◆木曾駒ヶ岳登山班報告   

 高橋さんから9月の登山のご報告を頂きましたので掲載いたします。

   

【メンバー】

(木曾駒登山班)46平石充,49松田正,53田中亨,55舩生克、舩生み、北島博、三橋幸、中嶋広,57金古久,高橋聡

(千畳敷散策班) 44佐藤あ、阿部佳、中村一、中村純,46三木洋,48斎藤隆、斎藤恭,49鈴木幾

(集中参加) 48沼田泉
 
【日程】
2022年9月10日(土)
【行程】
距離:3.8 km 登り:430 m 下り:436 m

<20220910ヤマレコ木曾駒ヶ岳>

千畳敷駅12:03 - 12:54乗越浄土13:08 - 13:13宝剣山荘- 13:28中岳- 13:40木曽駒ヶ岳頂上山荘 - 14:21木曽駒ヶ岳14:29 - 14:46木曽駒ヶ岳頂上山荘 - 15:00中岳15:09 - 15:22宝剣山荘15:29 - 15:30乗越浄土15:37- 16:13千畳敷駅
 
【まえがき】

「明日私は旅に出ます 貴方の知らない人と二人で いつか貴方と行くはずだった 春まだ浅い信濃路へ・・・」
「8時ちょうどのあずさ2号で 私は私はあなたから旅立ちます」
昭和52年(1977) 兄弟デュオ「狩人」が大ヒットさせた「あずさ2号」の歌詞である。
都会の隅で、ただひたすら待つ恋に青春を捧げた女が、いつまでも春が来ない男との別れ、他の男と新たな人生に旅立とうとするが、別れを切り出せない“複雑な女心”が唄われている。
「皆で、一昨年に行くはずだった 秋まだ浅い信濃路へ」いざ序幕!
 
【報告】

 

皆さん乗っている、“新宿発7時ちょうどの「あずさ1号」”です。
通称ゴーサントオ(昭和53年10月国鉄白紙ダイヤ改正)で、下りが奇数号、上りが偶数号となったので、新宿発「あずさ2号」は存在しなくなってしまいました。ちなみに当時「あずさ1号」は季節列車で、定期の始発が「あずさ2号」でした。
茅野駅到着!
レンタカーで菅の台バスセンター、そこからバスで駒ヶ岳ロープウェイしらび平駅(標高1662m)へ。

 

中央アルプス「駒ヶ岳ロープウェイ」昭和42年(1967)開業。高低差950mは、日本一の高低差らしいです。
同じ名前で紛らわしいですが、箱根「駒ヶ岳ロープウェイ」は、これより前の昭和38年(1963)に開業しています。箱根園(736m)~駒ヶ岳山頂(1327m)で、高低差591mですが・・・。

 

駒ヶ岳ロープウェイ「千畳敷駅」(2612m)集合写真!
この「千畳敷駅」が、ロープウェイの駅としては日本最高所だそうです。
では、この間の新穂高ロープウェイ西穂高口駅は?(北ア報告2022/07/18)
新穂高ロープウェイ西穂高口駅:2156m!立山ロープウェイ大観峰駅:2316m、北八ヶ岳ロープウェイ横岳坪庭山頂駅:2237mに次ぐ、国内第4位でした。

 

「信州駒ヶ岳神社」千畳敷駅の前にありました。
立て看板抄写「昭和43年建立、天照大神と大山祇大神を勧請し鎮め祀り、御守護霊験あらたかなる神社で、平成21年壊滅的損壊を受けるも多くの浄財で改築され、未来永劫に山霊を慰め、登山者の安全と繁栄を祈願する」
だそうです。なるほど。

 

「千畳敷駅登山口(八丁坂):ここから先は登山の装備が必要です」と書かれています。遊歩道と登山道との分岐です。いよいよ、急な登りの始まりです。
ちなみにお遍路さんの四国八十八霊場の中間44番札所と45番札所の間にも「八丁坂」というお遍路さんにとってきつい勾配の坂道があるそうです。「八丁坂」とは、あの富士山頂手前の急登「胸突き八丁」から来ているんでしょうか。

 

「カール(独: Kar)」圏谷。なるほど、氷河によって山の斜面がスプーンでえぐられたように削り取られてできた地形が見て取れます。氷河による浸食形成された谷の両側と山側には急峻な急崖カール壁がこの圏谷を囲んでいます。

 

その急峻なカール壁を登って行きます。
「カール」といえば、「それにつけてもおやつは“カール”」の昭和43年(1968)明治製菓が発売したスナック菓子が有名ですが、筆者は、「刑事犬“カール”」でしょうか。昭和52年(1977)~昭和53年(1978)TBS系で好評を博した刑事ドラマ(?)で、なんといっても、あの伝説的美少女アイドル「木之内みどり」扮する婦警と警察犬のカールが数々の事件を解決していきます。本筋からだいぶ話が反れてしまいますが、「木之内みどり」はホントに可愛かったです!

