない場合に、騙し騙し登るということ。気がかりだったが、岩が滑らなかったので安心できた。ガイドが使用するのだろうか、ザイル用に1箇所ボルトが打たれていた。
- オニヤンマが沢の真ん中を飛行し、ミヤマカラスアゲハと思われるアゲハが花を求めて飛んでいた。それは静かで穏やかで懐かしい光景だった。
(昼食とトイレ)
- U字地形に沢巾一杯に水が流れている。適当な休憩場所がないことを心配していた。増水で押し流された木々が砂地を作った場所が見つかり、11時、宿のお握り弁当で休憩。女子のトイレ場所も心配事だったが、木々の奥で済ませることができた。
- 予定よりも少し遅れ気味だったので、12時を引返し時刻とした。
(玉川分岐から兎滝方面へ、そして折返し)
- 11時45分、玉川分岐に到着。玉川温泉方面は沢登りコース、1日行程で赤水峠を越え、玉川温泉に行ける。兎滝方面は沢巾が狭まり、渓谷歩きから沢歩き風となった。ジャングルの中、川筋をかき分けて歩く冒険者のようだ。
- 12時、引き返す時刻が来た、兎滝まで行けなかったが休憩ののち引き返す。
復路は先が読めるし沢を鳥瞰できので、緊張感から解放された。しかし、歩き方もルートの取り方も雑になりがちだ。水や苔のある傾斜の下りは油断できない。
(ご入浴)
- 斜面の下りは膝を折り、慎重に足を一歩一歩出し下る。1か所、体の正面を斜面に向け下るのが適切な場所があった。そこは斜面の下から、後続者の足首や足の裏を支え、無事に下り終えた。
- と思っていたら、苔の下り斜面に足裏全面をつけずに踵のみをつけたのでしょう、S1さんが1m程度するっと滑り、深さ1mほどの甌穴にご入浴となった。その後もS1さんは入浴。一度入浴すると入浴が苦にならず自ら入るのかもしれない。
- 平らな沢部でN2さんが小さな甌穴にご入浴、その後もう一度、入浴。都合4回の入浴。2人とも擦り傷ひとつなくよかった。
復路は疲れが出て注意散漫。そして雑なルート取り。「天国への散歩道」とならずよかった。
- 13時30分、入渓地着。全身を虫よけネットや雨具で身を固め、万全の態勢で森に入った。しかし蚊はそれほど寄ってこなかった。
(冷水の提供)
- 14時30分、鳥獣センターに戻った。15時まで30分の余裕があったが、センターで足や靴を洗い一休みできたのが疲れた体にはよい。さらに迎えの車に用意された冷水で生き返った。
(居酒屋やぼ)
- 盛り上がった反省会「居酒屋やぼ」。ご入浴の話などで盛り上がり、次から次とビールが運ばれる。おいしい酒である。
- 山に入らず、ひとり車で観光に出かけたNtさんが観光から戻ってきたので、様子をうかがうと、車が物損事故に遭ったとのこと。傷心だが怪我がなくてよかった。
(台風12号の行方)
- 皆の関心事は台風の行方と被害。テレビによると12号は北上後、向きを西に変え関西方面に向かった。東から西に向かう台風は観測史上初めてのこと。
- 夕食後、部屋での宴会は疲れのため、盛り上がらず早く終えた。
◆7月29日(日)森吉山 山中20〜21℃
- 天気予報は、午前は曇、午後は晴れ。
- 当初計画は森吉山北側にある森吉山登山口から山頂、そしてヒバクラ岳登山口へ下るものだったが、行程の長さ、高低差、車の手配、同行者の帰京を考え、西側からゴンドラを使い山頂、そしてヒバクラ岳登山口へ下るコースに変更した。
(ゴンドラ乗り場)
- 7時30分、車で出発。森吉山を北側から西側へ回り込む。8時15分、森吉山阿仁スキー場に到着。ゴンドラ乗り場では、マスコット犬、秋田犬「北斗」が出迎えてくれた。日本古来のマタギ犬と言われる秋田犬、1才だが想像していたよりも大きい。
- 平昌冬季オリンピック・女子フィギュアスケート金メダリスト、ザキトワ選手に秋田犬の幼犬が贈られたが、1年もしたら手に負えなくなりそうだ。
沼田さんは所用があるため、ここで別れ、駅に向かった。
- 乗り場で私は他人から声を掛けられた。前の会社の山の好きな同窓の先輩だった。ひげ伸び具合から1週間程度、ひとり車で東北の山を巡っているようだ。
(台風の影響)
