◆北アルプス新穂高~折立報告(その1:新穂高温泉~鏡平山荘)   

 高橋さんから7月の登山のご報告を頂きましたので掲載いたします。

   

【メンバー】
1班:44中村一、中村夫人,48斉藤隆、斎藤恭
2班:46平石充,48石井啓,51常盤,53田中亨,57高橋聡
【日程】
2022年7月18日(月)~23日(土)
【全工程】
距離:43.6km 登り:3,433m 下り:3,297m

<ヤマレコ 北アルプス>
【報告書もくじ】
プレ行事(2022/7/18)
メンバー:1班&2班
コース:新穂高ロープウエイ
1日目(2022/7/19)
メンバー:2班
コース:新穂高温泉~鏡平山荘
 
2日目(2022/7/20)
メンバー:2班
コース
:鏡平山荘~双六小屋~三俣蓮華~三俣山荘
 
3日目(2022/7/21)
メンバー:2班
コース
:三俣山荘~鷲羽岳~ワリモ岳~高天原山荘
 
4~5日目(2022/7/22-23)
メンバー:2班
コース
:高天原山荘~雲の平~薬師沢~太郎平~折立
 
【まえがき】

「アルプス」(英Alps、独Alpen):いやしくも登山を愛好する人達ならば、誰もが憧れを抱く。故に「飯能アルプス」(多峰主山2020/12/6)のような○○アルプスが日本全国に存在する。
「銀座」:いやしくも繁華街を愛好する人達ならば、誰もが憧れを抱く。故に「銀座」も日本全国に点在する。
“正規日本版”「北アルプス(飛騨山脈)」には、「表銀座」(合戦尾根~東鎌尾根~槍ヶ岳)と「裏銀座」(ブナ立尾根~西鎌尾根~槍ヶ岳)とい銀座の名を冠したメジャー縦走コースがある。
いやしくも“元”岳人たる我々は、そんな北アルプスの裏銀座の“奥”を少し覗いてみることにした。
 
【プレ報告】
◎前日(2022/7/18):新穂高ロープウェイ

 

今回の登山口である新穂高温泉に前泊。「新穂高ロープウェイ」乗場と宿泊先「ホテル穂高」とはなんと隣!
せっかくなので、早めに来て、“文明の利器”で少し登ってみました。財布に物を言わせる必要がありますが、穂高の千石尾根を一気に登れます(笑)。

 

第1ロープウェイ:新穂高温泉駅 - 鍋平高原駅 開業:昭和45年(1970)、全長:573 m、高低差:188 m、定員45人。
こちら側が“右俣谷”。明日行こうとするのは、向こう側の“左俣谷”です。ゴンドラ後方に仮設橋と人道橋が見えますが、どうやら「新穂高渓流保全工」の一環で、現在この人道橋は架替工事中のようです。(後述)

 

第2ロープウェイ:しらかば平駅 - 西穂高口駅 開業:平成10年(1998)、全長:2,598 m、高低差:845 m、定員:105人

 

西穂高口駅の展望デッキです。あいにく笠ヶ岳方面も穂高方面も眺望は今一でしたが、ここ標高2,156m!
この郵便ポストは、通年集配するポストとしては、国内最高点にあるポストだそうです。
辺りは、現在工事中で、今後約10年間をかけて「新穂高GRAND VUE」“世界水準の山岳リゾート”にするらしいです。大きく張り出したブーメラン状のデッキから槍ヶ岳の眺望を楽しめるそうです、乞うご期待!

 

全員での前祝い!温泉に入って美味いもの食って酒飲んで、これからの山小屋生活に対してしばしの悦楽!
 
 
【報告】
◎1日目(2022/7/19)
 新穂高温泉~鏡平山荘
 距離9.6 km登り1,207 m下り29 m

<ヤマレコ(新穂高~鏡平)>


山行:5時間40分 休憩:52分 合計:6時間32分

通過時刻:新穂高温泉バス停08:37 - 09:42中崎橋 - 09:57笠新道登山口 - 10:16わさび平小屋10:44 - 11:08小池新道入口 - 12:18秩父沢出合 - 12:42チボ岩 - 13:21イタドリが原 - 13:55シシウドヶ原14:07 – 14:41クマの踊場 -15:09鏡平山荘泊
 

 
 

「行ってらっしゃい」というNRN全国ラジオネットワークで放送されている朝の5分間番組をご存じでしょうか?
「今日も一日お元気で、行ってらっしゃい」とサラリーマン、OL、学生達にエールを送ってくれる番組です。
なんといっても初代「十朱幸代の行ってらっしゃい」の可愛い声で送ってくれたのが最高でした。その後「沢口靖子の~」「黒木瞳の~」「鈴木杏樹の~」となり、現「羽田美智子の~」と脈々と40年以上続いています。
出立の朝、ホテル穂高の外は雨が降っていました。1班は、出立を断念し、2班の見送りに転じました。「行ってらっしゃい!」

