◆富士登山ルート3776(海抜0mから富士山頂)報告(その1)   

 高橋さんから8月の登山のご報告を頂きましたので掲載いたします。

   

【メンバー】
49鈴木幾久子,51細川春樹,55船生克郎,53田中亨,57高橋聡,H7鎌田明央、鎌田次男
【日程】
2022年8月23日(火)~25日(木)
【全工程】
距離:48.7 km 登り:3,899 m 下り:1,535 m

<ヤマレコ 富士登山ルート3776
【もくじ】
○1日目
田子の浦海岸~ふじひのきパーク
○2日目
ふじひのきパーク~六合目宝永山荘
 
○3日目
六合目宝永山荘~富士山頂~お鉢巡り~新五合目
 
 
【まえがき】

富士山登山ルート3776
富士市が、“富士山へ、0ゼロからの挑戦”と題して設定した、『海抜』0mから富士山頂『標高』3776mへの全長42kmの登山ルートである。
一般的には、『海抜』と『標高』を同義として問題ない。しかしながら、GNSS(Global Navigation Satellite System)を使いこなす今を生きる現代人としては、これらの違いは知っておく必要がある。
『海抜』とは、その地域の平均海面からの高さ、『標高』とは、ジオイド(日本のジオイドは東京湾の平均海面に一致する等ジオポテンシャル面)からの高さである。
さて、富士山は日本一の山であるが、本物の富士山を知らずして、遥か遠くに微かに見えた小さな富士山で一喜一憂していてはと、前回、我々一行は富士に向かった(2022/5/21「そうだ!本物の富士山を見に行こう!」富士緑道~岩本山)。
しかしながら、本物の富士山を知るには、それだけでは飽き足らない人たちがいた。
ついに「海抜0mから富士山山頂に登ろう!」という快挙/暴挙に出ることになった。
 
【報告】
◎1日目(2022/8/23):田子の浦海岸~ふじひのきパーク
距離:21.2 km 登り:950 m 下り:5m



山行7時間4分 休憩1時間17分 合計8時間21分

田子の浦海岸08:36 - 09:03ルート3776起点(田子の浦みなと公園)09:15 - 11:20セブンイレブン富士石坂店11:30 – 12:20ローソン富士中野店12:30 - 15:43NINOMARUヴィレッジ15:47 - 16:57ふじひのきパーク

 

「新富士駅」に集合。
どうせなら、「海抜0m海岸」からとのリクエストにより、公式スタート地点近辺の海岸は、テトラポットで浜辺がなく、スタート地点1km程手前の砂浜からのスタートです。

 

〈海抜0m〉海抜ゼロからの皆さんがやりたがる “海面にタッチ”!

 

この辺りは急深で海水浴はできませんが、先ずは、海水浴に来た雰囲気での記念写真!

 

公式スタート地点の「ふじのくに田子の浦みなと公園」に向かいます。
奈良時代の歌人・山部赤人(やまべのあかひと)の『富士山を望む歌』(万葉集・巻3・318)の万葉歌碑です。
頭脳明晰な読者層に失礼ですので、石柱に刻まれた“万葉仮名”で翻刻します。
“田兒之浦従打出而見者真白衣 不尽能高嶺尓雪波零家留”

 

「はじまりの鐘」です。数字の「0」を模っています。
「ここは海抜0メートルに隣接した日本一の山へのはじまりの地 あなたの願いをこの鐘に込めて霊峰富士に響かせよう!」と書いてあります。
願いは人それぞれ様々、新たな人生のはじまりを願って(?)、鐘を鳴らしました。
残念ながら、今回はバックに富士山が見えていませんが、ここは、“ゼロから望む富士山”の映えスポットです。

 

〈標高7m〉ゼロから登る「富士登山ルート3776」の公式スタート地点です。
「挑戦計画書」をここのボックスに投函、スタンプカードにスタンプを押して、いざ出発です!