 

「乗越浄土」(2,858m)到着!
普通、乗越の名前として“○〇乗越”みたいに言うので、「浄土乗越」かと思いきや、「乗越浄土」。その秘密を探ってみましたが分かりません。“極楽浄土”に肖り「乗越浄土」の方が、響きが良いからでしょうか。
浄土とは、一切の煩悩や穢れを離れ、仏の住む清浄な世界です。“衆生済度”のためにこの八丁坂があるのでしょうか、とにかく急坂を登り切ってホット一息です。

 

「乗越浄土」で記念写真。肝心の木曾駒ヶ岳は少しガスってしまっていますが・・・。
「浄土」に対して、煩悩に汚染された衆生が住む世界を「娑婆」というそうです。「娑婆」の殿方にとって、遊郭は「浄土」ですが、遊女からすると、郭の中は地獄で、郭の外の世界である「娑婆」こそ、自由な人間的世界・・・。“塀の中の人”も「娑婆」に出たがります。ということで、我々の俗世界も実はいいところかも知れません。

 

「中岳」(2925m)を目指します。
さて、帰り道もあることですし、一気に進みます。

 

「中岳」山頂を跨いで、いよいよ「駒ヶ岳」(2956m)を目指します。

 

駒ヶ岳山頂近くは、それなりの大きな岩と急登が待っていました。

 

中央アルプス(木曽山脈)の最高峰「木曽駒ヶ岳」(2956m)登頂!

 

山頂は比較的広く、標高の数字が書いてある道標を見つけ、記念写真!あれッ!二人足らないでが・・・

 

山頂には、古くからの神社が木曽側と伊那側に二社鎮座していました。
こちらが、「木曾駒ヶ嶽神社」。一応、鳥居、狛犬、社務所もあります。

 

こちらが、「伊那駒ヶ嶽神社」
どちらを指すのか、将又、単なる社殿が二つあるだけなのか、「駒ヶ嶽神社」は天文1年(1532)建立だとか。
ただ、向いている方向が、それぞれ、木曽谷、伊那谷です。ここにも大人の事情(確執?)があるのかも知れません。

 

山頂方位盤と三角点ですが、土砂が流出したのでしょうか、下の方がむき出しになってしまって、方位盤には、立入禁止が。「崩落の危険があります。絶対に登らないでください」とのこと。
三角点の“永久標石”も地上に露出しているのは、“氷山の一角”で、実は“盤石の構え”になっています。一等三角点だと「柱石」は長さ82cm(重さ90kg)、その下には41cm角厚さ12cmの「盤石」(45kg)が埋まっています。(国土地理院三角点の構造)
金時茶屋の強力、小宮山正をモデルにした新田次郎著「強力伝」の“白馬岳山頂の方位盤”の話(金時茶屋小宮山正2022/6/12報告)だけでなく、三角点の標石も運び上げるには相当の苦労があったようです。

 

下山途中、「雷鳥」に遭遇!
中央アルプスでは、半世紀前に絶滅したとされていましたが、平成30年に木曽駒ヶ岳で乗鞍岳から飛来した雌1羽が確認されてから、環境省が復活計画を進めていて、現在では放鳥、自然繁殖を含め数十羽いるそうです。
元来、3000m級高山では天敵がいなかったのか、雷鳥は警戒心が低いそうです。

 

駒ヶ岳山頂から下っていくと急にスコール(squall)のような雨が!

 

「中岳」に差し掛かった辺りから振り返ります。
「駒ヶ岳」です。鞍部には「頂上山荘」と「幕営地」が広がっています。

 

「中岳」(2925m)山頂です。一時の雨も止み、急に青空が見えてきました。女心と秋の空・・・。
“移り気な女心が変わらないうちに”、慌てて写真を撮りました。
バックにそびえる岩の頂上に小さく動くものが見えました!

 

「岩雲雀」です!高山帯のハイマツ林や岩場に生息するらしいです。こちらも高山に生息するからか、警戒心が低いそうです。

 

「中岳」からの下りからの「宝剣岳」(2,931 m)と手前には「宝剣山荘」、「天狗荘」が見えています。
「宝剣岳」は、見るからに急峻な岩峰です。乗越浄土からなら、しっかりと三点支持で登れば、難しい山ではないとも聞きますが、しばしば滑落事故が発生するのも頷ける山容をしています。

 

さて、「乗越浄土」から千畳敷カールの「カール底」に向かって下山です。

 

「カール底」の遊歩道に右方向の駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅に直接向かう道と正面方向の「剣ヶ池」に真っすぐ行く道が見えます。

 

「登山口」まで下りてくると千畳敷カールの遊歩道です。ここで、駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅に直接向かう軟弱組(?)と「剣ヶ池」経由する物好き組(?)とに分かれました。

 

上から見た限りでは、池までほぼ平だと思って進んでみたのですが、結構、剣ヶ池まで下りが続いていました。
池の縁から見た千畳敷カールです。
かつて地球が氷河期であったことが思い出されます。(冗)

 

17時の最終ロープウェイに間に合わないのであれば、途中で引き返す覚悟で臨んだ木曾駒ヶ岳。無事、16:30のロープウェイでしらび平駅、バスで菅の台、レンタカーで“集中”の岡谷へと向かいます。

 

総勢19名での大反省会(?)です!明日の山行に差し支えない程度に!疲れ様でした!
 
  
 
     高橋聡 記  


報告書は以上です。

すべての写真はこちらからご覧頂けます。
その1)舩生さん撮影
その2)高橋さん撮影