 

スタート地点「新穂高センター(新穂高温泉バス停)」(1080m)です。
“左俣谷”方面へホテル穂高の脇の人道橋が工事中らしく、ホテルから少し下った“右俣谷”と“左俣谷”との合流点に架かる「恵橋」で“右俣谷”「高原川」を渡りました。

 

「左俣林道」を進みます。「左俣林道」は、“左俣谷”「蒲田川」の“右岸”を少し進み、すぐ「左俣橋」で蒲田川“左岸”に渡りました。
沢や谷の「右俣」「左俣」は、“下流から見て”。河川の右岸」「左岸」は“上流から見て”。いずれにしてもちょっとややこしいですね。(右岸、左岸の話は、滝山城址~拝島大師(2021/10/16)参照)

 

「中崎橋」で蒲田川“右岸”に渡ります。蒲田川の水は、ご覧の通りの“濁流”です。

 

「笠新道登山口」(1360m)です。
「笠新道」は、樅沢岳(2755m)から南西方向に笠ヶ岳(2898m)へ続く稜線に上がるため、抜戸岳(2813m)の南尾根を一気に登る道で、地図を見る限り、とても登りたくない道ですね。我々は、さらに林道を直進します。

 

わさび平小屋」(1400 m)に到着。雨も少し上がって、しばし休憩です。
昭和32年(1957)、「双六小屋」の初代小池義清が、双六小屋への荷継ぎのために建設したとのことです。

 

「小池新道入口」(1470m)。いよいよここから登山道に入ります。
「小池新道」は、昭和30年(1955)、小池義清が双六小屋再建に向けて開設したルートとのことです。
雨もまた、断続的に降ったり、止んだり・・・(泣)。

 

「秩父沢出合」(1720m)渡渉!本日、この「秩父沢」を渡渉できるかどうかが大きな鍵でした。
靴は気にせず、ロープにしっかりつかまって沢に流されなければ大丈夫!
「秩父?」ふとこの地名が気になりました。地図で確認すると、なんと「秩父沢」は、この上の「秩父平」から流れてきているではないですか。いろいろ調べましたが、地名の由来は捜し当てることができませんでした。
が、意外な史実を発見!
「昭和2年(1927)、秩父宮雍仁(やすひと)親王、槍ヶ岳から笠ヶ岳へ縦走される」
「秩父平」は、樅沢岳(2755m)から笠ヶ岳(2898m)に続く稜線の大ノマ岳(2662m)から抜戸岳(ぬけど)(2813m)の稜線の東側に広がる“お花畑の草原”だそうです・・・。ということは、おそらくそこで秩父宮殿下が野営されたのでは・・・筆者推論。

 

「チボ岩」(1800m)通過!「チボ」とはこの地方の方言で「スリ」や「泥棒」のことで、この大岩の間に物を落としたら拾えないことからこの名がついているそうです。誰も大事な物、落とさないで良かったです。

 

「イタドリが原」(1916m)~「シシウドヶ原」(2090m)~クマの踊場(2185m)などを通ってひたすら登っていきます。途中、沢の渡渉箇所もいくつかありましたが、そもそも登山道自体が既に“沢”となっていました。

 

やっと鏡池(2285m)に到着です。「鏡平山荘」(2300m)は目の前です。
「鏡平山荘」は昭和40年(1965)開業。双六小屋初代小池義清が、“池に映る槍・穂高に惹かれて小屋を建てた”と述懐しています。
池の水面には、“雨の中疲れ切った老人達”がただ映っていただけでした(泣)

 

鏡平山荘」(2300m)泊。普段、筆者の財布は“無口”なんですが、せっかくですので、今回少し物を言わせてみました(笑)。
それより、小屋では、靴、雨具、ザックなど衣類以外は乾燥室を使わせて頂けません!諸理論があるのでしょうが、ちょっと悲しかったです・・・(泣)
 

 
to be continued

◎2日目:鏡平山荘~双六小屋~三俣蓮華~三俣山荘
 
◎3日目:三俣山荘~鷲羽岳~ワリモ岳~高天原山荘
 
◎4~5日目:高天原山荘~雲の平~薬師沢~太郎平~折立
 
  
 
     高橋聡 記  


 
本編(新穂高温泉~鏡平山荘)の全ての大きめの写真はこちらからご覧頂けます。