 

「田子の浦港」です。これから“挑戦”する富士山頂が少し姿を見せました!
ここで、富士市民必見の東宝映画「ゴジラ対ヘドラ」を是非とも見て頂きたいです。同作品は、昭和46年(1971)公開のゴジラシリーズ第11作で、この田子の浦のヘドロで汚染された海、工場煙突群からの黒い煙が空を真っ黒に襲う情景と“ゴーゴー喫茶”で踊り呆ける若者の姿がオープニングと記憶します。田子の浦のヘドロからヘドラが出現し、富士山麓でゴジラ戦うという、当時の時代背景が色濃く映し出された社会風刺映画です。

 

田子の浦漁港」です。
シラス漁を行っており、漁協には食堂があり、県外ナンバーを多く見かけますが、意外とそう簡単には、“生しらす”は食べられないです。出漁日で、たまたま漁獲が多い日だけ、一般販売するだけなので、「しらす入荷情報」で確認してから行かないとダメです。

 

「潤井川」の左岸を上ります。公式ルートの歩道橋でJRを跨ぐ予定でしたが、歩道橋が工事中でしたので、ほんの少し迂回して、JRは潜り抜けました。
「この堤防高は、『海抜』6.7mです」と書かれています。やはり、津波や高潮などの防災観点から、このようなところでは『標高』でなく『海抜』が使われているようです。

 

「大渕街道」を緩やかですが、ずっと延々と登り続けて来ました。ずっと市中歩きです。コンビニで、食料、飲み物を購入したり、休憩したり・・・。とにかく暑かったです。

 

〈146m〉日蓮宗「妙富山法蔵寺」です。
葛飾北斎の『富嶽三十六景』の「駿州片倉茶園ノ不二」描写の地と謂われています。
(注:「駿州片倉茶園ノ不二」は後に追加された十景の一図で、当初の三十六景には入っていない)
ちなみに『富嶽三十六景』は、日本を代表する富士山図版画だけに日本の新「パスポート」のデザインに採用されています。但し、採用されたのは、三十六景のうちの24景ですが・・・。
ついでに令和6年(2024)発行予定の新千円札(F号券)の裏は、富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」です。(富士山小さッ!)

 

〈180m〉「新東名」を越えます。
東海道という日本の大動脈の国家プロジェクトでありながら、静岡県内の162kmは先行開業し、現在、静岡県内だけは制限時速120km/hです。愛知県内は遅れて開業しましたが、神奈川県内は未だです!(2022/3/20不老山報告)
ちなみに「東海道リニア新幹線」に関しては、静岡県が反対して静岡県内は工事をさせません。県政とはそういうものかも知れません。

 

〈590m〉大渕街道と国道469号線(通称:「富士南麓道路」)との交差点を越えたところです。
この交差点で一休憩した後、いよいよ、林道に入って行きます。ここから先は、民家はなく、完全な檜林の林道歩きです。

 

〈950m〉「ふじひのきパーク」到着!1日目のゴールです。
2日目の工程を短くするため、推奨ゴールの宿泊先「やまぼうし」を通り過ぎて、ここまで来ました。ここと宿との往復は車で移動して、翌朝、この場所から歩行をつなげる算段です。
ちょっとした小トラブル発生!「ふじひのきパーク」で待っているはずの車がいません!
ここが、公式ガイドブック地図上の中継点「ふじひのきパーク」、「Googleマップ」で確認してもここで間違いないはずなんですが・・・。

 

携帯電波の関係で、やっとのことで、連絡が取れ、頼みの車が来ました!事なきを得たのですが・・・。

 

小トラブルの原因はここ! 聞けば、車は、この場所で小一時間も待っていたとのこと!
確かに中継点「ふじひのきパーク」と表示されています!
後日確認したところ、どうやら、富士市がルート3776を設定した当初はここだったようです(富士山登山ルート3776紹介7「ふじひのきパーク」)。その後、現地はそのままで、机上の案内だけ場所を移動したようです。肝心の看板の移設は、市としてこれから予算取りをして、来シーズンに備えるそうです。頑張れ!富士市交流観光課!

 

農家民宿「やまぼうし」で、乾杯!
小学6年生のI君、距離21km、標高差950mを歩き切ったのは、立派です!



next episode

2日目:ふじひのきパーク~富士山六合目

3日目:六合目宝永山荘~富士山頂~お鉢巡り~新五合目
 
  
 
     高橋聡 記  


 
3日間分の写真をこちらからご覧になれます。
 1)田中さん撮影
 2)舩生さん撮影
 3)高橋さん撮影