◆北アルプス新穂高~折立報告(その4:高天原~太郎平小屋~折立登山口)   

 高橋さんから7月の登山のご報告を頂きましたので掲載いたします。

   

【メンバー】
46平石充,48石井啓,51常盤,53田中亨,57高橋聡
【日程】
2022年7月22日(金)~23日(土)
【報告】
◎4日目
 高天原~雲の平~薬師沢~太郎平
 距離11.3 km 登り992 m 下り800 m

<ヤマレコ(高天原~太郎平)>


コースタイム:10時間40分 休憩:34分 合計:11時間14分

通過時刻:高天原山荘06:12 - 06:21高天原分岐 - 07:13高天原峠 - 08:45雲ノ平の森の道 - 08:51奥スイス庭園 - 09:27コロナ観測所 - 10:11雲ノ平山荘 - 10:24奥日本庭園 - 11:09アラスカ庭園 - 13:57薬師沢小屋14:11 - 14:37カベッケが原 - 15:39第三徒渉点 - 16:04第二徒渉点 - 16:11第一徒渉点16:27 - 17:26太郎平小屋泊
 


 

高天原山荘」(2128m)出発です!

 

「高天原」の“平原”をしばらく進みます。どうやら、天岩戸(あまのいわと)が少し閉じかけているのか、天気は今一つです。

 

岩苔小谷の沢(2100m)だと思いまが、橋がなければ渡渉できない水量です。

 

ここからの我がパーティの写真に何気に女性の姿が写っています。爺集団(?)に“華”が添えられました!

 

「高天原峠」(2250m)を反対側の谷に下ると「大東新道」ですが、「雲の平」へは、尾根道をさらに登ります。途中、3ヶ所ほど、こんなような梯子がありました。

 

ここまで、樹林帯の中の意外と急登でしたが、樹林帯を抜けて、雲ノ平の“高原”に出たでしょうか?

 

何の木か分かりませんが、大きな瘤のある木がありました。いろいろな悪条件でないとこのような瘤はできず、かつこの大きさまで成長するにはかなりの時間が必要みたいです。意外にも希少性から高額な値がつくこともあるそうです。

 

「太郎山」(2372 m)と「太郎兵衛平」が見えました。写真中央に本日の目的地「太郎平小屋」が写っています!
まだまだ、先は遠いです(泣)。

 

「雲ノ平の森の道」(2310m)辺りです。樹林帯を抜けたので、這松の中を進みます。

 

「奥スイス庭園」(2510m)辺だと思います。一休みです。
岩と池塘(ちとう)が広がる湿原です。「雲の平」は、“高層湿原”と呼ばれる台地で、堆積した泥炭層に雨や雪だけが溜まった池沼は、周囲から流入する水がないため、独特な生態系を生むらしいです。

 

「コロナ観測所」(2575m)というところです。コロナ観測というからには、観測対象は、“太陽のコロナ“だと思うのですが・・・。太陽フレアから放出される何らかの電磁波を観測しているのでしょうか?
読者層を鑑み、“コロナ≠COVID-19”だけをお伝えし、本件は、深追いしないことにします(失礼)。

 

雲の平山荘」(2650m)直下に着きました。我々一行は、山荘直下を直進、素通りします。紅一点の方とは、ここで一時、お別れです。
雲ノ平山荘は、あの三俣山荘の伊藤正一が昭和36年(1961)に建てた山荘です。現在のものは後に立て直されたものですが、「三俣山荘」は、伊藤正一長男伊藤圭、「雲の平山荘」は、伊藤正一長男二男伊藤二郎が後を継いでいます。ここで興味深いのは、伊藤兄弟経営の双方の山荘でアライアンスを全く組んでいないこと。URLも「kumonodaira.com」と「kumonodaira.net」と似ているのですが、相互に何も触れず、完全に孤立しています。いろいろ大人の事情があるんですね。

 

「奥日本庭園」(2530m)。
雲ノ平には、8つの庭園があるそうです。「日本」「スイス」「ギリシャ」「アルプス」「アラスカ」「祖父」・・・など。それぞれ、謂れがあるようですが・・・

 

「アラスカ庭園」(2464m)かな?「雲の平」の最後の平らな部分らしいです。ここで昼食。
「雲ノ平」は、北アルプスの最深部に位置し、たどり着くまでが困難なことと、溶岩台地に高山植物が自生する環境の特異な点から、“日本最後の秘境”と呼ばれているとのことです。
とにかく急がなければならないこの日、そしてこの天気。ゆっくり“秘境”を堪能する間もなく、慌ただしく雲の平を後にしました。