- 12号通過の影響で山頂は風速15m以上の強い風が予想された。ゴンドラは強風で6人乗りを4人乗りに変更し、20分の乗車時間が40分かかった。山頂駅付近ではゴンドラが左右に大きく揺れ支柱に接触するようで怖かった。
- 9時45分、山頂駅を出発。高曇りの下、雲が激しく飛んでゆく。駅のテラスから西方面に男鹿半島が見えた。低木帯の中を登る。北アルプスの稜線近くの低木帯と同様だ。低木帯を抜けると突風に出遭った。かなり強い風で体が振れる。足元にはギボウシの紫花、クルマユリのダイダイ花、ニッコウキスゲの黄花、ツリガネニンジンの青花が群生する。
- 頂上近くで東南方面の視界が開けた。田沢湖が少し顔を出し秋田駒ヶ岳らしい一部が見えたが、八幡平方面は雲の中だった。
(森吉山山頂)
- 11時25分、山頂に到着。かなりの強風。烈風か。立つことがままならない。記念写真を撮りすぐにヒバクラ岳方面に下る。少し下った風避け場所で昼食とした。仕事の関係で斎藤さんはここで別れ、ゴンドラへ戻り帰京した。
(お花畑)
- 山頂の先はニッコウキスゲが咲き、眼下にお花畑が広がる山人平(やまびとだいら)が見えた。N3さんが下りで突然下段のお花畑へごろり。怪我はなかった。本人は何が起きたのか、わからなかったとのことだが足を踏み外したのだろう。そういうものだ。
- 山人平は池塘や湿地が続き、チングルマ、イワイチョウ、キスゲが満開とのゴンドラ駅情報だったが、花を終えたり盛りを過ぎていた。木道に熊の糞が目立ち始めた。気がかりになる。
(ヒバクラ分岐)
- ヒバクラ岳の手前の分岐をヒバクラ岳登山口へ下る。周辺はキンコウカとキスゲが咲き乱れていた。見晴らしが効き、八甲田山を望む。岩木山も見えたという。
(ヒバラク岳登山口へ、身近に熊が潜む)
- お花畑を過ぎると木道に次から次と熊の糞。10数個はあっただろうか。新しいものもあった。ミズバショウの小さな群生地が続くが、ミズバショウは熊に荒らされていた。たった今、茎を折り実を食べた跡もあり、身近に熊が潜んでいることを知る。
- 女性陣は「熊さん、熊さん、出ないでおくれ。私はおいしくないですよ」を口ずさむ。先頭の私はミズバショウ群生地に立ち入るときや群生地の先を左右に折れる場所はストック叩きをした。
- ブヨなどが煩いのでネットを被る者も出てきた。長い長い階段を下り続け、14時、水場に到着。水場からはなだらかで歩きやすいブナ道となった。15時20分、ヒバクラ岳登山口に無事到着。下界は晴天で暑い。フェーン現象で地元、北秋田市では35℃という。車に用意された冷水を飲み、生き返った。
(最終日の居酒屋やぼ)
- 宴会は男鹿半島や強風や熊の話になった。N1さんはブヨ?に瞼上をさされ、膨れ上がった。ブヨの話も尽きなかった。
- 宿の主人によると、私達がヒバクラ下りで熊に出会うのではないか、と心配していたようだ。ご主人は同コースを歩いた時に熊に遭遇したという。騒いではいけないことは知っているが、恐怖で大声を出し逃げたという。森吉山の東半分(赤水渓谷を含む)は熊の一大生息地のようだ。
◆7月30日(月)
- 今日も晴天。気持ち良い朝だ。気持ちの良い宿のご夫婦を交え記念写真を撮る。宿の車で阿仁前田駅まで送ってもらう。予想気温は35℃。電車を待つホームは暑く頬が焼ける。
- 帰りも阿仁合駅から急行もりよし号。往路の車両は秋田犬一色だったが、この車両は猫一色だった。
- 10時30分前に、角館に到着。盆地なので暑さは厳しい。その足で新幹線に乗る篠原さんと別れ、真夏の角館観光に向かう。人通りはほとんどない。木陰や緑陰を渡り歩く。武家屋敷地区は素晴らしい。桜の頃、紅葉の時期に来てみたい。その後玉川温泉に向かう中村さん一家と別れ、市内をぶらぶらして新幹線に乗った。
- 最後に、私を含めご一緒した皆さんがよく忘れ物をしたのが印象的な山行だった。
写真はこちらです。
1.田中さん撮影
2.斎藤さん撮影
3.和田さん撮影
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以上
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