 

雲の平の西端から、道は急に下ります。膝へのダメージがボディーブローのように効いてきます・・・。

 

薬師沢小屋」(1920m)です。薬師沢の水量が少なければ、沢を渡渉できるようですが、今回は、梯子と吊橋を使って小屋に到着です。沢にある小屋なので、水が無料で好きなだけ飲めたのが嬉しかったです。沢に面したデッキでビールを飲んでいる輩が羨ましかったですが・・・

 

「カベッケが原」(1970m)。カベッケって何だろうと思ったら、漢字で「河化け」と書くそうです。カベッケは、黒部源流の湿地帯に生息する謎の生物とされていて、「おーい、おーい」と声をかけてきて、うっかり返事をしてしまったり、声のする方向について行くと、行方不明になってしまうらしい。昔から多くの人々に目撃されていたようで、近年でもカベッケらしき生物の声を聞いたり、目撃した者もいるとのことです。

 

「第一渡渉点」(2080m)。木道も整備されて、カベッケの出会うことなく、川沿いの楽な道もここまで。ここから、太郎平まで、一気に登るそうです。ここまで結構、歩いてきましたので、最後の気力、充電中です。

 

太郎平小屋」(2330m)到着しました!
辺りは、「太郎兵衛平」という高原です。東に雲ノ平、西に折立、南に黒部五郎岳、北に薬師岳に続く登山道の十字路で交通の要所とか。江戸時代、“太郎兵衛”という者がここで高山植物の化身の美女に誑かされたらしいです。美女に誑かされたならいいですね、カベッケに誑かされるよりは(笑)。
 
 
 
◎5日目
 太郎平小屋~折立登山口
 距離6.2 km 登り35 m 下り1,014 m

<ヤマレコ(太郎平~折立)>


コースタイム:3時間42分 休憩:10分 合計:3時間52分

通過時刻:太郎平小屋07:20 - 07:42太郎兵衛平 - 08:02五光岩ベンチ08:12 - 09:27積雪深計測ポール - 09:40青淵三角点-10:17太郎坂 - 11:10十三重之塔慰霊碑 - 11:12折立登山口




 

太郎平小屋(2330m)。前日から外は激しい雨。少し雨脚が弱まるのを待って、遅めに出発しました。

 

「五光岩ベンチ」(2170m)。雨なので、ただ立ち止まって少し休むだけ・・・。

「青淵三角点」(1869m)。
この辺りに来るまでには、雨が上がって来ました。週末とあって、登って来る人達と結構、すれ違いました。

 

「十三重之塔」(1362m) 。
十三重之塔は、昭和38年(1963)、薬師岳(2926m)登頂を目指しながらサンパチ豪雪の山中で、愛知大学山岳部13人全員が遭難死するという痛ましい事故の慰霊碑です。全員の遺体の発見までに10ヶ月もかかったそうです。山の天候は、恐ろしいものです。“君子危うきに近寄らず”

 

「折立ヒュッテ」(1361m)。6名全員、無事、下山!
・・・6人?我々のパーティは、爺5人だったはず!(後述)

 

1日1本しかない12:30折立発富山駅行バスに乗りました!
“集中”は、富山での「日本海の幸と立山の“水”」。NMT先輩が駆けつけてくれました。お疲れさまでした!
 
 
【補足】

紹介します。本稿で登場した山ガールTommyさんです。
SNS交換して頂きました↓
日本最後の秘境「雲ノ平」と日本最奥の秘湯「高天原温泉」3泊4日(1)
日本最後の秘境「雲ノ平」と日本最奥の秘湯「高天原温泉」3泊4日(2)
日本最後の秘境「雲ノ平」と日本最奥の秘湯「高天原温泉」3泊4日(3)
 

 
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◎1日目:新穂高温泉~鏡平山荘  
 
◎2日目:鏡平山荘~双六小屋~三俣蓮華~三俣山荘
 
◎3日目:三俣山荘~鷲羽岳~ワリモ岳~高天原山荘
  
 
     高橋聡 記  


 
本編(高天原山荘~太郎平~折立)の全ての大きめの写真はこちらからご覧頂けます。